高尿酸血症とは?症状、原因、検査、治療など
高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態です。高尿酸血症は痛風や尿路結石、慢性腎臓病の原因にもなります。高尿酸血症の治療は生活習慣の改善や薬物療法により行います。
1. 高尿酸血症とはどんな病気か?

高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態をいいます。尿酸は
尿酸とは?
尿酸はプリン体が分解される過程で産生される物質です。プリン体は、細胞の中にあるDNAやRNAと呼ばれる生き物の設計図になる物質を作るために必要なものです。つまり、プリン体は生きる上で必要な栄養素の一つであると言えます。
プリン体は食べ物に含まれており食事から摂取されることで身体の中に取り込まれます。また要らなくなったプリン体は尿酸に分解され、腎臓から排泄されます。しかし、食べ物から取り込まれるプリン体の量が過剰に多くなったり、腎臓から排泄される尿酸の量が減ったりすると、高尿酸血症を起こします。
高尿酸血症の定義
血液中の尿酸の濃度は病院やクリニックで行われる血液検査で測定することができます。血液中の尿酸の濃度はmg/dL(ミリグラムパーデシリットル)という単位が使われます。血液検査では尿酸を意味する「UA」と書かれている欄に数値が記載されていることが多いです。高尿酸血症は血液中の尿酸の濃度が7.0mg/dLを越えている状態と定義されます。
痛風とはどう違うのか?
高尿酸血症は血液中の尿酸の濃度が高い状態のことです。症状がなくても、尿酸値が高ければ、高尿酸血症に該当します。
一方、痛風は関節の痛みや腫れなどの原因になる病気です。これは関節などに尿酸の結晶ができることで起こります。足の親指の付け根に激しい痛みが出ることが典型的な症状です。尿酸の結晶は血液中の尿酸の濃度が高いとできやすく、痛風と高尿酸血症は密接に関わっています。
2. 高尿酸血症の症状
高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態です。尿酸の値に異常があっても、何も症状が現れないことが多いです。そのため、高尿酸血症は診断が遅れやすい病気であり、また見つかっても治療の必要性を感じにくくさせています。
一方で尿酸値が高い状態が続いていると、過剰になった尿酸が関節、尿管などに結晶となって出てくることで、痛風や尿路結石などの他の病気の原因になります。これらの病気は強い痛みの原因になることもあり、生活の質を大きく低下させます。そのため、これらの病気を予防する意味で高尿酸血症は治療する必要があると考えられています。以下では高尿酸血症により起こる病気として痛風、尿路結石、痛風腎・慢性腎臓病について説明していきます。
痛風
痛風は尿酸が体内で結晶となり、関節などで
痛風により炎症が起きた関節では痛みが出るだけでなく、腫れたり、皮膚が赤みを帯びたり、熱を持ったりすることもあります。これらの関節の痛みや腫れは症状が始まってから2-3時間程度で急激に悪くなります。その後、症状は24時間以内にピークに達し、長くても1週間程度で良くなっていきます。
痛風の症状が現れている際には、抗炎症薬などを使って早く炎症が治るように努めます。また痛風発作が起きている時に、尿酸を下げる薬を始めると症状が悪くなることがあるので、尿酸を下げる治療薬を始める場合には、痛風発作が落ち着いてから行うようにします。
尿路結石
尿路結石は尿の流れる道に石ができる病気です。尿路とは、

高尿酸血症では、尿から排泄された尿酸が結晶化することで、尿路結石の原因になることがあります。
尿路結石の一つの代表的な症状は
尿路結石のもう一つの代表的な症状は背中や腰、脇腹にかけての痛みです。痛む場所はどこに結石があるかで変わります。尿路結石の痛みは差し込むような痛みで出たり、背中にずーんと重い痛みや背中の違和感として現れることもあります。尿の色の変化や背中や腰などの症状がある場合には、医療機関で調べてもらうことをお勧めします。
痛風腎・慢性腎臓病
高尿酸血症は尿酸の結晶が腎臓にできることで、腎障害の原因になることがあります。この腎臓に尿酸の結晶ができた状態を痛風腎と呼びます。また、
腎臓は本来、身体の中の毒素を濾過(ろか)し、余分な水分とともに尿として排出する役割があります。慢性腎臓病が進行すると、尿が全く作れなくなり、毒素や余分な水分の排泄が行えなくなります。そうなると、腎臓の代わりに
腎臓は一度障害されると回復が難しい臓器の一つです。そのため、腎臓を守る観点でも、高尿酸血症の治療を勧められる場合があります。
3. 高尿酸血症の原因
尿酸は腎臓から排泄されることで、血液中の濃度が一定に保たれていますが、産生される尿酸の量が多くなったり、腎臓からの排泄が落ちたりすると、高尿酸血症が起こります。高尿酸血症の具体的な原因には以下のようなものがあります。
高尿酸血症の原因の一部は生活習慣と密接に関わるものがあります。原因に応じて治療法が変わることもあります。高尿酸血症の原因について、詳しくは「原因の章」で説明しています。
4. 高尿酸血症の検査
高尿酸血症の検査は高尿酸血症の診断、同時に起こる他の生活習慣病の評価、高尿酸血症の治療効果判定などに用いられます。高尿酸血症では以下のような検査が行われます。
- 身長・体重・腹囲測定
血圧測定 - 血液検査
- 尿検査
詳しくは「検査の章」で説明しています。ここではそれぞれについて簡単に説明します。
身長・体重・腹囲測定
高尿酸血症は肥満と密接に関わる病気です。高尿酸血症の治療のために肥満の改善が望まれる場合も多いです。肥満であるかの判定には、身長と体重から
- BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例えば、体重60kgで身長170cmの人のBMIは60÷1.7÷1.7=20.8になります。正常のBMIは18.5から25であり、BMIが25以上の時に肥満に該当します。
またBMIと合わせて、腹囲が測定されることがあります。腹囲はメタボリックシンドロームの判定に用いられます。高尿酸血症の人はメタボリックシンドロームに該当することが多いことがわかっています。
メタボリックシンドロームは腹囲、脂質、血圧、
メタボリックシンドロームの人は生活習慣の改善のため、医師や保健師・管理栄養士の指導が設けられます。このように高尿酸血症ではBMIや腹囲から肥満や内臓脂肪の評価を行い、方針決定に役立てられます。
血圧測定
高尿酸血症の人は高血圧も一緒に持っていることが多いです。そのため、高血圧の判定のために血圧測定が行われます。高血圧とは、病院や健診などで測定した血圧(診察室血圧)が、
血液検査
血液検査も高尿酸血症の診断や治療効果判定に必要な検査です。また、高尿酸血症と他の生活習慣病を同時に持っている人もいるので、生活習慣病の早期発見においても血液検査は重要です。高尿酸血症の人に対し、健診や診療でよく測定される血液検査項目としては、尿酸、クレアチニン・BUN、血糖値、
血液検査により高尿酸血症の状態や、高尿酸血症と一緒に起こりやすい生活習慣病を確認することができます。
尿検査
高尿酸血症は体内で尿酸が大量に作られたり、腎臓からの排泄が低下することで起こります。腎臓からの尿酸の排泄の程度は尿検査で尿中の尿酸値を測定することで行われます。
「治療の章」で詳しく説明しますが、高尿酸血症の治療薬には尿酸の生成を抑える尿酸生成抑制薬と尿酸の排泄を促進する尿酸排泄促進薬があります。尿酸生成抑制薬は尿酸産生過剰型に対して、尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下型に対して使われることが多く、高尿酸血症の治療薬選択のために尿検査が活用されることもあります。
5. 高尿酸血症の治療
高尿酸血症の治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。
高尿酸血症はプリン体を多く含むものばかり食べていたり、お酒を飲み過ぎたりすると起こりやすいです。また、高尿酸血症は肥満の人で起こりやすいことも分かっています。食事療法はプリン体の摂り過ぎやお酒の飲み過ぎに注意するなど、適切な食事を行うことで高尿酸血症の改善を目指す治療法です。
運動療法は高尿酸血症の中でも肥満がある方で主に行われます。ジョギングなどの有酸素運動を行います。
薬物療法は薬により血液中の尿酸を改善させる治療法です。
食事療法、運動療法、薬物療法の内容について詳しくは「治療の章」で説明しています。以下で簡単に説明をしていきます。
食事療法
プリン体は尿酸のもととなる物質であり、プリン体を多く含むものを食べ過ぎたり、アルコール飲料を飲みすぎたりすると血液中の尿酸値の上昇の原因になります。また、肥満と高尿酸血症は密接に関わるため、カロリーの過剰摂取にも注意が必要です。食事療法は高尿酸血症の基礎となるものであり、あとで述べる薬物療法を行う場合においても欠かせないものになります。高尿酸血症の食事療法では以下のポイントが重要です。
- プリン体を多く含むものを食べ過ぎない
- 適切な量のカロリー(エネルギー)を摂取する
- 脱水に気をつける
- アルコール飲料を摂取しすぎない
「治療の章」でこれらについて詳しく説明しています。
運動療法
肥満の人は高尿酸血症を起こしやすいです。また肥満の人では体重を減量することで高尿酸血症が改善することがあり、運動療法としては有酸素運動が勧められています。有酸素運動とは十分な呼吸で酸素を取り込みながら行う運動のことです。有酸素運動の一例を以下に挙げます。
- ジョギング
- 速歩
- 水泳
- エアロビクス
- サイクリング
有酸素運動は長時間継続可能な強度の運動です。有酸素運動は肥満解消効果が高い運動であることから、肥満がある高尿酸血症の人で推奨されています。一方、ウエイトトレーニングのように運動をした後に手足がぱんぱんになる運動は無酸素運動と言います。無酸素運動は尿酸値をあげるという報告もあり、高尿酸血症の人には適していません。もし、運動をした後に手足がぱんぱんになる場合には運動強度として強すぎる可能性があります。
薬物療法
痛風発作を繰り返す高尿酸血症では薬物療法が選択される場合があります。薬物療法で使われる薬は大きく4種類に分けられます。
- 尿酸排泄促進薬
- 尿酸生成抑制薬
- 尿アルカリ化薬
- 漢方薬
尿酸生成抑制薬は尿酸の生成を抑え、尿酸排泄促進薬は排泄を促すことで尿酸値を下げる効果があります。尿アルカリ化薬は尿酸排泄促進薬を使う時など尿路結石ができやすい時に尿路結石を予防する目的で使われます。漢方薬は高尿酸血症になりやすい体質を改善するために使われます。また高尿酸血症は肥満がある人で起こりやすいとされていますが、肥満の改善を目的として漢方薬が使われることもあります。
それぞれの薬剤の特徴や副作用については「治療の章」で詳しく説明していきます。
6. 高尿酸血症の注意点
高尿酸血症はそれ自体にあまり目に見える症状がなく、また付き合いも長くなる病気であり、治療意欲を維持するのが難しい病気かもしれません。しかし、高尿酸血症は治療されていない状態が続くと、痛風や尿路結石など他の病気の原因になることがあります。痛風や尿路結石は強い痛みの原因になることがある病気であり、生活の質を大きく低下させるため、痛風や尿路結石を起こさないようにするためにも高尿酸血症の治療をすることが望まれます。
ここでは高尿酸血症の治療の重要なポイントである「生活習慣を改善する」、「薬をしっかり飲む・通院を継続する」という点について説明したいと思います。「注意点の章」では他にも「高尿酸血症の時に食べ過ぎない方が良いもの」、「高尿酸血症でアルコール飲料の飲み過ぎは良くない?」、「高尿酸血症にサプリメントは効くか?」といったことについて説明しています。
生活習慣を改善する
高尿酸血症は肥満や大量の飲酒によって悪化することがわかっています。また、高尿酸血症を持っている人は糖尿病や高血圧など他の生活習慣病も同時に持ち合わせていること多いです。そのため、高尿酸血症や同時に持ち合わせる可能性がある生活習慣病の治療を目的として生活習慣の改善は行った方が良いものと考えられています。具体的には以下のことが挙げられます。
- 外食、飲み会の回数を減らす
- ご飯を満腹まで食べず、腹8分目程度にとどめる
- 夕飯は寝る2時間前までに済ますようにする
- 野菜を多めにとるようにする
- 脱水に気をつける
- 通勤に徒歩や自転車を取り入れる
- エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使うようにする
より細かい食事や運動のポイントについては「治療の章」でも説明しています。
生活習慣を変えるだけで高尿酸血症や糖尿病や高血圧など他の生活習慣病が良くなってしまえば、薬を飲む必要がなくなり薬の費用もかからなくなります。高尿酸血症があり生活習慣の乱れに心当たりのある方は、できるところからで構いませんので改善していくことをお勧めします。
薬をしっかり飲む・通院を継続する
高尿酸血症の方で痛風を繰り返す場合などには薬物療法が必要になることがあります。食事療法や運動療法だけで良くならなかった高尿酸血症が薬物療法で劇的に良くなるということも珍しくありません。
一方で、一度開始した薬による治療を自己中断してしまう方もいます。具体的には以下のような理由が考えられます。
- 症状があまりないので薬を飲む必要性を感じない
- 薬代が高い、定期的な通院が大変
- 薬物療法で高尿酸血症が改善したことに安心した
高尿酸血症は目に見える症状が現れにくく治療の必要性を感じにくい病気かもしれません。しかし、高尿酸血症は痛風や尿路結石などの原因にもなるので、これらの病気を予防する意味でも治療することが望まれます。
費用については、高尿酸血症の治療薬には後発品(ジェネリック医薬品)があるものがあります。薬物療法を始めた直後の通院は、薬物療法の効果や副作用がないかを確認するため、短い間隔で必要になりますが、薬物療法を開始して尿酸の値が安定している場合には、通院の間隔を伸ばせる場合があります。
薬物療法で尿酸の値が改善した場合でも、薬をやめてしまうと尿酸の値がもとに戻ってしまうことが珍しくありません。そのため、薬物療法は尿酸の値が改善したあとも継続されることが多いです。
通院の間隔や治療内容につき、疑問点があれば担当の医師に遠慮なく聞いてみてください。