しんせいじおうと
新生児嘔吐
生後1か月頃までにみられる、様々な病気によって嘔吐をきたす状態の総称
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最終更新: 2019.02.18
新生児嘔吐の基礎知識
POINT 新生児嘔吐とは
生後1ヶ月頃までにみられる、病気によって嘔吐が起こる状態のことです。原因となる病気には食道閉鎖症や先天性腸管閉鎖、ヒルシュスプルング病などがあります(その他の原因は下記参照)。嘔吐の他に、体重減少や低身長、血液混じりの吐物、腹部膨満感などの症状が現れます。原因ごとに治療法が異なるので、原因を明らかにすることが重要です。そのために、診察や血液検査、画像検査などが行われます。新生児嘔吐が心配な人は小児科を受診してください。
新生児嘔吐について
- 生後1か月頃までにみられる、様々な病気によって嘔吐をきたす状態の総称
- 咳き込んで嘔吐する場合は「咳」が問題であるため、区別して考える必要がある
- 原因となる病気ごとに、嘔吐の様子に特徴がある
- その他の原因
新生児嘔吐の症状
- 注意すべき症状
- 体重減少、体重増加不良:慢性の
基礎疾患 の存在を疑う - 低身長がある:内分泌疾患などの基礎疾患の存在を疑う
- 胆汁性嘔吐(黄色・緑色の嘔吐物):腸管が閉鎖した状態を疑う
- 吐いたものに血が混じっている:食道炎、胃炎や消化性
潰瘍 の関与を疑う - 便に血液が混じっている:腸重積や腸管粘膜
病変 を考慮 - 排便不良:胎便性腸閉塞やヒルシュスプルング病などを考慮
- 授乳前から頻回に嘔吐:重症な基礎疾患を疑う
- 発熱や活気のなさ:重症の
感染症 を疑う 腹部膨満 :腹水 や腫瘤など、膨満の原因が何か早急に判断が必要
- 体重減少、体重増加不良:慢性の
- 新生児では、脱水症による
黄疸 の悪化にも注意が必要 - 全身状態が良好で頻度や量が少なく、吐物がミルクの残りカスのようであり、検査で他の病的嘔吐が否定されれば、「初期嘔吐」の可能性が高い
- それ以外の場合は、病的嘔吐が疑われる
新生児嘔吐の検査・診断
問診 - 嘔吐が現れた時期と持続時間を聴取
- 吐いた物の様子、量を聴取
- 嘔吐以外の症状を聴取
- 母の妊娠分娩歴を聴取
- 血液検査
- 尿検査
腹部レントゲン :消化管 の異常の有無を調べる腹部超音波検査 :消化管の異常の有無を調べる- 上部、下部消化管
造影 :消化管の異常の有無を調べる CT 検査:全身の異常の有無を調べるMRI 検査:全身の異常の有無を詳しく調べる
新生児嘔吐の治療法
- 原因に対する治療
- 外科疾患の場合は手術が必要なこともある
- 神経疾患、
感染症 、代謝 異常症では原因疾患に対して薬物などの治療を行う
対症療法 - 理由があっての嘔吐なので、吐き気止めは基本的に使用しない
- 嘔吐が続いている間は一時的に禁乳することもある
- 脱水がある場合は、点滴で水分と
電解質 を補給する - 胃管を使用し、胃の中身を抜いて嘔吐を予防することもある
- 授乳過誤による嘔吐を予防するために気を付けること
- 授乳後にげっぷをさせる
- 授乳量を調節し、少量ずつをこまめに飲ませる
- 哺乳瓶なら穴が小さめの乳首を使用する
- 母乳なら授乳前に少し絞って勢いを抑える