2015.08.14 | コラム

誰もが経験する「とっぱつ」ってなに?〔小児科に行く前に〕

突発性発疹症について

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「とっぱつ」とは「突発性発疹症(とっぱつせいほっしんしょう)」のことです。突発性発疹症はウイルス感染症の一つです。保護者の方の唾液から感染し、3歳ころまでにほとんどのお子さんがかかる病気で、3〜4日間の発熱し、解熱前後で全身に発疹が出現します。特効薬はなく自然治癒します。

◆突発性発疹症ってなに?

突発性発疹症は、突然の高熱と解熱前後の発疹が特徴で、特に治療をすることなく改善するウイルス感染症の一つです。

原因となるウイルスは、「ヒトヘルペスウイルス6(=HHV-6)」あるいは「ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)」です。99%程度のひとは、3歳までにこれらのウイルスに感染すると言われています。HHV-7はHHV-6よりも遅れて感染する傾向があり、HHV-7による突発性発疹は臨床的には2度目の突発性発疹として発症することがあります。つまり、突発性発疹症に2回かかることがあります。

しかし不顕性感染(ふけんせいかんせん)といって、そのようなウイルスに感染しても症状が出ずに終わってしまうことが20〜40%あると報告されています。

 

◆どんな症状がでるの?

すべてのお子さんが同じような経過をたどるわけではありませんが、典型的な経過としては、38°C以上の発熱が3日間ほど続いた後、熱が下がってくる直前もしくは下がり始めてから、赤い発疹が体を中心に顔、手足に数日間出現します。

発熱、発疹以外には、下痢、瞼の腫れ、大泉門が腫れる(乳児は頭の骨が完全にくっついていない部分があり、そのひとつを大泉門といいます)、リンパ節が腫れる、などの症状が出ることもありますが、多くは発熱と発疹のみで経過します。発熱初期に熱性痙攣を合併することがあります。

一般的に重篤な経過をたどることはありませんが、まれに脳炎、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病など重篤な合併症をおこすことがあります。脳症などは発疹が出てくる病気の後半に発症する場合があるため、極端に機嫌が悪い、意識状態がいつもと違う場合には注意が必要です。

 

◆どうやって診断するの?

診断は、咳や鼻水と言った感冒症状があまりなく、熱だけが出現しているということと月齢、年齢といった特徴を考慮し総合的に判断します。発疹出現をもって最終的に診断となります。永山斑(ながやまはん:発症初期にのどに認められる小さな赤い隆起)を見つけることにより、発疹が出る前の発熱で予測できることもありますが、熱の後に発疹が出ることで診断となります。

発熱だけでは「突発性発疹症」と確定診断することはまずできません。

また、特に有効な迅速検査もありませんので、病気の経過から診断することになります。

 

◆どこから感染するの?

突発性発疹の多くはご両親の唾液から感染します。3歳以上の人はすでに突発性発疹症の原因ウイルスであるHHV-6、HHV-7に感染しており、それが体内に潜んでいます。そして唾液から少量のウイルスを常に排出しています。

生まれてから6か月くらいまでは、お母さんからの「移行抗体(お母さんの免疫をつかさどる物質)」があるため、唾液に含まれる少量のウイルスが赤ちゃんの体内に入っても、「移行抗体」がウイルスをやっつけて、発症することはあまりありません。

しかし、その「移行抗体」は生後6か月を過ぎると体内から消えてしまいます。そのため移行抗体が消えた時期に、体内にそのウイルスが入ってくると突発性発疹として発症します。保育園などに通われているお子さんは、すでに突発性発疹症を発症したことのあるお子さんから感染し、発症することもあります。どのお子さんも必ずかかるウイルス感染症なので、隔離や、感染予防策を講じる必要はありません。

 

◆突発性発疹かなと思ったら、何に気をつければいいの?

突発性発疹症として特別に気をつける必要性はありませんが、一般的には発熱時の注意事項と同じく、お子さんの全身状態(顔色は悪くないか、痙攣していないか、意識状態はしっかりしているか、水分摂取はできているか、おしっこは出ているか、など)を観察してください。

突発性発疹は、お子さんが生まれてから初めての発熱として、保護者の方が直面することが多い病気です。初めての病気で、しかも高熱が出るため、保護者の方はとても心配して病院に駆け込むことが多いです。

高熱が出ていても、全身状態が良ければ、慌てずにしっかりと観察することが大事です。意識状態が悪い、痙攣しているなどの重篤な場合には、救急病院を受診することも必要ですが、発熱だけであれば、頭や脇の下、足の付け根、首元などを冷やしてあげながら、慌てずに通常の小児科外来に受診して頂いて大丈夫です。

 

突発性発疹症とはどんな病気か、発熱への対処方法、重篤な症状とはどんなものかをしっかりと保護者の方が事前に知っておくことがお子さんの健康管理には重要です。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents/part34

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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