突発性発疹でお風呂に入れる?看病で気を付けるポイント
突発性発疹は小さい子供がいる家庭には身近な病気です。自然に治る病気ですが、家で寝かせている間もほかの子供にうつさないこと、万一の悪化に早く気付くことが大切です。お風呂や外出など、気を付ける点を説明します。
目次
1. 突発性発疹になったらお風呂はダメ?
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は赤ちゃんや5歳以下の子供に多い病気です。突発性発疹になった子供をお風呂に入れるときには、ほかの子供にうつさないことと、脱水に気を付けてください。
突発性発疹は1歳未満の乳児を含めて5歳以下の子供にはうつりやすい病気です。家族に5歳以下の兄弟姉妹がいれば、うつらないよう必要以上の接触は避けてください。お風呂は分けたほうがいいでしょう。
お風呂では脱水にも気を付けてください。突発性発疹は高熱や食欲低下により脱水になりやすい状態です。お湯に長く浸かって汗をかくのは避け、シャワーだけにしておく方がいいでしょう。
2. 突発性発疹が治ったらいつから保育園に行ける?
突発性発疹はほかの子供にうつる病気なので、保育園・保育所・幼稚園は休んでください。外出は控えてください。
いつまで自宅で安静にしているべきかは、厚生労働省では熱が下がって1日以上経ってから身体の状態が良ければ登園して良いとしています。
元気に動き回っていれば体の状態は良いと見ていいでしょう。寝ていて機嫌が悪いときはもう1日待ってください。不機嫌は体の調子が悪いサインです。
3. 突発性発疹がうつらないように何に気を付けるべき?
突発性発疹が大人にうつることはほとんどありません。突発性発疹にかかった子供の兄弟や姉妹は、うつる場合があるので、必要以上の接触は避けるべきです。とはいえ、通常の生活であれば、接触があってもこまめに手洗いうがいを行うことで感染を防げる場合がほとんどです。
突発性発疹が大人にうつることはほとんどないので、お母さんにうつる心配はありません。ただし、手を介してほかの子供にうつさないように、突発性発疹になった子の体から出る唾、便などにはできる限り触れないでください。触れてしまったらせっけんでよく手を洗ってください。
大人は突発性発疹にならない?
日本では子供のうちにほぼ全員が突発性発疹にかかります。その結果、大人の体の中には突発性発疹を防ぐ
このため、大人が突発性発疹をうつされる心配は無用です。
例外は
4. 突発性発疹にかかったときの食事は?
突発性発疹にかかったときの食べ物には、特に制限はありません。食べやすいものを食べるのが基本です。
高熱が出ていると身体から多くの水分が蒸発していきますし、発熱のせいで食欲が落ちてしまう事も多いです。そのため、水分の補給は非常に重要になってきます。
水分は、吸収の良いもの(経口補液と呼ばれるもの)が市販されていたりしますので、そういったものを使って脱水にならないように気をつけてください。
5. 突発性発疹が悪化するとどうなる?
病院で突発性発疹と言われたら、
- 発疹が出たあと、熱がまた38度以上に上がった
- けいれんが15分以上続いている
- ひどい頭痛や意識がぼんやりした状態が1日以上続いている
- 2歳未満の子で、おでこにある
大泉門 (だいせんもん)が膨らんできた - 薬を飲んだら息苦しくなった
以上は特に気を付けたい症状です。ひとつでも当てはまったら、もう一度相談に行ってください。
6. 抗体って何?どうやってできるの?
突発性発疹の
我々の身体に
免疫のシステムが、同じ病原体から2回目の攻撃は受けないように敵を記憶するときに重要になるのが抗体です。病原体が侵入してきたことで抗体ができると、次に同じ病原体が侵入してきた時に、抗体が的確に病原体を攻撃してくれます。抗体は、侵入者を認識し、敵の形や攻撃の仕方を覚えておくメモリーなのです。この記憶があることで2回目の攻撃にしっかりと準備ができていることになり、以降に感染が起こりにくくなります。
ただ、ここで注意すべきは、一度経験したのと同じ病原体の攻撃は防げるのですが、違う病原体の攻撃は防げないことです。
1種類の病原体に対して1種類の抗体が作られます。抗体ができるとしばらく身体の中に残り免疫システムに組み込まれますが、抗体がいつまで残っているかは病原体の種類によって違います。例えば、インフルエンザの抗体は1年ほどしか残らないですが、手足口病の抗体や突発性発疹の抗体は一生残ります。インフルエンザはだいたい1年で抗体がなくなるため、毎年ワクチンを打って抗体を高めておく必要があります。
ワクチンは、病原体の成分を少量入れたり、毒性を弱くした病原体を体内に入れたりしています。すると、体の免疫のシステムが抗体を作り、病原体を記憶します。このことによって同じ病原体が次に入ってきても排除するための準備ができます。
言わばワクチンは擬似感染を体内で起こさせて、免疫に病原体の情報を記憶させているのです。
7. 突発性発疹にかかったらしばらくワクチン接種(予防接種)は控えた方が良いですか?
突発性発疹が治った直後は、ワクチン接種の効果が薄れる恐れがあり、ワクチンを打つのは2週間程度開けてからのほうが良いと考えられます。
ワクチンを打つ時に、体内の免疫がしっかりと働いていないと、せっかく病原体の情報を記憶させようとしてもうまく記憶できません。
病気にかかった後にワクチンをいつ打つべきかは、明確には定められていません。ただ、決まりではないとはいえ、このくらいにしようという目安は存在します。
突発性発疹では、詳細なデータがあるとは言い難いですが、症状が治ってから2週間程度で元の状態に戻ると考えられています。つまり、突発性発疹が治ってから2週間程度間隔をあけてワクチンを打つという考えで良いと思われます。
なお、ひとつのワクチンを打った後に別のワクチンを打つまでの間隔は明確に決められています。こちらは決まりなので、ワクチンを打つときには前にどんなワクチンをいつ打ったかを医師にきちんと伝えましょう。
8. 突発性難聴になりますか?
最後に、突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)という病気について説明します。突発性発疹という病気の名前と似ていて、また医師は突発性発疹を略して「とっぱつ」と言うことがあるので、聞いていて紛らわしく感じるかもしれませんが、全く違う病気です。
突発性発疹にかかったからといって突発性難聴にはなりません。
突発性難聴は、その名の通りある時に突然耳鳴りや難聴(耳が聞こえにくくなる)が現れるのが特徴です。
症状にはめまいが伴うのが特徴的で、メニエール病という別の病気とも症状が似ているため、診断をつけるには耳鼻科の専門的な診察が必要です。
原因は完全には明らかになっていませんが、ストレスや耳の感染症、耳の血流が影響していると考えられています。
治療には
後遺症の残りやすい病気ですが、早めに治療を行うことで後遺症の可能性が少なくなります。
突発性難聴と突発性発疹は名前が似ているだけで、全く違う病気です。発疹が出たからといって難聴になる心配はありません。安心してください。