インドで腰痛にアーユルヴェーダ、帰国後に中毒症状が出た26歳男性

アーユルヴェーダはインドの伝統的な医学とされ、世界の国々に広がっていますが、ほかの医学的方法と同じように害もないわけではありません。インドから帰国後に鉛中毒の症状が出た人の例が報告されました。
アーユルヴェーダによる鉛中毒の症例
ペンシルバニア大学ペレルマン医学大学院の研究者2人が、アーユルヴェーダのハーブ治療によると思われた鉛中毒の例を、専門誌『BMJ Case Reports』に報告しました。
この26歳男性は、インドに1か月旅行し、そのあいだに腰痛に対してアーユルヴェーダのハーブ治療を受けました。
アメリカに帰ったあと、腹痛、黒色便、吐き気・嘔吐などの
鉛中毒の治療で回復
血液検査で、鉛が94.8μg/dl(基準値20以下)と非常に多く、鉛中毒と診断されました。
薬剤で鉛を取り除く治療が行われ、数か月で症状は解消しました。
3年後まで再発はありませんでした。
伝統的でも害はある
アーユルヴェーダによる鉛中毒と見られた人の例を紹介しました。
鉛のほかにもアーユルヴェーダが原因で重金属中毒となった例はしばしば報告されています。薬やハーブ、サプリメントなど、体に入れるものには品質管理の問題がつきものです。
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またアーユルヴェーダに「伝統的」「ホリスティック」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、どんなものだろうと体に人為的に働きかければ害が出る可能性はあります。漢方薬やサプリメント、健康食品による被害と思われた例もしばしば報告されています。
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加えて海外旅行中に、言葉が通じない国で、自国の医療保険にカバーされることなく、緊急時に協力を求める手段も確保せず、医療行為を受けることには、滞在中に望ましくないことが起こった場合などのさまざまなリスクが伴うと考えられます。滞在中のやむをえないけがや病気は別として、十分に計画したうえで利用するべきでしょう。
執筆者
Case of acute lead toxicity associated with Ayurvedic supplements.
BMJ Case Rep. 2016 Jun 30.
[PMID: 27364782]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。