2017.11.26 | ニュース

子宮筋腫の手術前に薬を使う効果は?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

子宮筋腫の手術前に薬を使う効果は?の写真

30歳以上の女性のうち20%ほどの人が子宮筋腫を持っていると言われます。気付かなくても害がない場合も多いですが、痛みや出血を起こして手術で治療される場合もあります。手術前に使うことがある薬剤の効果が検討されました。

子宮筋腫の手術前の薬物治療

ニュージーランド・ルーマニア・オーストラリアの研究班が、子宮筋腫の手術前の薬物治療について、文献の調査から利益と害を検討し、結果を『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この調査は、これまでの研究のデータを集めて評価したものです。特定の薬物治療を行う場合と行わない場合(ほかの薬物治療など)をランダムに分ける方法の研究を調査対象としました。

38件の研究が見つかりました。そのうち19件はGnRHアゴニストと無治療を比較し、8件はGnRHアゴニストと偽薬を比較していました。

 

GnRHアゴニストとは?

GnRHアゴニストは性ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるなどの分泌を減らす働きがある薬剤です。日本でもリュープロレリン酢酸塩(商品名リュープリン®など)などのGnRHアゴニストが、子宮筋腫を小さくするなどの目的で使用可能となっています。

 

GnRHアゴニストの効果は?

見つかったデータを解析した結果、GnRHアゴニストにより、術前のヘモグロビン血液の成分の一つで、全身に酸素を運ぶ役割をもつ。ヘモグロビンの量が少なくなった状態が貧血である濃度が0.88g/dl程度高くなると見られました(中等度の質の証拠)。GnRHアゴニストを使ったほうが、輸血が必要になることは少なくなると見られました(中等度の質の証拠)。ただし、ほてりなどの有害事象が現れることは多くなると見られました(中等度の質の証拠)。

ヘモグロビンは血液の中で酸素を運んでいる成分です。十分なヘモグロビンがあることは生命維持のために重要です。子宮筋腫などで持続的な出血があるとヘモグロビンが減ってしまうことがあります。

有害事象とは、薬の副作用やその他の原因により発生した望ましくない症状などを指します。

GnRHアゴニストとカベルゴリンを比較して、子宮筋腫の体積の差を見た研究が2件ありました(日本ではカベルゴリンに子宮筋腫に対する効能・効果は承認されていません)。この2件の結果からは、GnRHアゴニストとカベルゴリンのどちらが優れているかははっきりしませんでした。

ほかにウリプリスタール酢酸エステル、ミフェプリストン、アソプリスニルについての研究も見つかりました(いずれも日本では未承認)。

 

子宮筋腫の手術前にはGnRHアゴニストを使う?

GnRHアゴニストを子宮筋腫の手術前に使った場合の利益と害についての研究を紹介しました。GnRHアゴニストによってヘモグロビンが増えるとともに、輸血の必要が減るという、手術に有利な面が確認されました。手術をしやすくするためにGnRHアゴニストを使うことは理にかなっていると言えるでしょう。

ただし、データからも示されたとおり、GnRHアゴニストには更年期のような症状などの副作用もあります。このため長期間の使用には注意が必要とされます。ここで示された結果はあくまで手術前の期間だけに着目したものです。

薬の利益と害を知って判断に活かすために、研究で示されたデータが役に立ちます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Preoperative medical therapy before surgery for uterine fibroids.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 15.

[PMID: 29139105]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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