[医師監修・作成]肝内胆管がん(胆管細胞がん)とは?①:症状や区別の方法、肝臓がんとの違いについて解説 | MEDLEY(メドレー)
かんぞうがん
肝臓がん
肝臓にできた悪性腫瘍のこと
1人の医師がチェック 69回の改訂 最終更新: 2022.07.04

肝内胆管がん(胆管細胞がん)とは?①:症状や区別の方法、肝臓がんとの違いについて解説

肝内胆管がんは肝臓の中を走る胆管の上皮ががん化したものです。肝臓にできるがんのなかでも多くはありません。肝臓にできるがんのほとんどは肝細胞がんです。ここでは肝内胆管がんについて解説します。 

肝内胆管がんの症状は初期にはあまりはっきりとしないことが多いです。できる場所によって現れる症状に少し差があります。進行すると以下の症状がでることがあります。

  • 腹痛

  • 黄疸(おうだん)を原因とした症状

    • 皮膚や白眼が黄色くなる

    • 体がかゆくなる

    • 体がだるくなる

  • 右の上腹部に塊を触れる

  • 体重減少

肝内胆管がんは発生した場所によっては症状がでるまでに時間がかかることがありあます。このために見つかった時点で進行した状態であることも珍しくはありません。

症状が出る場合としては、体の外からお腹を触ってかたまり状のものを触れることや、腹痛の原因になることがあります。体重の減少は肝内胆管がんに特有の症状ではありません。他のがんやがん以外の病気(糖尿病結核)などでも体重が減ることがあります。

黄疸については次で解説します。

胆管上皮にがんができると胆管が閉塞して胆汁の流れが妨げられます。胆汁を排出するのには意味があります。体に不要なものを排出することも胆汁の役割の一つです。

胆汁によって排泄される物質の一つにビリルビンがあります。ビリルビンは常に体内で作られています。胆汁の流れが妨げられると血液中のビリルビンの濃度が上昇して黄疸という症状がでます。黄疸とは皮膚や白眼が黄色くなる症状のことですが、ビリルビンの影響で体にかゆみが出たりします。ビリルビンが上昇した影響で体がだるくなったりすることもあります。

黄疸自体はよほどの重症でない限り命に関わるものではありません。肝内胆管がんによる黄疸が出た時は、がんに対する治療の前にかゆみを改善するなどの目的で黄疸を治療することがあります。

胆汁の流れが悪くなったことを原因とする黄疸を閉塞性黄疸といいます。黄疸を改善するには胆管を流れる胆汁の流れを改善したり、胆汁を体の外に出して血液中のビリルビンの濃度を下げる必要があります。黄疸に対する治療を減黄術(げんおうじゅつ)といいます。

肝内胆管を原因とする閉塞性黄疸に対する減黄術は大きく分けて主に2種類があります。

  • 内視鏡を利用する方法
    • ENBD(Endoscopic nasobiliary drainage;内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)
  • 皮膚に穴を開けて管を入れる方法
    • PTBD(percutaneous transhepatic biliary drainage;経皮経肝胆道ドレナージ)

ENBDは内視鏡で胆汁を体の外に出すことにより黄疸を改善する方法です。胆汁は鼻の穴を通したチューブから体の外に出ることになります。

ENBDの良い点は、胆汁が排液できているかを確認できる点です。

悪い点として、鼻から管が入っているので不快感がどうしてもあります。退院してもしばらく鼻に管を入れたままにしておく場合があります。この場合は自分で管を管理しないといけません。とはいえ、チューブの管理はお腹から管が出るPTBDよりはやりやすいと考えられます。

肝内胆管がんが比較的太い分枝にできて大きくなり胆汁の流れが滞ると、黄疸が発生します。胆汁の流れを改善させるために、閉塞している部分より上流の肝内胆管に針を刺して胆汁を出すための管(チューブ)を挿入する方法があります。肝内胆管にチューブを留置し体の外に胆汁を出すことで胆汁のうっ滞が改善し、黄疸も回復に向かいます。この方法をPTBDといいます。

図:肝臓の正常解剖のイラスト。

肝臓にできるがん(原発性肝がん)には主に2種類があります。

肝臓がん(原発性肝がん)は肝臓に発生したがんの総称と考えてください。その中に種類が異なるものが2つあります。1つは肝細胞ががん化する肝細胞がん、もう1つが肝内胆管がんです。

肝臓には胆管(たんかん)という管が張り巡らされています。胆管には胆汁(たんじゅう)が流れています。胆汁が流れる通り道を総称として胆道(たんどう)ということもあります。

肝内胆管がんは胆管から発生するがんです。このため肝内胆管がん胆道がんの一部に分類されます。

「第22回全国原発性肝癌追跡調査報告」では肝細胞がんが91.1%、肝内胆管がんが6.4%と報告されており、肝内胆管がんの割合はそれほど多くないことがわかります。

肝内胆管がんも「肝臓がん(原発性肝がん)」の一種ですが、一般的に「肝臓がん(原発性肝がん)」というとほとんどの場合は肝細胞がんのことを指すと考えられます。肝内胆管がんと肝細胞がんはがん化する細胞が違うので治療法も異なります。両者を区別することは重要です。

肝臓には肝細胞という細胞があります。肝細胞はたんぱく質合成、炭水化物・脂質の代謝、解毒作用など様々な役割を担っています。肝細胞がんは肝細胞ががん化したものです。

肝細胞がんの主な原因は肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎や肝硬変です。「全国原発性肝癌追跡調査報告」によると肝細胞がんは肝臓にできたがんの91.1%を占めます。

肝内胆管がんと肝細胞がんでは治療法が違うのでしっかりと区別することが必要です。2つを分けるには画像検査が中心になります。

ほかの検査もあわせて判断します。

  • 画像検査

    • 超音波検査

    • CT検査

    • MRI検査

  • 血液検査(腫瘍マーカー

    • CA19-9、CEA(肝内胆管がんで上昇することが多い)

    • AFP、AFP-L3、PIVKA-II(肝細胞がんで上昇することが多い)

  • 生検

肝内胆管がんと肝細胞がんは検査での特徴も異なります。肝細胞がんはCT検査の中でもダイナミックCTで特徴的な所見を表すことが多いです。典型的な場合であれば両者を見分けることは難しくはありません。

中には両者の区別が難しいものもあります。その場合は他の検査結果を積み重ねてどちらのがんかを判断します。

最も確実な検査は生検です。生検はがんに直接針を刺して組織を一部採取します。とりだした組織を顕微鏡でみるのでもっとも信頼性が高いです。

生検にもいくつか問題があります。針を刺す検査なので病変が出血しやすい種類のものであれば出血の危険性があること、針を刺すことによってがんが周りに広がってしまう危険性があることが指摘されています。生検をするべきかどうかの定まった意見はありません。メリットとデメリットを主治医と相談して方針を決めることが大事です。

肝内胆管がんは肝臓に発生するがんです。肝臓の中を走行する肝内胆管(かんないたんかん)の上皮から発生します。上皮とは表面にある組織のことで、ここでは肝内胆管のうち「管の内側」にあたる側の組織を指します。

肝内胆管の中には胆汁(たんじゅう)という消化液が流れています。胆汁が流れる通り道を胆道といいます。胆道とは、肝細胞で作られた胆汁が十二指腸に流入するまでの全経路を指します。そこで肝内胆管がん胆道がんの一部として考えることがあります。また、肝内胆管がん胆管細胞がんと呼ばれることもあります。

肝内胆管がんは肝臓に発生するので肝臓がん(原発性肝がん)の一種です。しかし、肝臓がん(原発性肝がん)の大部分を占める肝細胞がんとは性質が違います。「肝臓がん(原発性肝がん)」と言った場合、多くは肝細胞がんを指していますが、「肝臓にがんが見つかった」という時には肝細胞がんなのか肝内胆管がんなのかを区別する必要があります。

肝内胆管がんに対して抗がん剤治療などをする時には胆道がんと同じ治療法を使います。肝細胞がんと同じ治療をする訳ではないことには注意が必要です。

胆道がんは、できた場所によって以下のように名前が変わります。

胆道は長いので発生する部位によって手術の方法などが違います。そこで部位別で呼び分けています。抗がん剤による治療はすべての胆道がんで共通したものを使います。

まず『がんの末期』には明確な定義はありません。「がんの末期」には患者さんや医師にも多くの考え方があります。それにともない症状について多くのとらえ方があります。

ここで言う「末期」は抗がん剤による治療も行えない場合、もしくは抗がん剤などの治療が効果を失っている状態で、日常生活の大部分をベッド上で過ごすような状況を指すことにします。

肝内胆管がんは肝細胞がんと異なり、早くから他の臓器やリンパ節転移をすることが知られています。肝内胆管がんの末期では腹膜、肺、骨、リンパ節などに転移し、転移しているがんが体に影響を及ぼします。

  • 腹水 

  • 便秘 

  • 消化管閉塞

  • 浮腫(ふしゅ)

  • 悪液質(あくえきしつ)

他にもかなり進行した状態でみられる症状があります。どんな症状がでるかはどこに転移しているかなどにより変わります。

腹水は、お腹の中に水が溜まることです。原因は大きくは2つが考えられます。 

  • 腹膜播種(ふくまくはしゅ)

  • アルブミンが身体から失われる

肝内胆管がんが進行すると腹膜播種を起こすことがあります。腹膜播種とはがんがお腹の中のスペースに飛び散ることです。お腹の中にがんが飛び散った場合は炎症を起こし、炎症によって水を出すようになります。腹水がお腹に溜まるとお腹が張った状態で少し動くのにもかなり苦しい状態になります。

お腹の張りで腸が圧迫されて食欲もなくなっていきます。食事量が減少すると栄養状態が悪化していきます。栄養状態が悪化すると体の中からアルブミンというたんぱく質の一種が減ります。アルブミンは血管内に水分を保つ働きがあります。アルブミンが減ると血管内に水分を保てなくなり、水分がお腹の中のスペースに出ていきます。腹水はこの悪循環で溜まり続けていきます。

腹水は利尿剤の投与などで症状が緩和されることもありますが、効果には限界があります。腹水による症状が強くなればお腹に針を刺すなどして腹水を抜くことも考慮されますが、症状が緩和されるのは一時的です。

腹部が張って苦痛が増すときなどは、麻薬性の鎮痛剤などを使用すると痛みが軽減することがあります。楽な体勢や日常の介助などをしっかりとすることも大事です。

消化管とは食べ物の通り道のことです。胃や腸は消化管の一部です。

肝内胆管がんが進行するとお腹の中にがんが飛び散ることがあります。がんが周りから腸を締め上げることで食べたものが通過しなくなることがあります。この状態が消化管閉塞です。消化管閉塞(腸閉塞)の状態では、吐き気や嘔吐が症状として現れます。

消化管閉塞に対しては食事を一度やめ、点滴から栄養を補います。腸に溜まった液体を外に出して腸を休めてあげることで改善することがあります。それでも消化管閉塞が治らない場合には手術によって新しく腸の流れを作ることで症状が改善することがあります。手術の方法は腸をつなぎ直す消化管バイパスや便の出口をつくる人工肛門などです。

浮腫とは体のむくみのことです。がんが進行すると身体から栄養が減っていきます。栄養が減っていくとアルブミンというたんぱく質も減少していきます。アルブミンが減少すると血管の中の水分が出ていくことになります。このために足がむくんだりします。栄養状態の低下以外でも、リンパ管が閉塞することによって浮腫が生じることもあります。

浮腫が強くなると痛みの原因になることがあります。痛みがひどくなれば鎮痛剤などで対応することになります。

腹水や全身にがんの転移がある状況では悪液質(カヘキシア)と呼ばれる状態が引き起こされます。カヘキシアでは以下の症状が現れます。

  • 常に倦怠感につきまとわれる

  • 食欲がなくなり、食事をとっても体重が減っていく

  • 身体のむくみがひどくなる

  • 意識がうとうとする

悪液質は身体の栄養ががんに奪われ、点滴で栄養を補給しても身体がうまく利用できない状態です。気持ちの面でも、思うようにならない身体に対して不安が強くなり、苦痛が増強します。これらの末期の症状を思ったようになくすことは難しいことが多いです。緩和医療で症状を和らげることが重要です。また不安を少しでも取り除くために、できるだけ過ごしやすい雰囲気を作ることも大事です。