こうにょうさんけっしょう
高尿酸血症
血液中の尿酸の濃度が高い状態。痛風や腎障害、尿路結石などの原因となりうる
8人の医師がチェック 70回の改訂 最終更新: 2023.07.16

高尿酸血症の検査:血圧測定、血液検査など

高尿酸血症の検査では身長・体重・腹囲測定、血圧測定、血液検査、尿検査などを行います。これらは、高尿酸血症の診断、同時に起こる他の生活習慣病の評価、高尿酸血症の治療効果判定などに用いられます。

1. 身長・体重・腹囲測定

高尿酸血症は肥満と密接に関わる病気です。肥満のある高尿酸血症の人では、肥満自体の改善が必要な場合もあります。肥満であるかを判定するためには、身長と体重からBMI(ビーエムアイ)を計算します。

  • BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

例えば、体重60kgで身長170cmの人のBMIは60÷1.7÷1.7=20.8になります。正常のBMIは18.5から25であり、BMIが25以上の時に肥満に該当します。

またBMIと合わせて、腹囲が測定されることがあります。腹囲はメタボリックシンドロームの判定に用いられます。高尿酸血症の人はメタボリックシンドロームに該当することが多いことがわかっています。

メタボリックシンドロームは腹囲、脂質、血圧、血糖という、動脈硬化と関わりのある要素の異常をまとめたものです。動脈硬化とは血管が傷つき弾力が失われたり、血管が狭くなった状態です。動脈硬化は進行すると狭心症心筋梗塞脳梗塞などの原因になります。そのため、動脈硬化を起こしやすい人を早くから見つけ、予防する目的でメタボリックシンドロームという考え方が生まれました。

腹囲は内臓についた脂肪(内臓脂肪)の量を予測するために計測します。腹囲はへその高さで計測し、男性85cm、女性90cmの時に内臓脂肪の面積が身体の水平断面で100cm2に相当することが分かっています。そのため、メタボリックシンドロームの診断でも「腹囲男性85cm、女性90cm」が必須項目とされています。

メタボリックシンドロームと診断する場合には以下の基準を用います。

メタボリックシンドロームの診断基準(8学会による合同基準)】

  1. 必須項目
    1. 腹囲 男性85cm以上 女性90cm以上を満たす
  2. 選択項目
    1. 中性脂肪≧150mg/dl、HDL<40mg/dlのどちらかまたは両方を満たす
    2. 収縮期(最大)血圧≧130mmHg、拡張期(最小)血圧≧85mmHgのどちらかまたは両方を満たす
    3. 空腹時血糖≧110mg/dlを満たす

上の表にある必須項目に加えて、2つ以上の選択項目で当てはまる場合にメタボリックシンドロームと診断します。

メタボリックシンドロームの人は生活習慣の改善のため、医師や保健師・管理栄養士の指導が設けられます。このように高尿酸血症ではBMIや腹囲から肥満や内臓脂肪の評価を行い、方針決定に役立てられます。

2. 血圧測定

高尿酸血症の人は高血圧症も一緒に持っていることが多いです。そのため、高血圧の有無を判定するために血圧測定が行われます。

病院や健診などで測定した血圧(診察室血圧)が、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(140/90mmHg以上)であると高血圧症と診断されます。自宅で測定した血圧(家庭血圧)は病院や健診で測定する場合よりも低いことが多いので、収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上(135/85mmHg以上)で高血圧症と診断されます。

高尿酸血症に加えて高血圧症がある場合には、高尿酸血症の治療と並行して高血圧症に対する治療も行う必要があります。

3. 血液検査

血液検査も高尿酸血症の診断に必要な検査です。また、高尿酸血症は他の生活習慣病を合併することがあり、生活習慣病を早期に発見する上でも重要です。高尿酸血症の人に対し、健診や診療で測定されることが多い血液検査項目としては以下のものがあります。

  • 尿酸
  • クレアチニン・BUN
  • 血糖値
  • コレステロール・中性脂肪

尿酸

高尿酸血症の診断は血液中の尿酸の値によって行われます。血液中の尿酸の値はmg/dl(ミリグラムパーデシリットル)という単位が使われます。血液検査では尿酸を意味する「UA」と書かれている欄に数値が記載されていることが多いです。血液中の尿酸の値が7.0mg/dlを越えている時に、高尿酸血症と診断されます。

また、尿酸の値は高尿酸血症の治療の上でも重要です。例えば、痛風を繰り返す高尿酸血症では薬物療法を選択されることがありますが、この場合、血液中の尿酸の値が6.0mg/dl以下を目指して治療が行われます。

このように尿酸の値を測定することで、高尿酸血症の診断や治療に役立てられます。

クレアチニン・BUN

クレアチニンやBUN(ビーユーエヌ)は腎臓の機能を調べる検査です。クレアチニンやBUNは身体の中の老廃物で本来腎臓から排泄されますが、腎臓の機能が落ちてくると、血液中のクレアチニンやBUNの濃度が上昇してきます。そのため、腎臓の機能を予測する検査として用いることができます。高尿酸血症では以下の二つの理由からクレアチニンやBUNを調べます。

一つ目は高尿酸血症が腎不全によって引き起こされることがあるためです。腎不全とは腎臓が機能しなくなってしまった状態です。腎不全になるとクレアチニンやBUNの検査値が上昇するため、クレアチニンやBUNを調べることで、腎不全が原因で高尿酸血症が起きていないか確認することができます。

二つ目は高尿酸血症が慢性腎臓病の原因になることがあるためです。慢性腎臓病は尿に異常なものが混じるなど、腎臓が障害されている状態が持続していることを言います。高尿酸血症は過剰になった尿酸が腎臓で結晶を作ることで、腎臓を障害し、慢性腎臓病の原因となります。慢性腎臓病の診断はクレアチニンの値を参考に行われるため、慢性腎臓病の診断目的にクレアチニンが測定されることがあります。

血糖値

血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことです。高尿酸血症の人はメタボリックシンドロームも同時に起こすことが多く、メタボリックシンドロームの診断の目的で血糖値が測定されることがあります。

メタボリックシンドロームの診断には空腹時血糖値を用います。空腹時血糖値とは、9時間以上食事を摂っていない状態での血糖値のことです。空腹時血糖値に対し、食事の時間と関係なく測定した血糖値は随時血糖値と呼ばれます。

血糖値は食後に上がり、空腹のときは下がります。そのため、食事の影響のない血糖値を確認するため、空腹時血糖値によってメタボリックシンドロームの診断は行われます。

コレステロール・中性脂肪

コレステロールや中性脂肪は血液中に含まれる脂質の一種です。高尿酸血症の人で測定される血液中の脂質の測定値には以下の4種類のものがあります。

  • LDLコレステロール(LDL-C)
  • HDLコレステロール(HDL-C)
  • 中性脂肪(TG)
  • 総コレステロール(TC)

コレステロールは細胞の膜やホルモンの材料となる脂質で、中性脂肪は身体を動かす上でのエネルギー源となる脂質です。コレステロールは悪玉のLDLコレステロールと善玉のHDLコレステロールに分けられます。コレステロールや中性脂肪は身体に必要な栄養素ですが、悪玉の脂質であるLDLコレステロールや中性脂肪が過剰に多い状態や、善玉の脂質であるHDLコレステロールが少ない状態が続くと、血管が傷つき動脈硬化の原因になります。

HDLコレステロールや中性脂肪はメタボリックシンドロームの診断にも必要な検査項目であり、メタボリックシンドロームの早期発見のため、高尿酸血症の人で計測されることがあります。

4. 尿検査

高尿酸血症は体内で尿酸が大量に作られるか、腎臓からの排泄が低下することで起こります。高尿酸血症はその原因に応じて以下の3つに分類されます。

  • 尿酸産生過剰型:尿酸が多く作られている
  • 尿酸排泄低下型:尿酸の排泄が少ない
  • 混合型:尿酸の産生過剰・排泄低下の両方が関わっている

ここで尿酸の排泄の程度は尿検査で尿中の尿酸値などを測定し、その値から計算されます。そのため、尿酸の排泄の程度を調べるためには、尿検査が必要であると言えます。

治療の章」で詳しく説明しますが、高尿酸血症の治療薬には尿酸の生成を抑える尿酸生成抑制薬と尿酸の排泄を促進する尿酸排泄促進薬があります。尿酸生成抑制薬は尿酸産生過剰型に対して、尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下型に対して使われることが多く、高尿酸血症の治療薬選択のために尿検査が行われることがあります。