こうにょうさんけっしょう
高尿酸血症
血液中の尿酸の濃度が高い状態。痛風や腎障害、尿路結石などの原因となりうる
8人の医師がチェック 70回の改訂 最終更新: 2023.07.16

高尿酸血症の原因:プリン体の多い食事、慢性腎臓病など

高尿酸血症の原因には偏った食事、アルコール飲料の過剰摂取、慢性腎臓病などがあります。原因により高尿酸血症の対応も異なるため、高尿酸血症の原因を明らかにすることは重要です。

1. 高尿酸血症の原因

高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態をいいます。尿酸は腎臓から排泄されることで、血液中の濃度が一定に保たれていますが、産生される尿酸の量が多くなったり、腎臓からの排泄が落ちたりすると、血液中の尿酸の濃度が高くなります。具体的な高尿酸血症の原因には以下のようなものがあります。

以下でそれぞれの原因について説明していきます。

2. 偏った食事

尿酸はプリン体が分解されることによりできます。プリン体は食べ物に含まれる栄養素の一つであり、食べ物から身体の中に取り込まれます。プリン体は身体に必要な栄養素ですが、豊富に含む食べ物ばかり食べていると、分解される尿酸の量も多くなるので、高尿酸血症になりやすくなります。プリン体を豊富に含む食べ物の一例と100gあたりのプリン体量は以下の通りです。

食品 プリン体量(100gあたり)
レバー(鶏肉) 312.2mg
カツオ 211.4mg
マイワシ 210.4mg
ちりめんじゃこ 1108.6mg
イサキ白子 305.5mg

食べ物の中でも肉・魚類や内臓類や卵類はプリン体を多く含みます。

偏った食事が原因で高尿酸血症が起きている場合には、食事内容を変えることで、高尿酸血症を改善できる場合があります。

参考:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

3. アルコール飲料の過剰摂取

アルコール飲料の過剰摂取が高尿酸血症の原因となる理由としては以下の二つが考えられます。

一つ目はアルコールが腎臓からの尿酸の排泄を低下させる作用があるためです。尿酸はプリン体から生成された後、最終的に腎臓から尿に排泄されます。腎臓の機能によって身体の中の尿酸が多くならないように調整されており、腎臓からの尿酸の排泄が低下すると高尿酸血症を引き起こす原因になります。

二つ目はアルコール飲料にプリン体が含まれているためです。アルコール飲料に含まれるプリン体の量はアルコールの種類によっても異なります。それぞれのアルコール飲料100mlあたりに含まれるおおまかなプリン体の量は以下の通りです。

食品 プリン体量(100mlあたり)
ウイスキー 0.1-0.3mg
日本酒 1.2-1.5mg
ワイン 0.4-1.6mg
発泡酒 2.8-3.9mg
ビール 3.3-8.4mg
地ビール 6.7-16.7mg

アルコール飲料に含まれるプリン体は多いもので100mlあたり15mgほどと言われています。実は、食品の量あたりで言うと、アルコール飲料よりも肉や魚のほうが多くのプリン体を含んでいます。レバー100gに含まれるプリン体の量は300mg程度です。こう考えると、アルコール飲料のプリン体は大した量ではないと感じるかもしれません。しかし、アルコール飲料は大量に飲んでしまうことも多く、身体に取り込まれるプリン体が無視できない量となることがあります。

このようにアルコールは尿酸排泄低下作用や、プリン体が含まれることで高尿酸血症の原因になります。高尿酸血症が気になる方はアルコール飲料の飲みすぎに注意が必要です。

参考文献:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

4. 肥満

肥満の人は高尿酸血症になることが多いことがわかっています。肥満の人で見られる肝臓での脂肪の合成が、プリン体合成・尿酸合成に繋がるといったことが原因として考えられています。肥満は改善することで高尿酸血症の改善に繋がることも多いので、肥満のある高尿酸血症の人では、肥満と高尿酸血症の改善を目指し、カロリー制限や有酸素運動が勧められます。

5. 脱水

脱水になると血液が濃縮されることにより、高尿酸血症を起こします。脱水による高尿酸血症が疑われる場合はまず脱水の改善を試み、それにより高尿酸血症も改善するかを確認していきます。脱水による高尿酸血症には一時的なもので食事療法や薬物療法は必要ないことが多いです。

6. 慢性腎臓病

慢性腎臓病は尿に異常なものが混じるなど、腎臓が障害されている状態が持続していることを言います。腎臓は身体の余分な尿酸を排泄する役割があるため、慢性腎臓病の状態では高尿酸血症になりやすいです。

慢性腎臓病が高尿酸血症の原因となっている場合には、生活習慣の改善のみでは高尿酸血症がよくならないことが多いです。高尿酸血症が慢性腎臓病を悪くするという考えもあるので、重度な高尿酸血症がある場合には薬物療法を行われることもあります。

7. 白血病の抗がん剤治療

血液のがんの一種である白血病の抗がん剤治療中も高尿酸血症に注意が必要です。白血病は血液のがん細胞が大量に増殖していく病気であり、治療では抗がん剤を使ってがん細胞を退治していきます。抗がん剤により血液のがん細胞は大量に死んでいきますが、血液のがん細胞の中にはプリン体が含まれているため、がん細胞が死んでいく過程で大量のプリン体が血液中に放出されます。これにより分解される尿酸の量も増え、高尿酸血症の原因になります。このように抗がん剤治療などにより、がん細胞が死ぬことで細胞の中の有毒物質が血液中に放出されることを腫瘍崩壊症候群と言います。(白血病の抗がん剤治療中に引きおこされる高尿酸血症は腫瘍崩壊症候群の一つです)

白血病の抗がん剤治療中に起こる高尿酸血症は非常に重度になることが多いため、白血病の抗がん剤治療中は予防的に高尿酸血症の治療薬が使用されることが多いです。具体的には腫瘍崩壊症候群に伴う高尿酸血症治療薬であるラスブリカーゼ(商品名:ラスリテック®︎)という薬が使われます。

8. 遺伝性疾患

高尿酸血症を起こしやすい家系が見つかっています。そのことから、高尿酸血症の発症に何らかの遺伝的な要因(先天的要因)が関わっていると考えられています。ただし、そのような人でも、多くの人では遺伝子だけで高尿酸血症になるかが決まるわけではなく、偏った食事やアルコール飲料の過剰摂取の影響(後天的要因)もあって高尿酸血症になる人が多いです。

一方で、一部の方ではありますが、プリン体や尿酸生成に関わる重要な遺伝子に異常があることで重症の高尿酸血症を起こすことがあります。代表的な疾患としてレッシュ・ナイハン症候群があります。レッシュ・ナイハン症候群はヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼという酵素が正常に働かなくなることで、身体の中に尿酸が蓄積する病気です。高尿酸血症以外にも以下のような症状が現れます。

  • 典型的な症状
    • 勝手に身体が動くこと(不随意運動
    • 筋肉の硬直
    • 精神発達の遅れ
    • 腎結石による腰の痛みや血尿
  • 他の病気では出にくい症状
    • 自ら唇や指先を噛みちぎる行為(自傷行為)

不随意運動は1歳を過ぎた頃から、自傷行為は2歳を過ぎた頃から現れるとされています。もし、小さいお子さんでこれらの行動異常がある場合は、医師に相談するようにしてください。