突発性発疹の治療はどんなことをする?
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)の特効薬はなく、ほとんどは自然に治ります。つらい
目次
1. 突発性発疹の治療はどんなことをする?
突発性発疹の原因はヒト
具体的には、熱がひどくて消耗している場合には、解熱薬(げねつやく)を使って熱を下げます。ただし、消耗していない場合は、副作用の観点からも、熱があるからという理由だけで解熱薬を使用する必要はありません。
また、脱水がひどい場合に水分を補う点滴を行ったり、けいれんが止まらない場合にけいれんを止める薬を使ったりします。これらは症状を楽にするとともに、全身の状態がさらに悪化するのを防ぐ意味合いもあります。
子どもがけいれんを起こしたら?
万が一、自宅でけいれんが出現した時に気をつけるべきこととして、けいれんしている最中はけいれんを抑える薬を口から飲ませることはしないでください。誤嚥と言って、飲んだ薬が気道に入ってしまい、呼吸困難状態になり状況が悪化します。
また、けいれんが起こっているときに、舌を噛むのを予防するために口に物(バイトブロックなど)を突っ込む必要があるかどうかの判断は、専門的な人が行うべきです。慌てて物を入れると、かえって窒息してしまうことがあります。「舌を噛むと危ないのではないか?」と心配になるかもしれませんが、あまり慌てずに側で様子を見てください。
抗生物質を使わなくても大丈夫?
突発性発疹はウイルスによる
突発性発疹の治療はまず安静です。安静にしていれば基本的に自然に治ります。
2. 突発性発疹による発熱時に使う解熱薬(解熱剤)の例
突発性発疹を
突発性発疹による発熱にはアセトアミノフェンがよく使われます。アセトアミノフェンは解熱薬の中でも安全性が高いとされている薬で、子どもだけでなく場合によっては妊婦に対しても使えます。1歳未満の子どもに対しても使用可能であり(但し、
アセトアミノフェンは有効性や安全性が高いだけでなく、いろいろな剤形(飲み薬、
- 細粒剤(商品名:カロナール®細粒20%、カロナール®細粒50%など)
- 細粒剤は散剤(粉状の薬)に添加物を加えて、散剤より少し大きい粒状にした飲み薬です。一般的に散剤に比べるとパサつきにくく、薬自体の味(苦味など)が抑えられているものが多いのが特徴です。たとえばカロナール®細粒は「わずかにオレンジのような香りがあり、味は最初甘く、後に苦い」といった特徴があります。
- ドライシロップ剤(商品名:コカール®小児用ドライシロップ20%など)
- 散剤に糖類などを添加して顆粒状にした飲み薬です。薬自体の味(苦味)などがかなり抑えられているものが多いのが特徴です。例として、コカール®小児用ドライシロップ20%は「わずかにオレンジのような香りがあり、味は甘い」といった特徴があります。
- 水剤(シロップ剤)(商品名:カロナール®シロップ2%など)
- 白糖などの糖類や甘味料を含む液体状の飲み薬です。味に甘みがあり、細粒剤などの粉薬が苦手な子どもでも比較的飲みやすいように造られています。例として、カロナール®シロップ2%は「オレンジのような香りがあり、味はわずかに甘い」といった特徴があります。
- 坐剤(商品名:アンヒバ®坐剤小児用100mg、アルピニー®坐剤100mgなど)
- アセトアミノフェンの坐剤(坐薬)です。坐剤とはお尻から挿入して使う薬のことで、飲んではいけません。内服(薬を飲むこと)が困難な状況でも坐剤なら効果が期待できます。またアセトアミノフェンの含有量によって複数の規格があり、体重や症状などに応じた選択も可能です。
発熱とはもともと、体温を上げることにより、ウイルスや細菌などがうまく増殖できないようにする
3. 熱性けいれんの治療に使うダイアップ®坐剤とは?
突発性発疹による発熱は、しばしば熱性けいれんという状態を引き起こします。治療としてダイアップ®坐剤をよく使います。
熱性けいれんは主に小児(乳幼児)が発熱時に起こすけいれん(ひきつけ)です。多くは発熱後24時間以内にけいれんが起こります。
どんな原因の発熱でも熱性けいれんは起こりえますが、突発性発疹は熱性けいれんを起こす代表的な原因のひとつです。特に2歳以下の子どもに起こる熱性けいれんでは多くの場合で突発性発疹が原因となっています。
熱性けいれんに対する治療薬としてよく使われているのが、ダイアップ®坐剤です。けいれんは脳の興奮などによって引き起こされますが、ダイアップ®坐剤の成分であるジアゼパムは、脳の興奮を抑えることなどによって、けいれんを抑える作用をあらわします。
4. ダイアップ®坐剤の使い方
ダイアップ®坐剤は、全ての熱性けいれんに使えるわけではありません。副作用に眠気やふらつきなどがありますので、処方された場合は医師や薬剤師からよく話を聞いておくことが大切です。
「熱性けいれん
今までに15分以上けいれん
焦点性発作 または24時間以内に反復するけいれん- 熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞
- 熱性けいれんまたはてんかんを患ったことがある人が家族にいる
- 生後12カ月未満
- 発熱後1時間未満でのけいれん発作
- 38℃未満でのけいれん発作
上記の項目を2つ以上満たす場合はダイアップ®坐剤を使用できます。ダイアップ®坐剤を使用できる人に該当しない子どもにダイアップ®坐剤を使用した場合は、得られるメリットよりもデメリットのほうが大きくなる可能性があるため、ダイアップ®坐剤を使うことはおすすめできません。
ダイアップ®坐剤は体重に合わせた適切な量をお尻から挿入します。その後、発熱が続いている場合などには、一度目を使った時点からおよそ8時間後に再度同様に挿入することができます。このように計2回ダイアップ®坐剤を使うと、この薬の効果が通常48時間ほど続くとされています。熱性けいれんは発熱から24時間を超えておこることは少なく、2日(48時間)を超えて再度症状があらわれることはさらに少ないため、計2回の使用でほとんどの熱性けいれんを止められるとされています。
5. アセトアミノフェン坐剤とダイアップ®坐剤は30分開けて使う!
突発性発疹の発熱に対してよく使うアンヒバ®坐剤などのアセトアミノフェン坐剤が処方された時、ダイアップ®坐剤を一緒に使うことには注意が必要です。これらは同時に使うと効果が弱くなる可能性があります。
突発性発疹による発熱はしばしば熱性けいれんをも引き起こすので、熱性けいれんの治療薬であるダイアップ®坐剤をアンヒバ®坐剤などと一緒に使う場面もあります。ところが、アンヒバ®坐剤などのアセトアミノフェン坐剤(基剤が油脂性の坐剤)とダイアップ®坐剤を一緒に使うと、ダイアップ®坐剤の吸収が悪くなってしまいます。
そのため、通常はダイアップ®坐剤を挿入してから30分以上経過した後、アンヒバ®坐剤などの解熱薬を挿入します。但し、早急に発熱を抑えたい場合などでは例外的に、坐剤挿入の順番が逆転するケースも考えられます。
飲み薬の「飲み合わせ」と同様に、複数の薬を同時に使うときには注意が必要な組み合わせのひとつです。
6. 突発性発疹の治療が原因で起こる症状は?
まれに薬が原因で体の状態が悪化することもあります。特に解熱薬を使用することで、薬の
肝炎の症状はかゆみ、だるさ、
参考文献 ・日本小児神経学会/監修, 熱性けいれん診療ガイドライン2015, 診断と治療社, 2015
7. 入院が必要なのはどんな場合?
突発性発疹はほとんどの場合で自然に治りますので、入院は必要ありません。まれに重症になった場合には、入院が必要になります。
入院が必要なのは次のような場合です。
- 免疫の落ちている人(例えば
HIV に感染している人、臓器移植を受けた人、血液幹細胞移植を受けた人)が突発性発疹になった場合 - 全身の状態が悪くなって疲弊している場合
合併症 をきたしている場合
合併症とは突発性発疹が原因で髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎などの病気が引き起こされることです。
ひどい頭痛が1日以上続いたり、明らかにいつもよりぐったりとしていたり、食事も摂れない状況が続いたりする場合は、重症の可能性があります。入院の必要性を判断しなくてはなりませんので、医療機関に必ずかかってください。