鉄剤とお茶は一緒に飲めないのか?〔鉄シリーズ①〕
時々「鉄とお茶は一緒に飲んではダメですよね?」という質問を受けます。一般的にも結構知られているこの話題ですが、実は処方箋で出される鉄剤の中で気をつけなくてはいけない薬は"ごく一部"で、大半の鉄剤がお茶と一緒に飲んでもよいものだったりするのです。今回は鉄とお茶の飲み合わせに関してご紹介します。
◆鉄剤をお茶で飲むのはあり?なし?
貧血と聞いて真先に浮かぶのが「鉄」ではないでしょうか?
食品ではレバーや大豆、プルーン等に多く含まれており、最近では一般に販売されているサプリメント等にも含まれています。鉄剤は処方薬としても使用され、貧血治療をはじめ、手術前の造血目的(血液を増やす目的)などでも使われています。
薬局で鉄剤を交付する際に時々質問を受けるのが「鉄とお茶って飲み合わせがよくないですよね?」という内容です。 確かに間違ってはないのですが、実は処方される鉄剤の多くが一緒に飲んでも問題ないとされています。
実際に鉄剤を服用する際、お茶に含まれるタンニンという成分が、体の中で鉄が吸収されるのを邪魔することがあります。しかし"錠剤で処方される鉄剤"はこの影響をあまり受けない為、よほど過剰にタンニンを摂るようなことがなければ、お茶で鉄剤を飲んでも大丈夫とされています。
但し、鉄剤の中でも"液体で処方される鉄剤"は錠剤に比べると影響が出やすいとされているので、お茶などのタンニンを含む飲食物とは30分程度時間の間隔をあけて飲んだ方が無難といえます。
また、普段からお茶などのタンニンを摂られている方が鉄剤を服用すると歯に黒〜茶色っぽい色がつく場合があります。これは鉄とタンニンが反応して色がつくのが理由と考えられますが、毎日の歯磨きをしっかりすれば問題ないとされていますが、歯磨きをしてもまだ色が残るという場合には、歯科医院で洗浄してもらうこともできますので、主治医や薬剤師と相談してみてください。
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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。