タミフルが乳児に、オプジーボが頭頸部がんに…効能など追加の8剤

2017年3月24日に、すでに発売されている医療用医薬品8製品が新しい効能などの承認を取得しました。追加された効能などを紹介します。
タミフルとは?
タミフル®ドライシロップ3%(一般名オセルタミビルリン酸塩)はインフルエンザの治療薬です。
広く使われている薬ですが、新しく1歳未満の新生児、乳児に対する用法・用量が追加されました。
ただし、使用上の注意の中で「国内外の臨床試験において、
なお、同じ「タミフル」の名前を持つ薬でも、カプセル剤の用法・用量には変更ありません。
参照:タミフルドライシロップ3% 添付文書
オプジーボとは?
オプジーボ®(一般名ニボルマブ)は
新たに「再発又は
臨床試験では、治療開始から1年後の生存率を既存治療と比べると、ニボルマブを使ったグループで36.0%、既存治療(メトトレキサート、ドセタキセル、またはセツキシマブのいずれか単独)のグループでは16.6%となりました。
副作用の可能性があることとして、疲労、吐き気、
臨床試験の結果については別の記事でも紹介しています。
参照:オプジーボ点滴
関連記事:オプジーボは口や喉の進行がんにも効いた!1年後の生存率が19%上昇
ソバルディとは?
ソバルディ®(一般名ソホスブビル)はC型肝炎の治療薬です。
効能・効果の追加によって、より広い範囲のC型肝炎患者が使用可能になりました。
C型肝炎の原因は
日本ではジェノタイプ1とジェノタイプ2の
従来はセログループ2(ジェノタイプ2)のウイルスに感染している患者だけがソバルディの使用対象とされていましたが、新しく「セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しない患者」が対象に追加されました。
ジェノタイプ3の患者に対して、添付文書に記載されている臨床試験の結果のうち1件では、ソバルディとリバビリン(別の種類の治療薬)による24週間の治療の終了後12週の時点でウイルスが検出されなくなる効果(SVR12)は対象者250人のうち213人(85.2%)で得られました。
対照として別の治療または偽薬を使用したグループの結果は添付文書には記載されていません。
臨床試験でジェノタイプ3の患者に現れた、副作用の可能性があることとして、疲労、頭痛、不眠、かゆみ、無力症、吐き気などが記載されています。
参照:ソバルディ錠400mg 添付文書
レベトール/コペガスとは?
リバビリンはC型肝炎の治療薬です。レベトール®、コペガス®はどちらもリバビリン製剤です。
ソバルディについて説明したとおり、ソバルディの新たな効能はリバビリンと併用する用法で認められています。対応して、リバビリン製剤にも同じ「セログループ1(ジェノタイプ1)またはセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しない患者」に対しての効能が追加されました。
有効性と安全性について臨床試験から得られている情報については、ソバルディの説明にあるとおりです。ソバルディとリバビリンを同時に使用しているため、どちらが主に働いているかはこの結果だけでは区別できません。
参照:レベトールカプセル200mg 添付文書、コペガス錠200mg 添付文書
ゾレアとは?
ゾレア®(オマリズマブ)は、従来は気管支喘息の治療薬として認められていました。
新たに蕁麻疹(じんましん)の患者の一部が使用可能になりました。
「
国際共同臨床試験により、既存治療で効果不十分な12歳以上の特発性の慢性蕁麻疹患者を対象として、抗ヒスタミン薬とゾレアを一緒に使用した結果が添付文書に記載されています。
治療 | ゾレア300mg(73人) | ゾレア150mg(70人) | 偽薬(74人) |
週間のかゆみのスコア | -10.22 | -8.80 | -6.51 |
週間の腫れ( |
-12.17 | -10.04 | -7.41 |
表のように、抗ヒスタミン薬の治療にゾレアを加えることで、かゆみ・腫れを減らす効果が強くなりました。
副作用の可能性があることとして頭痛、鼻咽頭炎などが現れました。
参照:ゾレア皮下注用75mg/ゾレア皮下注用150mg 添付文書
ベリナートとは?
ベリナート®(一般名:乾燥濃縮人C1-インアクチベーター)は、皮膚の腫れなどの症状を特徴とする「遺伝性血管性浮腫」という珍しい病気に対して使う薬です。従来「遺伝性血管性浮腫の急性
参照:ベリナートP静注用500 添付文書
ノベルジンとは?
ノベルジン®は、酢酸
臨床試験で副作用の可能性があることとして、吐き気、嘔吐、かゆみなどが発生しました。
参照:ノベルジンカプセル25mg/ノベルジンカプセル50mg/ノベルジン錠25mg/ノベルジン錠50mg 添付文書
まとめ
薬の効能・効果が承認されることにより、保険診療として新しい治療法が使えるようになります。臨床試験から報告されているデータを参考に、従来の治療法と比較することで、ひとりひとりに合わせた治療選択の幅を広げることができます。
執筆者
Nivolumab for Recurrent Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck.
N Engl J Med. 2016 Oct 8. [Epub ahead of print]
[PMID: 27718784]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。