しきゅうきんしゅ
子宮筋腫
子宮の壁の筋肉の層にできた良性腫瘍。健診などで見つかることが多い
15人の医師がチェック 130回の改訂 最終更新: 2018.09.13

子宮筋腫の治療:手術、ホルモン療法、カテーテル治療など治療法の解説

子宮筋腫の治療には手術、ホルモン療法などがあります。その他にはカテーテル治療で子宮筋腫を小さくする方法などもあります。ここでは子宮筋腫の手術以外の治療を中心に解説します。

1. 子宮筋腫は治療が必要?

子宮筋腫は良性腫瘍に分類されます。つまり、がんではありません。良性腫瘍は転移をしたり他の臓器に入り込んだりすることはなく、子宮筋腫が命を脅かすことはほとんどありません。

このために子宮筋腫がある人全員に治療が必要なわけではありません。以下で治療をしたほうがいい人について解説します。

2. 子宮筋腫を治療したほうがいい人

子宮筋腫の治療をしたほうがいい人の例として、以下のような条件に当てはまる人が挙げられます。

  • 症状がある
  • 出産希望だが不妊症不育症であり、子宮筋腫が原因と考えられる
  • 出産希望で将来の妊娠中や分娩時に子宮筋腫がトラブルを引き起こす可能性が高い
  • MRI検査などで典型的でない特徴を示し、子宮平滑筋肉腫やその他の悪性疾患の疑いがある

それぞれの条件について以下で解説します。

参照:日産婦誌.2009;61:145-150

症状がある

子宮筋腫ができると症状があらわれることがあります。よくみられる症状は月経時の出血量が多くなる過多月経や、月経以外にも出血する不正出血などです。

治療法は治療によるメリット・デメリットを考慮して選びます。

例えば症状が強く治療したいのだけれども子供をもうけたい希望(挙児希望)がある場合は、子宮を摘出することは選択肢としては適していません。一人ひとりの希望を踏まえて最も効果のある治療法を選択することが大事です。

出産希望だが不妊症・不育症であり、子宮筋腫が原因と考えられる

子宮筋腫は不妊症不育症の原因の一つです

不妊症の原因を調べた結果、子宮筋腫以外に原因が見当たらないときには子宮筋腫の治療を検討します。妊娠を希望する場合は子宮筋腫だけを手術で切り取る手術を検討します。子宮筋腫だけを切り取る手術を子宮筋腫核出術といいます。不妊症の人に対して子宮筋腫核出術を行った後の妊娠率は約50%とされています。

出産希望で将来の妊娠中や分娩時に子宮筋腫がトラブルを引き起こす可能性が高い

子宮筋腫の大きさやできた場所によっては、妊娠した場合に胎児に悪影響を及ぼすことがあります。以下のような場合は子宮筋腫が胎児に悪影響を及ぼすと考えられています。

  • 子宮筋腫が5-6cm以上と大きいもの 
  • 子宮口(子宮の出口)近くにできた筋腫

大きな筋腫が子宮内にあると、胎児が育つ場所が少なくなり成長の邪魔になることがあります。子宮口の近くに筋腫がある場合は分娩の時に胎児に影響が出る可能性があります。

胎児の成長や分娩のときに問題となりそうな子宮筋腫は、妊娠前に摘出しておいた方が利益が大きいと考えられます。

MRI検査などで典型的でない特徴を示し、子宮平滑筋肉腫やその他の悪性疾患の疑いがある

子宮筋腫に変性が起きると悪性腫瘍と区別するのが難しくなります。変性とは、子宮筋腫が大きくなることで一番内側の部分に栄養が届かなくなって壊死(えし)などが起きて内部の状態が変わることです。悪性腫瘍の可能性が否定できないときには手術により子宮を摘出するなどを検討します。

3. 子宮筋腫の治療は手術?

子宮筋腫の治療は多様です。それぞれの治療には長所短所があるので、自分の考えに最も見合った治療を選ぶことが大事です。

  • 薬物療法
    • ピル(経口避妊薬
    • ホルモン療法(GnRH アゴニスト)
  • 手術
    • 子宮筋腫核出術
      • 開腹手術
      • 腹腔鏡手術
      • 子宮鏡下手術
    • 子宮全摘除術
      • 開腹手術
      • 経膣式手術
      • 腹腔鏡手術
    • 子宮鏡下筋腫摘出術
  • 子宮動脈塞栓
  • MRガイド下集束超音波治療

子宮筋腫には手術などいくつかの治療法があります。ここからそれぞれの治療法について解説します。治療を選ぶ際や医師から説明を聞いた後に参考にしてみてください。手術については「子宮筋腫の手術とはどんなことをするの?」で解説しています。その他の治療は以下で解説します。

4. 子宮筋腫の治療はどう選ぶ?

子宮筋腫の治療が必要な人は子宮筋腫による症状などがある人です。子宮筋腫があるだけで症状などがない場合は治療をしなくても問題ありません。治療法を選ぶときには将来妊娠を希望するか、子宮を残したいかという本人の希望が大事になります。以下に治療法の選び方の参考になる図を表示します。

子宮筋腫の治療法を選ぶフローチャート。要治療の場合、出産希望か・子宮を残したいかで選択肢が違う。

将来に妊娠・出産の希望がある場合には子宮筋腫だけを摘出する子宮筋腫核出術が選ばれます。子宮筋腫核出術は子宮が残る治療法なので妊娠できる可能性があります。一方で他にも子宮を残す治療法はあります。しかし手術以外の治療はのちにどの程度の可能性で妊娠できるかがまだはっきりと分かっていません。

妊娠・出産の希望がない場合は、多くの選択肢があります。どの治療を選んでも一長一短な部分があります。治療法のメリット・デメリットをよく理解して医師と相談のうえ自分の考えに最も合う治療法を選びます。

この図ではあえて薬物療法については触れていません。薬物療法は症状を緩和をすることはできますが、根本的な治療ではありません。症状以外の理由で治療を検討する場合は薬物療法は選択肢に入りません。

ただし、薬物療法は適した場面で使うととても有効なことがあります。薬物療法にはホルモン療法、ピルや漢方薬があります。

5. 子宮筋腫は薬で治療ができる?

子宮筋腫による症状がある場合は子宮筋腫を治療することで症状の緩和が期待できます。子宮筋腫を原因とする症状は子宮筋腫を小さくすると症状がやわらぎます。子宮筋腫を小さくする方法にホルモン療法やピル(経口避妊薬)があります。

参照:日産婦誌2009;61:145-150

6. ホルモン療法とは?

ホルモン療法は薬を用いて身体の中のホルモンを増やしたり減らしたりすることで効果を得る治療法です。子宮筋腫のホルモン療法では女性ホルモンを身体から減らすことで治療効果を得ます。

低用量ピルなどもホルモン療法に分類されることがありますが、ここではGnRHアゴニストを用いる治療をホルモン療法として解説し、ピルは別に分けて解説します。

参照:日産婦誌2009;61:145-150

ホルモン療法はなぜ効く?

子宮筋腫は女性ホルモンが多いと大きくなり、少なくなると小さくなる特徴があります。ホルモン療法は女性ホルモンの分泌を減少させることで子宮筋腫を小さくし、症状を緩和する治療法です。

それではどのようにして女性ホルモンの分泌を抑えているのでしょうか。女性ホルモンは、脳の下垂体(かすいたい)という部分から放出されるゴナドトロピンというホルモンが卵巣に働きかけることによって分泌されます。ホルモン療法に使われるGnRHアゴニストという物質は下垂体に作用し、下垂体から出る卵巣への調節システムの働きを変えて女性ホルモンが分泌されにくいようにしています。GnRHアゴニストを用いたホルモン療法は、閉経したときと同じ状態になるので偽閉経療法と呼ばれることもあります。

このような機序で症状を抑えているため、ホルモン療法をやめると子宮筋腫が再び大きくなり症状が出ます。一方で症状を抑えるために長期に渡ってホルモン療法を行うと、エストロゲンが不足することによる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などの症状が出ます。

ホルモン療法で子宮筋腫は治る?

ホルモン療法を行うと子宮筋腫を小さくすることができます。一方でホルモン療法を中止すると卵巣の機能が回復して再び子宮筋腫が大きくなります。つまりホルモン療法は子宮筋腫の根本的な治療ではありません。このためホルモン療法は適した場面や目的で使う必要があります。

ホルモン療法が向いている場合は?

ホルモン療法は子宮筋腫の根本的な治療ではありません。ホルモン療法をやめると子宮筋腫が増大して症状に再び悩まされることがあります。ホルモン療法は使い方を選ぶことで有効な治療になります。以下はホルモン療法を使うのに適した場合の例です。

  • 手術までの待機期間
  • 筋腫を小さくして手術を有利にする
  • 閉経が近い

手術をしたいと考えてもすぐに手術はできないことが多いです。とはいえ子宮筋腫による症状がつらいと日常生活に支障がでてしまいます。したがって手術を待つ間にホルモン療法を使うことは理にかなった治療です。

子宮筋腫の手術は、筋腫が大きい場合には開腹手術が選ばれることが多いです。筋腫が大きいとお腹を大きく切らないと取り出せないからです。一方で筋腫が小さい場合には腹腔鏡手術や膣式手術で治療ができます。筋腫の状況によっては「もう少し小さければ腹腔鏡や膣式手術で治療ができる」ということもあります。その時にはホルモン療法で子宮筋腫を小さくして腹腔鏡手術や膣式手術が選べないかを検討することもあります。

閉経前の人に対してホルモン療法は適した治療となります。閉経になると女性ホルモンが減少します。子宮筋腫は女性ホルモンにより大きくなり女性ホルモンが減少すると小さくなります。つまり閉経前の女性で子宮筋腫があっても、閉経後に子宮筋腫は小さくなることが予想できます。子宮筋腫の症状が出てきたものの閉経が近い人は手術などをせずに閉経までの短期間をホルモン療法で治療するのは理にかなっています。閉経になればホルモン療法は必要がなくなるからです。

ホルモン療法は患者さんによっては有効な治療になりえます。自分の状況を医師とよく相談して選ぶことが大事です。

ホルモン療法の副作用は?

ホルモン療法は女性ホルモンを減らす方向に働きかけることで治療効果を現します。女性ホルモンが減少すると更年期に近い状態になるのでホルモン療法では更年期のような症状があらわれます。

  • 頭痛
  • ほてった感じ
  • 寝汗
  • イライラする
  • 抑うつ症状

更年期障害に似た症状以外の症状としては、肝臓の機能への影響や、血の固まりができやすくなる血栓症などがあります。また、ホルモン療法を長期間にわたり続けると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が起きることがあります。骨粗鬆症とは骨の密度が減って骨がもろくなることです。骨がもろくなると骨折する危険性があがります。

参照:日産婦誌2009;61:145-150

7. 子宮筋腫にピルは効く?

ピル(経口避妊薬)はホルモン療法に分類されることもありますが、ここではホルモン療法と分けて説明します。

低用量ピルは子宮筋腫の治療に使われます。低用量のピルは2種類の女性ホルモンでできていて、内服すると子宮内膜の増殖が抑えられます。子宮内膜の増殖が抑えられると月経のときの出血が少なくてすんだり、剥がれ落ちる内膜が少なくなり痛みも減ると推測されています。

ここで注意したいのが、ピルは女性ホルモンでできているということです。子宮筋腫は女性ホルモンにより大きくなります。したがってピルを長期間内服すると、なかには子宮筋腫が増大したり中身の成分が変わることもあります。ピルは症状を軽くするために一時的に服用することはあっても長期間に渡り内服する場合には注意が必要です。

参照:日産婦誌2009;61:145-150

8. 子宮筋腫に効く漢方薬はある?

子宮筋腫の症状に効果のある漢方薬はいくつか知られています。ここでは3つの漢方薬について紹介します。子宮筋腫の漢方薬については「子宮筋腫の漢方薬とは?お腹の痛み、頭痛、吐き気、貧血などに対する効果、副作用についての解説」も参考にしてください。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

体力が中等度から充実していて血色が比較的良く、下腹部の痛み、のぼせ、肩こりなどがある症状に適するとされます。この漢方薬には抗エストロゲン作用などにより子宮筋腫を縮小する効果が期待できると考えられています。血流の改善作用などもあらわし、子宮筋腫やそれに伴う月経困難症更年期障害不妊症などの治療に使われています。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)

体力が中等度からやや虚弱気味で冷えやすい、めまい、不眠、イライラ、頭痛などがあるような症状に適するとされます。抗ストレス作用などをあらわす柴胡(サイコ)、血の巡りを改善する当帰(トウキ)などの構成生薬を含み月経困難症更年期障害自律神経失調症不妊症などの治療に使われています。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

加味逍遙散よりもさらに体力が虚弱気味で疲れやすく手足が冷えやすい、貧血、胃腸が虚弱、めまいや脱力感などがある症状に適するとされます。血の巡りを改善する当帰(トウキ)、鎮痛・鎮静作用などをあらわす芍薬(シャクヤク)などの構成生薬を含み月経困難症更年期障害自律神経失調症不妊症などの治療に使われています。

9. 子宮筋腫による貧血の治療は?

子宮筋腫の症状として貧血があります。貧血とは身体の中にある赤血球が減ることです。子宮筋腫があると月経時の出血が多くなったり、月経でもないのに出血することがあります。出血が多くなると貧血になります。貧血の治療では、足りなくなった赤血球を増やすために鉄剤を服用します。ただし鉄剤の治療で貧血の回復が十分ではないときには手術などの治療を考えます。

10. 子宮筋腫のカテーテル治療とは?

子宮筋腫は子宮動脈から栄養をもらって大きくなります。子宮動脈の血流を止めると子宮筋腫への血流がなくなります。栄養を絶たれた子宮筋腫は兵糧攻めを受けた状態になり小さくなります。この子宮筋腫に対する兵糧攻めはカテーテルを用いて行うことができます。子宮筋腫のカテーテル治療をUAE(子宮動脈塞栓術:Uterine artery embolization)といいます。

参照:日産婦誌 2007;59:398-401. 日産婦誌 2006;58:331-336. Cochrane Databases Syst Rev.2006;(1)CD005073. BJOG 2006;113:464-8. Am J Obstet Gynecol.2006;195:1266-71. 日獨医報 2006;51:488-498

UAEの目的は?

子宮筋腫を小さくして月経時の出血量の多さや生理以外の出血(不正出血)などの症状を緩和することを目的として行われます。

UAEは子宮動脈の血流を止めることで効果を発揮します。子宮動脈は子宮筋腫へ栄養を送っています。子宮動脈の流れを止めると子宮筋腫は栄養を絶たれて栄養不足になります。栄養不足になった筋腫は次第に小さくなります。

UAEに向いている人はどんな人?

UAEに向いている人は以下のような人です。

  • 子宮筋腫が原因の症状(過多月経疼痛、圧迫症状)がある 
  • 薬物療法では症状のコントロールが難しい 
  • 手術を希望しない
  • 閉経前である 
  • 現在妊娠していない 
  • 将来の妊娠、出産を希望しない
  • 子宮がんをもっていない 
  • 骨盤内に感染がない 
  • 症状の原因と考えられる筋腫に血流が確認できる

子宮筋腫は良性腫瘍なので、がんと異なり転移などして命を脅かすことはありません。このために子宮筋腫がある人全員に治療が必要というわけではありません。子宮筋腫による症状があって初めて治療の対象になります。

閉経すると子宮筋腫は小さくなります。このため閉経している人の場合にはあえて合併症のある治療をせずに、様子をみることの方が利益が大きいことがあります。つまりUAEは閉経前の人に適しています。

妊娠していない人や将来に妊娠・出産を希望しない人はUAEに適しています。UAEを行うと妊娠率が低下することが分かっており、また胎児に対しての安全性は確立されていないからです。

子宮にがんがあったり子宮のある骨盤の中に感染症がある人に対してもUAEは適した治療ではありません。UAEを考えた場合には、がんや感染症がないことを確認します。

UAEは子宮動脈という血管に詰め物をして血流を止める治療です。もともと血流のない筋腫にはUAEの効果が小さくなります。このために子宮筋腫への血流がしっかりあるタイプの筋腫がUAEに適しています。

UAEの効果は?

UAEの目的は子宮筋腫を小さくして子宮筋腫が原因となっている症状を緩和することにあります。UAEによって子宮筋腫はどの程度小さくなり症状はどの程度改善するのでしょうか。

UAEの成績を検討した結果によると、筋腫による症状は80-85%の人で改善したとされています。

UAEの良い点は?

UAEはいくつかの点で手術などと比べて良い点があります。

  • お腹に傷が残らない 
  • 入院期間が短く、社会復帰が早い
  • 子宮を温存することができる

UAEは手術に比べるとお腹を切ったりしないので入院期間も短く身体への負担は小さいと考えられています。

子宮を温存できることも良い点の一つです。子宮動脈への血流をなくす治療なので妊娠率は低下しますが、カテーテル治療後にも妊娠出産が可能とする報告もあります。一方でUAE後の妊娠では帝王切開、早産、産後出血、流産が増えることも報告されています。

UAEにはメリットもありますが、治療後にそのメリットをすべて得ることができるとは限らず、注意する点もあります。効果だけではなく治療後に起こりうる不利益についても医師と相談しておくことが大事です。

UAEで注意する点は?

UAEは入院期間も短く身体への負担も小さいと考えられています。身体への負担は小さいですがいくつかの合併症があります。合併症は治療が原因で引き起こされる望ましくない事態のことです。UAEの主な合併症には以下のものがあります。

  • 下腹部痛、発熱
  • 出血
  • 卵巣機能の低下 
  • 感染症
  • 膀胱や直腸への影響
  • 造影剤によるアレルギー反応

UAE後にほぼ全員の人に起きる身体の反応は下腹部痛と発熱です。UAEでは子宮動脈の流れを止めます。動脈の流れを止めると筋腫だけではなく子宮の一部にも栄養が届かなくなります。そのため子宮の辺り(下腹部)に痛みが出ることがあります。また身体の反応として治療後数日間発熱することがあります。痛みや発熱に対しては鎮痛剤などを使って症状の緩和をはかります。

カテーテルを入れるための針を刺した部分から出血することがあります。UAE後にはカテーテルを刺した部分を念入りに手で抑えて止血しますが、止血確認後に再出血することがあります。再出血は治療から数時間で起きることが多いです。再出血した場合には手で圧迫して止血します。

子宮動脈は卵巣の一部へ栄養を送っています。子宮動脈の流れを止めることで卵巣への栄養が不足し、卵巣の機能が低下することがあります。

治療した筋腫に感染が起きることがあります。感染症とは細菌などが定着して増殖し身体に影響を及ぼすことです。感染症が起きるとおりもの(帯下)が多くなったり不快な臭いがすることがあります。感染症が起きた場合は抗菌薬などを使って治療します。

UAEは子宮動脈を塞ぐ治療ですが、血管を塞ぐ物質が子宮の近くにある膀胱や直腸の血管に入り込むことがあり、膀胱や直腸の機能に影響が出ることがあります。

UAEでは造影剤という薬を血管の中に入れて血管の形などを確認しながら治療します。造影剤によってアレルギー反応が起きると気分が悪くなったり血圧が下がるなどの症状が出ることがあります。たとえ過去に造影剤を使って問題がなかった人でも造影剤のアレルギー反応が起きることがあるため、医師はUAE中も血圧などに注目して治療をしています。

UAEはどんな場所でやるの?

UAEは透視室または血管造影室と呼ばれる場所で行われることが多いです。透視室もしくは血管造影室はエックス線を出す設備が整っています。エックス線は治療している場所を確認するために使うのでUAEをするときには欠かすことができません。

UAEは痛いのか?麻酔は?

UAEは手術に比べると治療後の傷の痛みはわずかです。UAEでは右足の付け根にカテーテルを入れるために太い針を刺すので、その前に局所麻酔を行います。局所麻酔は細い針を使いますが痛みが少しだけあります。麻酔が効いている間は痛みがほとんどありません。局所麻酔の効果が十分なことを確認してから太い針を刺します。麻酔は局所麻酔だけで行う場合と、意識がぼんやりするような麻酔薬を使う場合があります。治療中は意識があり、医師と会話することも可能なことがあります。

UAEで使うカテーテルをどうやって子宮動脈へ運ぶ?

UAEはカテーテルを使った治療法です。UAEで使うカテーテルは血管の中に入るほど細い管です。カテーテルを子宮動脈に運ぶことで塞栓物質(詰め物)を送りこむことができます。

カテーテルを挿入するときには、X線で身体の中を継続的に撮影する方法(透視)を使い、カテーテルの位置をリアルタイムで確認しながら操作します。

まずカテーテルを血管に入れるために局所麻酔を行い、その後に右足の付け根の血管に太い針を刺します。針は二重構造になっています。中針の外に、血管の中に残る筒が被せられています。これを外筒(がいとう)といいます。外筒を残して針を抜き、代わりに外筒に細い針金を通します。針金は血管の中に入っていきます。この針金をガイドワイヤーといいます。ガイドワイヤーに沿って太い管(シース)をまず挿入します。シースの中を通すことで血管の中にカテーテルなどを自由に出し入れできます。続いてガイドワイヤーにカテーテルを被せて、ガイドワイヤーと一緒にカテーテルを送り込んで行きます。

挿入したカテーテルの先からは造影剤や塞栓物質を注入できます。造影剤はX線で白く写ります。造影剤を注入すると血管の形がわかります。確認には何回か造影を繰り返すこともあります。造影剤を使うと身体が熱くなったりすることがあります。

11. 子宮筋腫の超音波治療(MRgFUS: Magnetic Resonance guided focused ultrasound surgery)とは?

子宮筋腫の新しい治療法に、身体の外から超音波を当てることで筋腫を小さくする方法があります。MRIを使った治療法で、MRガイド下集束超音波治療といいます。以下ではMRgFUSと呼ぶことにします。

参照:日産婦誌.2009;61:145-150

MRgFUSはどんな治療なのか?

MRgFUSは超音波を利用した治療です。超音波は検査にも使われるものです。超音波のエネルギーは非常に弱いので検査などは身体に無害です。しかし特殊な装置を使い超音波を一点に集中させることで病気の部分を焼くエネルギーを得ることができます。

MRgFUSの長所は?

MRgFUSは身体の外から超音波を当てるので、身体の一部分を切ったり針を刺したりする必要はありません。痛みの少ない治療といえます。MRgFUSで治療後3-6ヵ月で筋腫の体積は30%程度減少するとされています。また子宮筋腫による症状も80-90%の人で改善があるとされています。他の治療と直接比較はされてはいませんが、子宮筋腫の治療として有効と考えられています。

MRgFUSの短所は?

MRgFUSは一回にかかる治療時間が3時間程度と長くかかります。腹ばいのままの姿勢で3時間程度我慢しなければいけないので、治療中は少しつらいかもしれません。また治療した筋腫は100%なくなるわけではありません。このため症状が再発することが懸念されます。またMRgFUSは保険診療ではないので治療費を全額負担しなければなりません。治療費は50−100万円かかると言われています。また治療できる施設も限られているので身近で受けられる治療ではない点も短所となるかもしれません。

12. 子宮筋腫の治療費は?

子宮筋腫の手術、UAEなどの治療費について示します。

治療 費用(保険適用3割負担)
開腹手術 15-20万円
膣式手術 20万円前後
腹腔鏡手術 20-25万円前後
子宮鏡下手術 約10-15万円
子宮動脈塞栓術(UAE) 約15-20万円

病院や入院期間によって費用は変わります。費用について気になる場合、治療をする医療機関などにあらかじめ確認しておくことをお勧めします。また高額療養費制度と限度適用認定証などを使うことで負担額を減らせる可能性があります。

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは?

高額療養費制度とは、家計に応じて医療費の自己負担額に上限を決めている制度です。

医療機関の窓口において医療費の自己負担額を一度支払ったあとに、月ごとの支払いが自己負担限度額を超えた部分について、払い戻しがあります。払い戻しを受け取るまでに数か月かかることがあります。

たとえば70歳未満で標準報酬月額が28万円から50万円の人では、1か月の自己負担限度額が80,100円+(総医療費-267,000円)×1%と定められていて、それを超える医療費は払い戻しの対象になります。

上記の人で医療費が1,000,000円かかったとします。窓口で払う自己負担額は300,000円になります。この場合の自己負担限度額は80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円となります。

払い戻される金額は300,000-87,430=212,570円となります。所得によって自己負担最高額は35,400円から252,600円+(総医療費-842,000円)×1%まで幅があります。

高額療養費制度については下記の厚生労働省のウェブサイトも参考にしてください。

参照:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

限度額適用認定証(げんどがくてきようにんていしょう)とは?

あらかじめ医療費が高額になることが見込まれる場合は「限度額適用認定証」を申請し、認定証を医療機関の窓口で提示することで、自己負担分の支払い額が一定額まで軽減されます。高額療養費制度で支払われる還付金の前払いといった位置づけになります。保険外の費用(入院中の差額ベッド代や食事代など)は対象外となります。

13. 子宮筋腫があっても妊娠できる?

子宮筋腫は不妊症の原因となることがあります。しかし子宮筋腫があるからといって妊娠できないことはありません。子宮筋腫があるにも関わらず妊娠している人は多くいます。

参照:日産婦誌 2008;60:15-19

妊婦さんで子宮筋腫があるのはどのくらいの割合?

子宮筋腫がある妊婦さんは0.5-2%という報告があります。

妊娠が子宮筋腫に影響を及ぼす?

妊娠すると女性ホルモンが多く作られます。子宮筋腫は女性ホルモンが増えるとそれに伴い大きくなります。このため妊娠してから筋腫が大きくなる人がいます。子宮筋腫の中身が変化して痛みや発熱などの症状が現れる場合があります。

子宮筋腫が妊娠に影響を及ぼす?

子宮筋腫が大きくなると胎児に影響を及ぼすことがあります。子宮筋腫の大きさが3cm以上になると症状が出やすくなるとされます。早産や陣痛が始まる前の破水(前期破水が起きたりすることがあります。

また妊娠することで周りの臓器を圧迫することもあります。子宮の前(お腹側)には尿を溜める膀胱(ぼうこう)という臓器があり、膀胱を圧迫すると頻尿や尿が出なくなる(尿閉)ことがあります。子宮の後ろ側には便の通り道である直腸があり、直腸が圧迫されると便秘などが起きます。

子宮筋腫があるときのお産は?

子宮筋腫があるときには帝王切開をしなければならないことが多くなります。また出産のときに出る血の量も多くなることがあります。子宮筋腫があるからといって必ず帝王切開になるとは限りません。子宮筋腫があっても経膣分娩が可能な場合はあります。主治医の先生と相談して最も適した出産方法を選ぶことが大事です。