尿酸値を下げる薬、90日使った男性は膀胱がんが2倍発生する?

尿酸値を下げる作用のあるアロプリノールは、痛風再発防止などのために広く使われています。副作用として消化器症状などがあります。がんとの関連がないか調べた研究から、膀胱がんとの統計的な関連が見られたことが報告されました。
◆痛風とがんに関係はあるか?
研究班は、台湾の診療データベースを使い、データの解析を行いました。
痛風と診断され、2型糖尿病はなかった20歳以上の男性24,050人の経過をおよそ12年分にわたって調べました。痛風がなかった男性のうちから年齢が一致するように選んだ76,129人の経過と比較して、
◆アロプリノール90日で膀胱がんが2.26倍に?
次の結果が得られました。
アロプリノールを90日を超えて使用した人と、使用していない人を比較したとき、年齢で調整したうえで、すべての原因のがんのハザード比は1.21(95%信頼区間1.03-1.42、P=0.019)であり、膀胱がんについては2.26(95%信頼区間1.32-3.87、P=0.003)だった。
アロプリノールを90日を超えて使い続けていた人では、全体にがんの発生が多く、特に膀胱がんの発生率は2.26倍になっていました。
膀胱がんの原因の一部として、芳香族アミンなどの化学物質が知られています。アロプリノールも関係しているのでしょうか?
ここで見られた結果は、アロプリノールを使った人に膀胱がんが発生しやすい、あるいは診断されやすい背景の偏りがあったと仮定しても説明できるため、これだけでアロプリノールが膀胱がんの原因になると判断することはできません。
ほかの観点からも検討する価値があるかもしれません。
執筆者
Allopurinol and the incidence of bladder cancer: a Taiwan national retrospective cohort study.
Eur J Cancer Prev. 2016 May.
[PMID: 25830898]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。