2018.09.07 | コラム

子どもが熱を出したらどうしたら良い?受診のタイミングと家庭での対応方法

小児科医が判断のポイントを解説します
子どもが熱を出したらどうしたら良い?受診のタイミングと家庭での対応方法の写真
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昼間は元気に遊んでいた子どもが、夜になって急に高熱を出す。小さな子どもにはよくあることです。しばらく様子を見て良いか、すぐに病院に連れて行った方が良いか、判断のポイントはどこにあるのでしょう。

子どもの発熱の原因は実にさまざまです。自宅で静養していれば自然に治る「風邪」から、肺炎尿路感染症のように入院が必要なものまで、多くの病気があります。熱の原因について一つひとつ解説するのはあまりに膨大なので、本コラムでは、「熱が出た時にどのような状態なら自宅で様子を見てもよいか」、「どのタイミングで病院に連れていくべきか」と自宅での対応の仕方に絞って解説します。

 

1. 発熱は病原菌に対する身体の防衛反応

発熱は体内で起こる免疫反応の一種です。基本的には体温が高い方が、体内の白血球リンパ球などの免疫細胞が活性化するため、外敵であるウイルス細菌と戦うには都合が良いのです。

発熱した時は、多くの保護者は発熱の程度を心配します。熱が高ければ高いほど重症で、40度を超えたら脳に影響がでるのではないか、などと心配する人もいますが、熱の影響で脳に影響がでることは医学的に考えにくく、熱自体を過度に恐れる必要はありません。

 

2. 子どもの熱の原因のほとんどはウイルス感染症

子どもが熱を出す原因のほとんどは感染症です。感染症を起こす微生物にはウイルス、細菌、真菌、寄生虫などがありますが、子どもの熱のほとんどがウイルス感染症によるもので、時々細菌感染症もみられる、という具合です。真菌や寄生虫が原因となることはほとんどありません。

ウイルス感染症は細菌感染症と比較すると軽症であることが多く、基本的には自宅で安静にしていれば特別な治療をしなくても自然に回復します。いわゆる「時間が薬」というわけです。

 

3. 病院を受診するタイミングは?

病院を受診した方が良いかどうかの判断には、小児科医が何を基準に子どもを見ているかを知ると参考になるかもしれません。

小児科医は、子どもの病状の重症度をほぼ第一印象で判断していると言っても過言ではありません。つまり診察室に入ってきた最初の数秒間で子どもの表情や動きを見て判断しているのです。この第一印象に含まれるのは次の5つです。

 

  1. 泣き方:元気な声か弱々しい声か
  2. 視線:目が合うかどうか
  3. 周囲への反応:他人やおもちゃなどに興味を示すかどうか
  4. 動き:手足がよく動いているかどうか
  5. 落ち着き具合:保護者の抱っこなどで落ち着くかどうか

 

具体的には、しっかりと大きな声で泣き、他人に力強い目線を送ることができ、周囲へ関心を示し、しっかりと動き回り、親に抱っこされながら落ち着いているようであれば、まず軽症と考えられます。自宅でしばらく様子を見てもらって構いません。

これとは逆に、泣き方が弱く、目線も合わず、周囲に無関心で動きが弱く、抱っこされていても落ち着かない様子であれば、重症である可能性がありますので、病院を受診してください。

 

熱が高いほど重症と考える向きもありますが、必ずしも熱の高さと重症度は相関しません。上の5つのポイントに絞って子どもを観察すると、重症度を見分けやすいです。

 

また子どもが熱を出した時には、熱以外に症状がないかどうかが重要です。例えば発熱と咳がある場合、発熱と咳だけでぐったりもしておらず、飲み物も十分飲めている状態なら自宅で安静にしていれば問題ありません。一方、息苦しそうにしている場合や、ヒューヒューという呼吸音が聞こえる場合、オウッオウッっとオットセイが鳴くような咳やケンケンと犬が鳴くような咳(犬吠様咳嗽と言います)がある場合には、息が十分に吸えなくなっている可能性がありますので、病院の受診をお勧めします。

 

他には、嘔吐があり水分補給が難しい場合、下痢がひどい場合(明確な回数を示すのは難しいですが)、例えば1-2時間に1回のペースで下痢が出る場合は、脱水になる可能性があるため受診が望ましいです。

 

4. 家庭でできる熱への対応

自宅で様子を見ることに決めた場合は、子どもが快適に過ごせるようにするのが重要です。服装は普段より少し涼しめの服装が良いです。熱が出ているときに厚着をさせてしまうと、熱がこもってしまって子どもが不快に思うかもしれませんので、注意してください。

 

食事や水分補給に関しては普段通りで構いません。熱に加えて嘔吐や下痢などの症状があって消化器感染症が疑われるときは、消化の悪いもの(脂肪分が多いもの、糖分が多いもの)は控えるほうがよいですが、熱だけであれば、いつもと同じ食事で構いません。また無理に経口補水液を飲ませる必要もありません。子どもが口にしやすいものを飲ませてあげてください。

 

5. 熱は下げるべきか

保護者からの質問で多いのが「熱は下げた方がよいか」についてです。答えは「熱を下げた方が子どもが楽になると思えば、解熱剤を使えばよい」です。熱を下げることそのものはあまり重要ではありません。熱を下げたからといって、病気を治しているわけではないからです。解熱剤を使用する目的は、熱を下げることによって不快感を緩和することなのです。

逆に言えば、高熱であっても子どもがそれほど辛そうにしていなければ、あえて解熱剤を使用する必要はありません。

 

6. お風呂は入ってよいか

お風呂に入ることで体力を消耗することがありますので、長湯は厳禁です。疲れない程度にさっと入浴したり、シャワーで汗を流す程度なら問題はないでしょう。

 

子どもが熱を出すといろいろと心配になってしまうものです。まずは落ち着いて子どもの様子を観察し、上記のポイントを判断の参考にしてみてください。

執筆者

上山伸也

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。