かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 277回の改訂 最終更新: 2026.03.05

花粉症の症状:くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみ・咳・喉がかゆい・肌荒れなどの症状、風邪との見分け方

花粉症の症状は主に目や鼻、皮膚にあらわれます。ひどい場合には、喉や咳の症状もあります。スギ花粉の時期は季節の変わり目でかぜもひきやすいので、どちらの症状か判断がしづらいかもしれません。このページでは、花粉症の症状について詳しく説明するとともに、かぜの症状との見分け方についても考えてみます。

1. 花粉症の主な症状:くしゃみ・鼻水・目や喉のかゆみ・肌荒れ・湿疹など

花粉症の症状は鼻や目に出ることがよく知られていますが、人によってはのどや皮膚にも症状が出ます。「これも花粉症なの?」と疑問に思う人も多いため、花粉症でみられる症状を部位ごとに整理して説明します。

鼻の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり

花粉症の鼻症状の中心は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つです。

  • くしゃみ発作的に突然出て、連続して止まりにくいことがある
  • 鼻水:水のようにサラサラした鼻水が多いのが特徴である
    • 花粉症の時期に風邪などが重なると、鼻水が粘り気を帯びたり、色がついたりすることがある
  • 鼻づまり(鼻閉):特に夜間に強くなり、睡眠の質が落ちる原因になることがある

この他では鼻に痒みを感じる人もいます。

目の症状:かゆみ、なみだ目、目やになど

花粉症で多い目の症状は、かゆみ・異物感(ゴロゴロ感)・なみだ目・充血・目やになどです。
目のかゆみは花粉症を疑う手がかりになる代表的な症状で、目そのものだけでなく、まぶたやまぶたの縁がかゆくなることもあります。
異物感(ゴロゴロ感)は、軽い炎症やかゆみを「ゴロゴロする」と感じる場合もあれば、アレルギー性結膜炎結膜の腫れやまぶたの裏側の変化(乳頭の腫大など)が起こり、目を動かすたびに違和感として自覚される場合もあります。
目やには透明〜やや粘り気のあるものが多い傾向です。黄色く強い目やにが続く、強い痛みがある、視力が落ちるといった場合は花粉症以外(感染など)も考える必要があります。

喉の症状:かゆみ・痛み・違和感

花粉症では、のどのかゆみ・違和感乾いた咳が出ることがあります。咳は痰を伴わない「乾いた咳」として自覚されることが多く、鼻づまりや鼻水とセットで起こりやすいのが特徴です。

咳やのどの違和感の原因としては、主に次のような要因が関係します。

  • 鼻づまりによる口呼吸で、のどが乾燥し刺激を受けやすくなる
  • 鼻水がのどへ流れ落ちる鼻漏による刺激が発生する
  • 上気道(鼻〜のど)のアレルギー性炎症による過敏性がます

なお、花粉症に関連して「喉頭アレルギー」という言葉が使われることがありますが、一般向けの記事では診断名として独り歩きしやすいため、ここでは「花粉症に伴う咳・のどの違和感」として説明しました。
咳が強い、長引く、息苦しい、ぜーぜーする、発熱がある場合は、風邪喘息などとの鑑別が必要になることがあります。

皮膚の症状:肌荒れ・湿疹など

花粉症の時期に一致して、肌荒れや湿疹、かゆみが目立つことがあります。花粉が皮膚に付着して刺激になることがあり、一般に「花粉皮膚炎」と呼ばれることもあります(接触皮膚炎に近い機序が想定されます)。

皮膚症状には、次の2パターンがあります。

  • もともとアトピー性皮膚炎などがあり、花粉の時期に悪化する
  • 皮膚疾患の既往がなく、花粉の時期に限って皮膚炎が出る

皮膚症状がある場合は、花粉症に対する治療に加えて、皮膚の炎症に対する治療を組み合わせます。具体的には、花粉症に対しては抗ヒスタミン薬など、皮膚炎に対しては保湿・外用薬(必要に応じてステロイド外用など)を用います。

参照:アレルギー・免疫 2009年2月号(Vol.16 No.2)P11(149)~14(152)

2. 眠い・頭痛・咳・熱は花粉症の症状か

花粉が飛散する時期に、眠気・頭痛・咳、そして「熱っぽさ」などが出ることがあります。一見、花粉症とは無関係に思える症状ですが、花粉症に伴う鼻症状(鼻づまり・後鼻漏など)や睡眠の質の低下が関係して、こうした不調が起こることがあります。

ただし、発熱(明らかな体温上昇)は花粉症だけでは説明しにくく、感染症など別の原因を考える必要があります。

眠気

花粉症の時期に眠気が強くなることは珍しくありません。主な理由は、鼻づまりによる睡眠の質の低下です。鼻づまりがあると、寝ている間に呼吸がしづらくなったり、いびきが増えたりして、熟睡感が得られにくくなります。

また、アレルギー性鼻炎睡眠障害(睡眠呼吸障害を含む)の関連は以前から指摘されており、鼻づまりのあるアレルギー性鼻炎では睡眠呼吸障害が起こりやすい可能性が報告されています。

眠気には、花粉症そのものの影響だけでなく、治療薬(特に眠気が出やすい抗ヒスタミン薬)の影響もあり得ます。日中の眠気が強い場合は、薬の種類や飲む時間の調整も含めて相談するとよいです。

参考:花粉症患者の受療・市販薬使用実態 調査結果報告書第3回アレルギー疾患対策推進協議会(資料)

頭痛

花粉症の時期に頭痛が出ることはあります。理由として多いのは、鼻づまりによる睡眠の質の低下や、鼻・副鼻腔周辺の不快感(圧迫感)です。

一方で、花粉症の時期でも、頭痛の原因は他にも多くあります。強い痛みが続く、片側だけが強い、発熱を伴う、顔面痛が強い、粘り気のある鼻汁が続くといった場合は、副鼻腔炎など花粉症以外の要素も考えるのがより良いです。

花粉症の時期になるたびに咳を繰り返す場合、花粉症に伴う咳の可能性があります。咳は痰を伴わない「乾いた咳」として自覚されることが多く、のどのかゆみ・違和感を伴うこともあります。気管支喘息咳喘息を指摘されたことがない人でも、花粉症による咳が出ることがあります。

花粉症に関連する咳の主な要因は次の2つです。

  • 後鼻漏(こうびろう)
  • 気道のアレルギー

それぞれについて説明します。

■後鼻漏

鼻水が鼻の奥をつたってのどに落ち、のどや気道を刺激して咳が出る状態です。後鼻漏が関係している場合、鼻症状の治療(例:抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)で咳が軽くなることがあります。

■気道のアレルギー

花粉の時期に、鼻〜のど周辺の炎症が強くなり、咳が出やすくなることがあります。

注意点として、喘鳴(ぜーぜー)・息苦しさ・運動で悪化する咳がある場合は、喘息/咳喘息などの鑑別が必要です。花粉症だけと決めつけず、医療機関で相談してください。

発熱・熱っぽい

花粉症そのもので高熱が出ることは基本的にありません。

ただし、鼻づまりや睡眠不足、全身のだるさによって「熱っぽい」「体が重い」と感じることはあります。

一方で、体温を測って明らかな発熱がある場合は、風邪・インフル・COVID-19副鼻腔炎など感染症の可能性を優先して考える必要があります(特に発熱に加えて、のどの強い痛み・関節痛・黄色い鼻汁が続く・強い倦怠感などがある場合)。

3. 花粉症と風邪の症状に違いはあるか

花粉症も風邪も、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻症状が出るため、見た目はよく似ています。ただし、経過や伴う症状には違いがあり、いくつかのポイントで見分けのヒントになります。

それぞれの特徴について

花粉症と風邪は似ている側面がありますが、特徴を次のように整理することができます。

  • 花粉症に多い特徴
    • 目のかゆみ(充血・涙目を伴うこともある)
    • 毎年同じ時期に起こりやすい
    • 外出後や花粉が多い日に悪化しやすい
    • 発熱は基本的にない(あってもまず別の原因を考える)
  • 風邪に多い特徴
    • 鼻症状に加えて、のどの痛み、全身のだるさ、発熱などを伴うことがある
    • 数日〜1週間程度で徐々に良くなることが多い
    • 周囲に同様の症状の人がいるなど、感染の状況が手がかりになることがある

ただし、のどの違和感や頭痛などは花粉症でも起こり得るため、症状だけで完全に区別できないこともあります。

鼻水の性質の違いは参考程度に

一般的に、花粉症では水のようにサラサラした鼻水が多く、風邪では経過の中で粘り気が出たり色がついたりすることがあります。とはいえ、風邪の初期はサラサラした鼻水のことも多く、鼻水だけで判断するのは難しい場合があります。

医療機関ではどう見分けているのか?

診察では、鼻の粘膜所見だけで明確に区別できないこともあります。必要に応じて、次の検査が参考になります。

  • 血液検査(特異的IgE抗体:原因となる花粉に対するアレルギーの有無を調べる
  • 鼻汁好酸球検査:鼻水の中の好酸球を調べ、アレルギー性の炎症を示唆する所見があるか確認する

一つの症状だけで判断するのは難しく、症状の経過や季節性、診察所見を合わせた総合的な判断が必要です。判断に迷う場合や症状がつらい場合は、医療機関で相談してください。

4. 花粉でつらい時はどうすればいいか

花粉症の症状がつらいときは、症状のタイプ(鼻づまり/鼻水・くしゃみ/目のかゆみ)に合わせて対策を組み合わせるのがコツです。ここでは、日常でできる工夫と薬の使い方のポイントをまとめます。

鼻づまりがつらい時

鼻づまりが強いと、集中力が落ちたり、睡眠が妨げられたりします。鼻づまり対策は、基本的に 鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻) を中心に、必要に応じて 内服薬短期的な補助 を組み合わせます。

■まず軸になるのは「鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻)」

鼻づまりを含む鼻症状全体に効果が期待でき、使いやすい治療です。効果は「すぐ」ではなく、数日〜1週間程度で安定してきます。症状が強い年は早めに開始し、毎日継続して使うのがポイントです。

■すぐ効かせたい時の補助:血管収縮薬の点鼻

鼻づまりが非常に強く、生活に支障が出ているときは、即効性のある血管収縮薬点鼻が役立つことがあります(例:ナファゾリン、トラマゾリンなど)。ただし、連続して使っていると、かえって症状が悪化してしまうことがあるので、注意が必要です。次のことを守って使うようにしてください。

  • 使うなら短期間(数日から1週間)にする
  • 用法用量を必ず守る
  • 子どもや妊娠中の人、持病がある人は必ず医師や薬剤師と相談する

▪️ステロイドの飲み薬(経口ステロイド)はよく考えて使う必要がある

症状が非常に重い場合に、医師の判断で短期間使用することがありますが、全身性の副作用があり、花粉症に対しては安易な使用はすすめられません。自己判断での使用や、長期の内服は避けてください。

同様に、持続型のステロイド筋注(いわゆるデポステロイド)は強い効果が出ることがありますが、副作用のリスクもあり、適応とリスクを十分に検討した上で慎重に扱う治療です。

■薬を使用しない方法

朝の鼻づまりがつらいときは、蒸しタオルで鼻の周りを温める、入浴で体を温めるなどで楽になることがあります。室内の乾燥を避ける、寝室の環境を整える(加湿、寝具の花粉対策)も有効です。

■早期の治療が鍵

花粉症は、症状が強くなる前から治療を始める方がコントロールしやすいことがあります。例年つらい人は、花粉情報を参考に早めに準備し、少しでも症状が出始めたら治療を開始すると、重症化を防ぎやすくなります。

目のかゆみがつらい時

目の症状には、まず 抗アレルギー点眼(抗ヒスタミン薬など) を使います。花粉飛散が多い時期で症状が強い場合は、医師の判断で ステロイド点眼 を追加することがあります。

▪️ステロイド点眼の注意点

ステロイド点眼は効果が高い一方で、使用が長くなると眼圧上昇などの副作用が起こることがあります。長期使用が必要な場合は、眼科で定期的に眼圧チェックを受けるのが安全です。眼圧が上がった場合でも、医師の指示で回数調整や中止を行えば改善することが多いです。

▪️目を洗う(花粉を洗い流す)工夫

目についた花粉を洗い流す目的で、防腐剤の入っていない人工涙液を使う方法があります。使い切りタイプは衛生的で、必要に応じて使用できます。点眼後に目の周りが濡れた場合は、皮膚が荒れないように軽く拭き取ってください。

カップ式の洗眼器具・洗眼液については、使い方によっては目の周囲の汚れが目に入ったり、刺激になる可能性もあるため、症状が強い人ほど自己流の洗眼に頼りすぎず、点眼治療を基本にするとよいです。