2017.11.25 | ニュース

生後9か月の女児はなぜ鉛中毒になったのか

コネティカット州からの報告と注意喚起

from Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)

生後9か月の女児はなぜ鉛中毒になったのかの写真

鉛中毒は貧血・腹痛・神経症状などを起こします。現代では対策も進んでいますが、鉛を使った製品は身の回りにあります。生後9か月の子供に鉛中毒が見つかった例が報告されました。

鉛中毒で貧血になった9か月女児

コネティカット小児医療センターの医師2人が、コネティカット州マンチェスターで生後9か月の女児に鉛中毒による貧血が見つかったとして、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の広報誌である『罹患率一定期間内に発生した疾患の発症しうる母集団に対する割合。有病率と区別される・死亡率週報』に寄稿し、注意を呼びかけました。

この女児は、2016年9月に定期検査で貧血を指摘されたことから、血中鉛濃度が41μg/dl(基準値5μg/dl以下)と高い水準にあることがわかりました。

家の中を調べたところ、鉛を含む塗料が剥がれている箇所が見つかりましたが、子供には届きにくい場所でした。また女児の兄弟姉妹の血中鉛濃度は正常範囲でした。

両親は、女児が「ホメオパシー磁性赤鉄鉱の癒しのブレスレット」を身に着けたり噛んだりしていたことを申告しました(報告にはアメリカでの規制を前提に「ホメオパシー製品は定義上規制の対象となる薬品であり、したがってブレスレットのような薬品以外の製品がホメオパシー製品であることはありえない」と記されています)。

ブレスレットの部品から鉛が検出されました。ブレスレットは手作りで、製造者は不明でした。

 

鉛中毒の対策は?

医師らは、子供の鉛中毒に対する一般的な注意を報告に添えています。

  • 鉛に触れる機会となるものは塗料、粉塵、汚染された土壌が多い
  • 2003年、2006年に鉛を含む装飾品が重症の鉛中毒につながった例がある
  • 医師は子供が金属製品を口に入れていれば鉛中毒の可能性を念頭に置くべきである
  • 保護者は子供の鉛中毒の可能性を知らされるべきである

 

鉛中毒に気を付けるべき?

子供の鉛中毒の例を紹介しました。

鉛を含む金属製品には注意が必要と考えられる一方で、日常的な環境から気付かないうちに鉛中毒になってしまう危険性は、現代の日本では小さいと思われます。たとえば2005年に土壌中の鉛濃度が高かったことが問題視された地域で血中鉛濃度を測定した結果、最大でも4.5μg/dlという結果がありました。

鉛に限らず、手の届くものを口に入れてしまう年齢の子供には、たばこ誤飲などの危険性もあります。口に入る大きさのものを子供の近くに置かないことは大切と言えるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Notes from the Field: Lead Poisoning in an Infant Associated with a Metal Bracelet - Connecticut, 2016.

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2017 Sep 1.

[PMID: 28859054]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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