2015.12.01 | ニュース

妊娠中の貧血はビタミンDが関係している?

妊婦158人の血液検査から

from The American journal of clinical nutrition

妊娠中の貧血はビタミンDが関係している?の写真

妊娠中は貧血を起こしやすい傾向にあると言われています。妊娠中の貧血は、妊婦だけでなく赤ちゃんの体にも影響を与える可能性があります。アメリカの研究チームは、妊娠中の血液成分に着目して貧血の原因を調査した結果を報告しています。

◆妊婦158人の血液成分を測定

研究チームは、18歳以下の妊婦158人を対象としました。
この研究ではヘモグロビンとエリスロポエチンを貧血の指標としています。

 

ヘモグロビンとエリスロポエチンには以下の働きがあります

・ヘモグロビン:血液の中で酸素を運ぶ物質。少ないと貧血になる。
・エリスロポエチン:赤血球を増やす働きをするホルモン。


妊娠25週目までの妊娠中期と分娩時におけるヘモグロビンとエリスロポエチンの濃度を確認しました。


 

◆分娩時の貧血にはビタミンD不足が関係していた

血液検査の結果、以下のことが分かりました。

対象者の参加時年齢と人種の補正後、25(OH)Dの濃度が50 nmol/L以上のときよりも50 nmol/L未満のときの方が分娩時の貧血のオッズは、8倍大きかった (P <0.001)。母体の25(OH)Dの濃度は、妊娠中期(P<0.05)と分娩時(P<0.001)の両時期において、エリスロポエチンと負の関連があった。

この研究から、ビタミンDの指標となる成分が少ないと、貧血になることが多く、またエリスロポエチンの量は多くなることが示されました。

つまり、ビタミンDが不足状態にあると、分娩時に貧血になりやすいことが示唆されました。



妊娠中にビタミンDが不足状態にある人には、ほかにも生活習慣において悪い要因があった可能性が考えられるため、分娩時の貧血にはビタミンD不足以外にもそのような背景が影響していた可能性が否定出来ません。しかし、妊婦自身や赤ちゃんの健康のためにも栄養バランスに気をつけることはやはり重要なようです。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Vitamin D status is inversely associated with anemia and serum erythropoietin during pregnancy.



Am. J. Clin. Nutr., 2015 Nov.

[PMID: 26447159]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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