こうにょうさんけっしょう
高尿酸血症
血液中の尿酸の濃度が高い状態。痛風や腎障害、尿路結石などの原因となりうる
8人の医師がチェック 70回の改訂 最終更新: 2023.07.16

知っておくべき高尿酸血症の注意点

高尿酸血症の治療では、プリン体を多く含むものを食べ過ぎない、アルコール飲料を飲みすぎないといった生活習慣の改善が重要であると考えられています。また薬物療法の際には、処方された薬をしっかり飲むことが重要です。

1. 高尿酸血症をしっかり治療するために

高尿酸血症はそれ自体にあまり目に見える症状がなく、また付き合いも長くなる病気であり、治療意欲を維持するのが難しい病気かもしれません。しかし、高尿酸血症は治療されていない状態が続くと、痛風尿路結石など他の病気の原因になることがあります。痛風尿路結石は強い痛みの原因になることがある病気であり、生活の質を大きく低下させるため、痛風尿路結石を起こさないようにするためにも高尿酸血症は治療する必要があります。

高尿酸血症の治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。ここでは高尿酸血症の治療の重要なポイントである「生活習慣を改善する」、「薬をしっかり飲む・通院を継続する」という点について説明したいと思います。

生活習慣を改善する

高尿酸血症は肥満や大量に飲酒をすると悪化することがわかっています。また、高尿酸血症を持っている人は糖尿病や高血圧など他の生活習慣病も同時に持ち合わせていることが多いです。そのため、高尿酸血症や同時に持ち合わせる可能性がある生活習慣病の治療を目的として生活習慣の改善は行った方が良いものと考えられています。具体的には以下のことが挙げられます。

  • 外食、飲み会の回数を減らす
  • ご飯を満腹まで食べず、腹8分目程度にとどめる
  • 夕飯は寝る2時間前までに済ますようにする
  • 野菜を多めにとるようにする
  • 脱水に気をつける
  • 通勤に徒歩や自転車を取り入れる
  • エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使うようにする

より細かい食事や運動のポイントについては「治療の章」でも説明しています。

生活習慣を変えるだけで高尿酸血症や糖尿病や高血圧など他の生活習慣病が良くなってしまえば、薬を飲む必要がなくなり薬の費用もかからなくなります。高尿酸血症があり生活習慣の乱れに心当たりのある方は、できるところからで構いませんので改善していくことをお勧めします。

薬をしっかり飲む・通院を継続する

高尿酸血症の方の中で痛風を繰り返す場合などには薬物療法が必要になることがあります。食事療法や運動療法だけで良くならなかった高尿酸血症が薬物療法で劇的に良くなるということも珍しくありません。

一方で、一度開始した薬による治療を自己中断してしまう方もいます。具体的には以下のような理由が考えられます。

  • 症状があまりないので薬を飲む必要性を感じない
  • 薬代が高い、定期的な通院が大変
  • 薬物療法で高尿酸血症が改善したことに安心した

高尿酸血症は目に見える症状が現れにくい病気であり、治療の必要性を感じにくい病気かもしれません。しかし、高尿酸血症は治療されていない状態が続くと、痛風尿路結石など他の病気の原因になることがあります。痛風尿路結石は強い痛みの原因になることがある病気であり、生活の質を大きく低下させるため、痛風尿路結石を起こさないようにするためにも高尿酸血症は治療する必要があります。

費用については、高尿酸血症の治療薬には後発品(ジェネリック医薬品)があるものがあります。薬物療法を始めた直後の通院は、薬物療法の効果や副作用がないかを確認するため、短い間隔で必要になりますが、薬物療法を開始して尿酸の値が安定している場合には、通院の間隔を伸ばせる場合があります。

薬物療法で尿酸の値が改善した場合でも、薬をやめてしまうと尿酸の値がもとに戻ってしまうことが珍しくありません。そのため、薬物療法は尿酸の値が改善したあとも継続されることが多いです。ただし、薬物療法を開始して長期間、尿酸の値が安定している場合には薬物療法を中止することもあります。

通院の間隔や治療内容につき、疑問点があれば担当の医師に遠慮なく聞いてみてください。

2. 高尿酸血症の時に食べ過ぎない方が良いもの

高尿酸血症の時に食べ過ぎない方が良いものとして、プリン体を多く含むものが挙げられます。プリン体は尿酸のもととなる物質です。具体的に1日あたりのプリン体の摂取量を400mgを超えないようにするのが目標とされています。

また、100gあたりプリン体を200mg以上含む食べ物は高プリン食品と呼ばれ、高尿酸血症の治療の時に食べ過ぎに気をつける食品の一つになります。高プリン食品に該当するもの一例を以下に挙げます。

  • レバー
  • カツオ
  • マイワシ
  • ちりめんじゃこ
  • 白子

食品中に含まれるプリン体の含有量は「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」でも紹介しています。

高尿酸血症の食事療法ではレバーなどの内臓類や魚の干物などプリン体を多く含むものを摂り過ぎないように注意してください。

3. 高尿酸血症でアルコール飲料の飲み過ぎは良くない?

アルコール飲料は摂取量が増えると、血液中の尿酸値の上昇を引き起こし、痛風の頻度が増えるとされています。そのため、高尿酸血症の人ではアルコール飲料を飲みすぎないように注意が必要です。尿酸値へ影響が出にくい1日のアルコール飲料の目安量としては以下のようになります。

食品 目安
日本酒 1合
ビール 500ml
ウィスキー 60ml

高尿酸血症で飲酒量が多い自覚のある場合は、上記のアルコール量を意識するようにしてください。

4. 高尿酸血症にサプリメントは効くか?

サプリメントの中には、血液中の尿酸に対して作用を持つと説明されるものがあります。たしかに、それらのサプリメントも高尿酸血症に対して効果がある可能性はあります。しかし、病院で処方される高尿酸血症の改善薬に比べると、有効性や安全性に関する試験が十分でないものが多く、効果があるとははっきり言えないというのが現状です。また、サプリメントの中には、医薬品との飲み合わせが悪いものもあるので、サプリメントを内服されている方は、担当の医師や薬剤師に相談することをお勧めします。