きょせきがきゅうせいひんけつ
巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸の欠乏などが原因で、赤血球が正しく作れないことで貧血になる病気
8人の医師がチェック 86回の改訂 最終更新: 2017.12.20

巨赤芽球性貧血の基礎知識

POINT 巨赤芽球性貧血とは

血液中に含まれる細胞である赤血球は、酸素を全身に運ぶ役割を持っています。ビタミンB12や葉酸は赤血球を作るうえで必須の栄養素ですが、偏った食生活や胃の切除手術後などで、これらの栄養素が不足することがあります。このような原因で起きやすい貧血が巨赤芽球性貧血です。症状としてはめまい、立ちくらみ、息切れ、動悸、疲れやすいなどの貧血症状が出ます。不足している栄養分の種類によっては、舌の痛みや白髪、手足の感覚異常などが出る場合もあります。治療は巨赤芽球性貧血の原因によって異なりますが、ビタミンB12や葉酸の補充が中心となります。巨赤芽球性貧血が心配な方や治療したい方は血液内科や消化器内科を受診してください。

巨赤芽球性貧血について

  • ビタミンB12や葉酸などの欠乏が原因で、赤血球が正しく作れないことで貧血になる病気
    • これらの栄養素が不足すると、骨髄内で赤血球の元となる赤芽球が正常に成長できない
    • 骨髄内に巨大な赤芽球が目立つ貧血なので、この病名となっている
  • ビタミンB12欠乏の主な原因
    • 免疫の異常:ビタミンB12の吸収を妨げる抗体ができてしまう影響でビタミンB12が足りなくなる。この貧血を特に悪性貧血ともいう
      悪性貧血では胃がんや、橋本病などの甲状腺疾患になりやすいので要注意
    • 胃粘膜の萎縮
    • 胃全摘術後:術後5年くらいでビタミンB12欠乏症状が目立ってくる
    • 広節裂頭条虫の寄生
    • 回腸末端部の病気(クローン病など):ここでビタミンB12が吸収されるため
    • 菜食主義者(ベジタリアン):ビタミンB12は肉、魚、卵、牛乳などに多く含まれるため
  • 葉酸欠乏の主な原因
    • 慢性アルコール中毒
    • 妊婦、授乳婦や溶血性貧血など、葉酸がより必要な状態にある場合
    • 一部の抗けいれん薬(フェニトイン)、メトトレキサートなどの薬剤を使っているときは葉酸の吸収が適切に行われなくなる
  • 基本的に栄養障害であり、味覚障害や末梢神経障害合併することも多い

巨赤芽球性貧血の症状

  • 他の貧血と同様の症状
    • 動悸
    • 息切れ
    • 疲れやすい
    • めまい、立ちくらみ
    • 全身のだるさ など
    • これらの症状は初期には見られにくい
  • ビタミンB12欠乏による末梢神経障害合併しやすく、その場合には以下のような症状が出る
    • 四肢のしびれ
    • 歩行障害
    • 精神障害
    • 感覚障害(中でも、位置覚・振動覚と呼ばれる感覚):亜急性連合性脊髄変性症を合併しやすく、それによる症状
  • その他の症状
    • 舌炎:舌の痛み、味覚障害、食欲不振
      ・Hunter(ハンター)舌炎と呼ばれる
    • 白髪

巨赤芽球性貧血の検査・診断

  • 骨髄異形性症候群、赤白血病、慢性肝疾患、甲状腺機能低下症などの紛らわしい病気との区別が重要
  • 血液検査
    • 赤血球の大きさを調べる:貧血の原因の診断につながる(巨赤芽球性貧血では赤血球が大きくなる)
    • 白血球血小板の値も調べる;いずれも減少していることが多い
    • ビタミンB12や葉酸の量を調べる
  • 骨髄検査
    • 腰骨や胸の骨から骨髄を採取する
    • 顕微鏡で確認すると、巨大な赤芽球が見られる
  • 上部消化管内視鏡検査胃カメラ

巨赤芽球性貧血の治療法

  • 巨赤芽球性貧血の原因を確認するとともに、ビタミンB12と葉酸の補充療法を開始する
  • 補充療法
    • 内服:単に食事摂取が偏っていたり、不足していた場合は飲み薬で治療する
      ・葉酸は胃腸からの吸収率が高いので、内服での補充が有効な場合も多い(フォリアミン®など)
    • 注射:胃腸に吸収障害がある場合は注射でビタミンB12や葉酸を補充する
      ・ビタミンB12は胃腸からの吸収率が悪めなので、注射による補充が原則(メチコバール®など)
      ・ビタミンB12は体内に多く貯蔵できるので、安定すれば数ヶ月に1回の注射でよい
  • 原因に対する治療
    • 薬剤の副作用による巨赤芽球性貧血の場合には、原因薬剤を変更あるいは減量する
    • その他、改善できる原因がある場合にはまずそれを治療する
  • ビタミンB12や葉酸を補充すれば貧血は数週間から1ヶ月ほどで改善することが多い

巨赤芽球性貧血に関連する治療薬

葉酸製剤

  • ビタミンの一つである葉酸を補い、葉酸欠乏による貧血や口内炎を予防する、もしくは妊娠時の葉酸補充などに使用する薬
    • 葉酸は水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミンである
    • 赤血球の合成や細胞の生成を助け、皮膚の粘膜強化などにも作用する
    • 胎児の成長に大切な役割を果たすため、妊娠中では十分な量の葉酸摂取が必要となる

  • 「関節リウマチでの薬物療法」「がん治療での化学療法」「抗てんかん薬による治療」などにおける補充療法薬としても使用する場合がある
葉酸製剤についてもっと詳しく

ビタミンB12製剤

  • ビタミンB12を補い、貧血や末梢神経痛、しびれなどを改善する薬
    • ビタミンB12は水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミンで細胞の分裂などに欠かせない核酸の合成に関わる
    • ビタミンB12は血液中の酸素を運ぶヘモグロビンの合成に関わり貧血などを改善する
    • ビタミンB12は末梢神経の修復などに関わり、痛みやしびれなどを改善する

  • めまいや耳鳴りなどの治療に使用される場合もある
ビタミンB12製剤についてもっと詳しく

巨赤芽球性貧血の経過と病院探しのポイント

巨赤芽球性貧血が心配な方

巨赤芽球性貧血貧血の一種ですので、進行すると少しの運動で息切れがしたり、動悸がしたりします。このような症状は貧血に限らずさまざまな状況で生じますが、巨赤芽球性貧血の場合には、そうなった原因が別にあるはずです。頻度として多いのは、胃の手術をした方に生じるものや、そうでなくとも胃腸の病気によるもの、アルコール中毒、あるいは女性であれば妊娠に伴うものです。

上記のような症状に心当たりがある場合には、一度お近くの内科クリニックを受診されることをお勧めします。内科の中での診療科は消化器内科や血液内科など原因によって様々ですので、まずはじめに受診するのはかかりつけの内科・外科があればそちらが良いでしょうし、特にかかりつけがなければ一般内科で問題ありません。ビタミンB12または葉酸が不足して生じるのが巨赤芽球性貧血ですので、血液中のこれらの物質の濃度を測定することで診断をします。ビタミンB12や葉酸の濃度を調べる検査はやや特殊なので、結果が出るまでに数日から1週間ほどかかるケースが多いです。

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巨赤芽球性貧血でお困りの方

巨赤芽球性貧血そのものについては、ビタミンB12や葉酸を含んだ内服薬、点滴薬で治療します。体内のこれらの成分不足が原因の貧血ですので、不足している物質を補うことで貧血が改善します。数週間で目に見えて改善してくることが多いです。

しかし、巨赤芽球性貧血になった原因についての治療も同じく重要です。食生活の偏りが原因であれば食事内容の見直しが必要ですし、妊娠が原因だとしたらそれは一時的なものです。しかし、それ以外の原因の場合には何かしらの病気が背景に隠れていることが多いですので、それぞれの疾患のページもご参考になさってください。受診すべき病院や診療科も、原因によって変わってくることになります。

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