ひんけつ
貧血(総論)
血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが不足すること。酸欠によりふらつき、疲れやすさ、動悸を起こす。原因は出血、鉄やビタミンの不足、白血病、自己免疫疾患など
16人の医師がチェック 171回の改訂 最終更新: 2019.12.27

貧血の検査について

貧血の診断には血液検査が不可欠です。ヘモグロビンの値を確認し、男性で13g/dL、女性で12g/dL未満を目安に貧血と診断されます。また、血液検査では貧血の原因を調べるために鉄分、ビタミンなどの数値も確認します。ここでは貧血の検査について詳しく説明します。

1. 問診

問診では主に患者さんとお医者さんの対話を通じて情報を集めます。患者さんは気になっている症状を伝え、お医者さんは症状などについて詳しい質問をします。問診では次のようなことを聞かれます。

  • 困っている症状は何か
  • いつから症状があるか
  • 症状は一定か、良くなったり悪くなったりするか
  • 初めての症状か
  • いままでにかかったことのある病気や今治療中の病気はあるか
  • 普段から飲んでいる薬はあるか

女性で貧血が疑われる時は、生理時の出血量について聞かれることがあります。また、治療中の病気や治療のために内服している薬が貧血の原因となることがあるので、忘れずにお医者さんに伝えるようにしてください。

2. 身体診察

身体診察とは患者さんの身体をくまなく調べることをいいます。身体診察には次のような診察が含まれます。

  • バイタルサイン(脈拍数、体温、血圧など)の測定
  • 視診
  • 触診
  • 聴診

バイタルサインを確認することで身体の変化を早く見つけることができます。そのため、身体診察ではバイタルサインを最初に確認されることが多いです。視診とは身体の様子を見た目で判断するものです。まぶたの裏側(眼瞼結膜)を見ることで貧血があるかどうかのあたりをつけることができます。

3. 血液検査

血液検査は貧血の診断に欠かせません。具体的には以下のような項目を確認します。

【血液検査の項目】

  • 血算:白血球、ヘモグロビンなどの測定
  • 血液像:顕微鏡で血液をみる検査
  • 鉄が不足していないかを見る検査:血清鉄、フェリチンなど
  • ビタミンやホルモンが不足していないかを見る検査:ビタミンB12、葉酸、エリスロポエチンなど
  • 溶血に関連する検査:LDH、間接ビリルビン、ハプトグロビンなど

貧血かどうかはヘモグロビンの値からわかりますが、原因を探るためにいくつかの検査項目が参考にされます。

血算(白血球、ヘモグロビンなどの測定)

貧血が疑われたら、血算という検査でヘモグロビンの値を確認します。ヘモグロビンの値が男性で13g/dL、女性で12g/dL未満を目安に貧血と診断されます。貧血であるとわかったらMCV(赤血球の平均の大きさ)の値を確認します。鉄分が不足するとMCVが小さくなることが多く、ビタミンB12や葉酸の不足による貧血では逆にMCVが大きくなります。

血算ではその他に白血球(免疫に関わる細胞)の数、血小板(出血を止める機能のある成分)の数を機械で計測します。

血液像(顕微鏡で血液をみる)

血液を顕微鏡で観察する検査を血液像といいます。血液の成分である白血球、赤血球、血小板の数や形を見て、問題がないかを確認します。また、網赤血球という赤血球の元になる細胞の数を調べることができます。網赤血球の数は骨髄で赤血球がどれくらい作られているかの指標になります。例えば、鉄欠乏性貧血では鉄が不足することで骨髄での赤血球の産生が低下するので、網赤血球の数も減少します。一方、溶血性貧血では骨髄での赤血球の産生は正常なので網赤血球の低下はなく、むしろ増加傾向になることが多いです。

鉄が不足していないかを見る検査

「血清鉄」と「フェリチン」という検査項目を見ることで鉄分不足かどうかがわかります。血清鉄は血液中の鉄の濃度を表し、フェリチンは身体の中に蓄えられている鉄分の量を反映しています。鉄欠乏性貧血では、血清鉄とフェリチンの値がともに低くなります。

ビタミンやホルモンが不足していないかをみる検査

ビタミンの不足が原因となる巨赤芽球性貧血では、ビタミンB12や葉酸の値が低くなります。また、腎性貧血では、エリスロポエチンの値が低くなります。

溶血に関連する検査

赤血球が壊れると、赤血球の成分であるLDHや間接ビリルビンが血液中出てきて値が高くなることが知られています。逆に、ハプトグロビンというタンパク質は、溶血によって出てきた赤血球の成分と結合して消費されるので、数値が低くなります。

溶血が起こる病気のひとつに自己免疫性溶血性貧血があります。この病気では免疫機能に問題が起こり、赤血球を攻撃する抗体が作られています。赤血球に対する抗体の有無を調べる検査をクームス検査といいます。

4. 骨髄検査:骨の中の成分を取り出す検査

骨髄検査は血液検査などで原因がはっきりしない時に行われます。骨髄検査では、赤血球が正常に作られているか、骨髄の病気がないかを確認できます。その他、白血球や血小板が骨髄できちんと作られているかどうか(正常な造血)を確認することができます。

参考文献

・日本血液学会, 「血液専門医テキスト」, 南江堂, 2015