貧血の検査について
貧血の診断には血液検査が不可欠です。
1. 問診
- 困っている症状は何か
- いつから症状があるか
- 症状は一定か、良くなったり悪くなったりするか
- 初めての症状か
- いままでにかかったことのある病気や今治療中の病気はあるか
- 普段から飲んでいる薬はあるか
女性で貧血が疑われる時は、生理時の出血量について聞かれることがあります。また、治療中の病気や治療のために内服している薬が貧血の原因となることがあるので、忘れずにお医者さんに伝えるようにしてください。
2. 身体診察
身体診察とは患者さんの身体をくまなく調べることをいいます。身体診察には次のような診察が含まれます。
バイタルサイン (脈拍数、体温、血圧など)の測定- 視診
- 触診
聴診
バイタルサインを確認することで身体の変化を早く見つけることができます。そのため、身体診察ではバイタルサインを最初に確認されることが多いです。視診とは身体の様子を見た目で判断するものです。
3. 血液検査
血液検査は貧血の診断に欠かせません。具体的には以下のような項目を確認します。
【血液検査の項目】
- 血算:
白血球 、ヘモグロビンなどの測定 - 血液像:顕微鏡で血液をみる検査
- 鉄が不足していないかを見る検査:血清鉄、フェリチンなど
- ビタミンや
ホルモン が不足していないかを見る検査:ビタミンB12、葉酸、エリスロポエチン など - 溶血に関連する検査:
LDH 、間接ビリルビン 、ハプトグロビンなど
貧血かどうかはヘモグロビンの値からわかりますが、原因を探るためにいくつかの検査項目が参考にされます。
血算(白血球、ヘモグロビンなどの測定)
貧血が疑われたら、血算という検査でヘモグロビンの値を確認します。ヘモグロビンの値が男性で13g/dL、女性で12g/dL未満を目安に貧血と診断されます。貧血であるとわかったらMCV(
血算ではその他に白血球(
血液像(顕微鏡で血液をみる)
血液を顕微鏡で観察する検査を血液像といいます。血液の成分である白血球、赤血球、血小板の数や形を見て、問題がないかを確認します。また、網赤血球という赤血球の元になる細胞の数を調べることができます。網赤血球の数は
鉄が不足していないかを見る検査
「血清鉄」と「フェリチン」という検査項目を見ることで鉄分不足かどうかがわかります。血清鉄は血液中の鉄の濃度を表し、フェリチンは身体の中に蓄えられている鉄分の量を反映しています。鉄欠乏性貧血では、血清鉄とフェリチンの値がともに低くなります。
ビタミンやホルモンが不足していないかをみる検査
ビタミンの不足が原因となる巨赤芽球性貧血では、ビタミンB12や葉酸の値が低くなります。また、腎性貧血では、エリスロポエチンの値が低くなります。
溶血に関連する検査
赤血球が壊れると、赤血球の成分であるLDHや間接ビリルビンが血液中出てきて値が高くなることが知られています。逆に、ハプトグロビンというタンパク質は、溶血によって出てきた赤血球の成分と結合して消費されるので、数値が低くなります。
溶血が起こる病気のひとつに自己免疫性溶血性貧血があります。この病気では免疫機能に問題が起こり、赤血球を攻撃する
4. 骨髄検査:骨の中の成分を取り出す検査
骨髄検査は血液検査などで原因がはっきりしない時に行われます。骨髄検査では、赤血球が正常に作られているか、骨髄の病気がないかを確認できます。その他、白血球や血小板が骨髄できちんと作られているかどうか(正常な造血)を確認することができます。
参考文献
・日本血液学会, 「血液専門医テキスト」, 南江堂, 2015