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胃がん

胃がんの基礎知識

胃がんとは?

  • 胃の壁の粘膜にできたがん
    • 胃の壁は何層にもなっていて、一番内側が粘膜の層で、外側に行くにつれて筋肉の層などがある
  • 胃がんが起こりやすくなる原因・要因として、以下のようなものが考えられている
    • ヘリコバクター・ピロリ感染
    • 喫煙
    • 塩分の多い食事
  • がんが胃の壁の中でどのくらい広がっているかによって早期がんか進行がんかを判断する
    • 表面(粘膜下層まで)にとどまっている:早期がん
    • 表面よりも深いところ(筋肉の層など)までがんが広がっている:進行がん
  • 頻度
    • 胃がんはがんの中で最も多く、年間10万人以上の患者さんが胃がんと診断されている
    • 死因としてはがんの中で3位(1位は肺がん)であり、毎年5万人近い人が胃がんが原因で死亡している
    • 近年では、がん検診やピロリ菌の除菌などで、胃がんの死亡率が改善してきている
  • 胃にできる他の悪性腫瘍として

症状

  • 主な症状
    • 早期胃がんでは症状が出にくい
      ・健診の胃カメラなどで偶然見つかる場合が多い
      潰瘍ができていると胃の痛み(特に空腹時の腹痛)などが起こることもある
    • 進行がんになると以下のような症状が出る
      ・体重減少
      貧血
      ・食欲が落ちる
    • 胃の入り口にがんができた場合
      ・飲み込みづらさ
      ・嘔吐
    • 腹痛や下痢などの症状はほとんど出ない

検査・診断

  • 上部消化管造影検査:造影剤(バリウム)を使って、胃の動きなどを調べる
  • 上部消化管内視鏡検査胃カメラ):食道から胃や十二指腸にかけて腫瘍があるかどうかなどを調べる
    • がんが疑わしい組織をとってきて、組織検査に出す
  • 血液検査:貧血の有無、腫瘍マーカーを調べる
  • 画像検査:胃がんの大きさや広がり、転移などを調べる
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
       など
  • 以下の3つの要素からがんの病期ステージ)を決定
    • がんの深さ(深達度)
    • リンパ節転移の有無、広がり
    • 遠隔転移の有無(他の臓器への転移)

治療

  • 主な治療
    • 早期がんの治療
      ・がんの深さが浅くリンパ節転移の可能性がない早期がんが確実と思われる病変に対し、手術をしないで内視鏡でがんを取り除くことも可能。(内視鏡を使う方が体への負担が少ないが、初期のがんに限られる)
      ・がんの大きさや組織型(がん細胞の種類)、潰瘍ができているかなど、内視鏡での詳しい観察や組織検査の結果を合わせて内視鏡治療か外科治療かが検討される
      ・内視鏡による治療でがんが取りきれなかった場合には外科手術が必要になることもある
    • 進行がんの場合
      遠隔転移(他の臓器への転移)がなければ手術、遠隔転移があれば手術以外の方法として化学療法となるのが原則
    • 手術治療でも、場所や大きさ、進行具合によって、胃の一部を切り取ったり、胃を全部取り除いたり、手術の方法が変わってくる
    • 化学療法による治療は手術の前後や既に転移をしていて手術ができないような場合に行われる
    • 化学療法による治療でがんを完全に治すことは困難であるため、あくまでがんの進行を遅らせたり、一時的に小さくしたりする効果を期待して行われる
    • 胃がんに放射線療法は基本的に効かないことが多い
  • 想定される経過
    • 5年生存率は、早期がんであれば95%以上と言われている
    • がんが進行すると生存率は進行度に従って下がってくる

胃がんに関連する治療薬

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
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微小管阻害薬(タキサン系)

  • 細胞分裂で重要な役割を果たす微小管に作用し細胞分裂を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖は細胞が分裂することでおこるが、細胞分裂に重要な役割を果たす微小管という物質がある
    • 細胞分裂の後半では、束になっている微小管がばらばらになる(脱重合する)必要がある
    • 本剤は微小管の脱重合を阻害し細胞分裂を阻害する作用をあらわす
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代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)

  • DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖に必要なDNAの成分にピリミジン塩基と呼ばれる物質がある
    • 本剤はピリミジン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でピリミジン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす
  • フルオロウラシルやシタラビンを元にして造られ体内で代謝を受けてこれらの薬剤へ変換される製剤(プロドラッグ製剤)がある
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分子標的薬(ラムシルマブ〔ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体〕)

  • がん細胞の増殖に必要なVEGFという物質の受容体への結合を阻害し腫瘍血管新生を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞の増殖には、がんに栄養を送る血管の新生が必要となり血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が血管内皮の増殖や血管新生に関与する
    • 本剤は血管内皮細胞増殖因子の受容体(VEGFR-2)へのVEGFの結合を阻害し腫瘍組織の血管新生を阻害する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
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分子標的薬(トラスツズマブ〔抗HER2ヒト化モノクローナル抗体〕)

  • がん細胞の増殖に関わるHER2という物質に結合し、細胞障害作用などにより抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 上皮成長因子受容体(EGFR)という細胞増殖のシグナル伝達に重要な物質がある
    • EGFRに類似した構造をもつ物質の中でもHER2は乳がん胃がんなどにおいて過剰に発現している場合がある
    • 本剤はHER2に結合することで抗体による細胞障害作用などをあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
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レボホリナートカルシウム

  • がん薬であるフルオロウラシルのDNA合成阻害作用を増強し、抗腫瘍効果を高める薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 消化器がんなどで使用されるフルオロウラシルはチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合することでTSを阻害しDNA合成を阻害することで、抗腫瘍効果をあらわす
    • 本剤は体内でフルオロウラシルの代謝活性物質と一緒にTSと強固な複合体を形成し、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する
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