とっぱつせいほっしん(しょうにばらしん)
突発性発疹(小児バラ疹)
発熱と発疹を伴う感染症。多くの小児が一度は経験する
13人の医師がチェック 95回の改訂 最終更新: 2024.06.04

こんな人は突発性発疹になったら要注意

突発性発疹(とっぱつせいほっしん)はたいていの場合、自然に治っていく病気です。しかし、特に注意するべき人もいます。注意が必要な場合、そうでない場合を説明します。

1. 大人の突発性発疹は危ないでしょうか?

基本的に大人が突発性発疹(とっぱつせいほっしん)になることはありません。家の中で子供が突発性発疹にかかっていたとしても、子供からうつって突発性発疹の症状が出ることはありません。似た症状があったときはほかの病気の可能性が高いと考えられます。

例外として、免疫が落ちている人は、突発性発疹になることがあります。逆に大人が突発性発疹と診断されたときは、免疫が落ちている可能性があるので、注意が必要です。免疫が落ちている具体的な例としては、AIDS患者や血液幹細胞移植や臓器移植を受けた人が挙げられます(普通はかからない感染症にかかったことをきっかけにAIDSが発見されることもあります)。

以下で説明します。

2. 免疫が落ちている人の突発性発疹は大丈夫でしょうか?

免疫が落ちている人(AIDS患者や血液幹細胞移植や臓器移植を受けた人など)が突発性発疹にかかった場合は注意が必要です。

多くの人では、身体がもともと持っている免疫の働きによって、突発性発疹にかかっても原因のウイルスを身体が抑えつけてくれます。このため症状は自然に治り、同じウイルスによって再び突発性発疹にかかることはなくなります。

ところが免疫が落ちている人では、大人になってから何度も突発性発疹が発症することもあります。免疫が落ちている子供が初めて感染して発症することももちろんあります。

このような場合は、身体がウイルスと戦う抵抗力が落ちていて、ウイルスを退治できない状態です。このため、突発性発疹の症状が出たあともウイルスの勢いを止めることができない可能性があります。その結果、ウイルスが引き起こす重大な問題の危険性が高まります。

具体的には、髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎などの合併症が起こらないか気をつける必要があります。合併症とはひとつの病気が原因でほかの異常が引き起こされることです。突発性発疹に合併症を伴う場合は重症で、危険な状態です。

突発性発疹に伴う髄膜炎・脳炎に特徴的な症状として、1日以上続くひどい頭痛、1日以上意識がもうろうとしているといったものがあります。これらの症状があれば、合併症を伴っている可能性があるので、内科のある病院・クリニック皮膚科のある病院、クリニックにかかって診察を受けてください。

3. 妊娠しているのに突発性発疹にかかってしまったら?

妊婦を含めて、大人が突発性発疹にかかることは非常にまれです。もし妊娠中に突発性発疹にかかったとしても、お腹の赤ちゃんには影響がないと思われます。

大人が突発性発疹にかかることはほとんどありません。しかし、妊娠すると免疫力が少し下がりますし、免疫が低下すれば、突発性発疹にかかる可能性はゼロではありません。それに妊娠中は万一のことが気になるものです。

妊婦が突発性発疹にかかったとき、胎児に影響するかが気になるところです。一般にどんな病原体でも、感染したことによってお腹の中の赤ちゃんに影響することが絶対にないとは言い切れません。しかし、突発性発疹に関しては、明らかな影響として知られているものはありません。影響がないかを調べたデータは少ないのですが、ほとんど影響がないと考えて良いと思われます。

参考までに、妊婦が感染すると胎児に良くない影響を与える病気は、TORCH(トーチ)症候群と呼ばれるものが有名です。

TORCH症候群は、病気や病原体の頭文字をとった語呂です。

これらの微生物感染症の総称です。

特にこれらの感染症に関しては、妊婦がかからないように注意を払う必要があります。