2016.07.22 | コラム

子宮筋腫の漢方薬とは?お腹の痛み、頭痛、吐き気、貧血などに対する効果、副作用について解説

子宮筋腫の漢方薬
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この記事のポイント

月経困難症、不妊や流産などを引き起こす原因にもなる子宮筋腫の治療に漢方薬を用いることがあります。今回は、子宮筋腫に用いられる漢方薬について解説します。

◆子宮筋腫で漢方薬が使われることがある理由とは?

子宮筋腫では漢方薬が治療の選択肢となります。まずは子宮筋腫について簡単に説明し、漢方薬の解説に入っていきます。

子宮筋腫とは子宮にできる良性腫瘍の代表格です。筋肉になるはずだった細胞がなんらかの理由によって筋腫になってしまい、月経困難症や不妊などを引き起こします。

子宮筋腫は手術によって筋腫を取り除くことで治療ができます。筋腫ができる原因には女性ホルモンの一つであるエストロゲン卵胞ホルモン)が大きく関わっているとされるので、手術の他に性ホルモン分泌を抑える薬(リュープロレリンやブセレリンなどのGnRH誘導体製剤)やピルなどのホルモン剤なども治療として選ぶことができます。

その一方で、子宮筋腫は様々な症状が表れるため、その症状を和らげるために漢方薬が用いられることがあります。

 

◆漢方薬が有用となる子宮筋腫の症状、他の治療法との違いとは?

子宮筋腫に対する漢方薬について説明していきます。まずは漢方薬とは?についてです。

子宮筋腫だけに限らず、漢方医学では体のある一部分だけでなく全身の状態から診断し、症状や体質などに合わせた薬を選択するのが一般的です。全身のバランスを改善することにより複数の症状に対して効果が期待できます。[漢方医学では患者個々の症状や体質などを「証(しょう)」という言葉であらわします。(「証」についてはコラム「漢方薬の選択は十人十色!?」で詳しく解説しています。)]

下腹部の痛み、頭痛、吐き気などの子宮筋腫に伴う月経困難症にみられる諸症状や手足の冷え、貧血など、複数の症状が同時にあらわれるような場合では漢方薬が有用になることが考えられます。

GnRH誘導体製剤による治療は治療の有効性が高いですが、骨量の低下やリバウンド作用などに注意が必要になります。ピルなどのホルモン剤による治療においても、頻度は非常に稀ですが血栓などの副作用に注意が必要です。またこれらの治療では費用も比較的高いものになります。

漢方薬の作用は比較的穏やかではありますが、副作用などの短所が少ないというメリットがあり、治療にかかるコストも比較的安価です。そのため、漢方薬をGnRH誘導体製剤などの薬と組み合わせて治療する方法なども行われています。

 

◆子宮筋腫に使われる漢方薬について

子宮筋腫月経困難症などの女性特有の病気に対して効果が期待できる漢方薬の中でもよく使われ中心になっているのが桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)です。
この3種類の漢方薬は更年期障害自律神経失調症など様々な病気や症状に対しても使われています。この3種類の漢方薬と適する「証」についてみていきます。

 

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

体力が中等度から充実していて血色が比較的良く、下腹部の痛み、のぼせ、肩こりなどがある証に適するとされます。この漢方薬には抗エストロゲン作用などにより子宮筋腫を縮小する効果が期待できると考えられています。血流の改善作用などもあらわし、子宮筋腫やそれに伴う月経困難症更年期障害不妊症などの治療に使われています。

 

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

体力が中等度からやや虚弱気味で冷えやすい、めまい、不眠、イライラ、頭痛などがあるような証に適するとされます。抗ストレス作用などをあらわす柴胡(サイコ)、血の巡りを改善する当帰(トウキ)などの構成生薬を含み月経困難症更年期障害自律神経失調症不妊症などの治療に使われています。

 

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

加味逍遙散よりもさらに体力が虚弱気味で疲れやすく手足が冷えやすい、貧血、胃腸が虚弱、めまいや脱力感などがある証に適するとされます。血の巡りを改善する当帰(トウキ)、鎮痛・鎮静作用などをあらわす芍薬(シャクヤク)などの構成生薬を含み月経困難症更年期障害自律神経失調症不妊症などの治療に使われています。

 

この他、便秘気味で頭痛や不眠や不安などの精神神経症状を伴うような証に適するとされる桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、足腰や下腹部の冷えや痛みがありのぼせや不正出血などを伴うような証に適するとされる温経湯(ウンケイトウ)なども使える場合があります。

また激しい月経痛を伴う場合には筋肉のひきつりや痛みなどを和らげる芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を使うこともあります。

 

◆子宮筋腫で使われる漢方薬の副作用

一般的に漢方薬は副作用が少なく、体質や症状に合った薬を使った場合の安全性は非常に高い薬です。

ただし、副作用が全くないわけではなく、自然由来の生薬成分自体が体質や症状に合わなかったりすることもあります。また、生薬成分の適正な量を超えて服用した場合などでは好ましくない症状があらわれることもあります。

特に甘草(カンゾウ)は漢方薬の約7割に含まれる生薬成分で、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)などの構成生薬の一つでもあります。

他の病気で既に漢方薬を服用している場合や甘草の成分(グリチルリチン酸)を含む製剤(グリチロン®配合錠など)を服用している場合などでは、甘草の過剰な摂取に繋がる可能性もあります。もちろん複数の漢方薬を組み合わせて使うこともありますが、場合によっては甘草の過剰により偽アルドステロン症(偽性アルドステロン症)が起こり高血圧や筋力低下といった症状があらわれる可能性もあるため注意が必要です。

しかし副作用や好ましくない作用があらわれるのは非常に稀であり、仮にこれらの症状があらわれたとしてもその多くは漢方薬を中止することで解消できます。

 

◆子宮筋腫で漢方薬をもらうにはどこに行けばいいの?

それでは最後に、子宮筋腫で漢方薬を処方してもらえる診療科について説明します。ここで解説した漢方薬の多くは市販薬としても販売されていますが、病院やクリニックなどの医療機関で処方薬としても出されます。

特に漢方薬では個々の症状や体質などに合わせた薬を使うことが大切ですので、漢方医学に精通した医師の診察を受けることが必要になります。

産婦人科で漢方薬が選択される場合もありますし、東洋医学により特化した専門の病院で処方される場合もあります。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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