かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 135回の改訂 最終更新: 2018.06.06

花粉は秋にも飛ぶ?ブタクサ、カモガヤ他の種類ごとのシーズン

花粉症というと春の印象が強いですが、実は1年中あります。花粉症を引き起こす花粉は約60種類もあると言われています。どの花粉がどの時期に飛ぶのか知っておくと、予防や対処がしやすいです。花粉のシーズンについて、見ていきましょう。

1. スギ花粉の時期はいつからいつまで?

図:スギの花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

スギ花粉は東京では2月から4月がピークになります。スギは北海道や沖縄には少ないため、スギ花粉症は北海道や沖縄ではあまり起こりません。

地域別の主な飛散時期は下記です。

  • 北海道:3-5月(飛散量は全体的に少ない)
  • 東北:2-6月(2月中旬-4月は飛散量増加)
  • 関東:1-5月(2-4月は飛散量増加)
  • 東海:1-4月(2月中旬-3月中旬は飛散量増加)
  • 関西:1-4月(2-3月は飛散量増加)
  • 九州:1-5月(2-3月は飛散量増加)

スギ花粉の主な飛散時期は上にある通りですが、秋から少しずつ飛びはじめています。雄花の中で花粉が作られ、10月頃には完成し、少しずつ飛び始めます。この時期のスギの成長度合いと、雄花の量から翌年のスギ花粉の飛散予想をたてます。秋にスギ花粉飛散量が多いと、翌年の春もスギ花粉の飛散量が多いことが知られています。春が近づいて暖かくなると、雄花が開花して、花粉が一斉に飛び始めます。

スギは風に受粉を頼る風媒花(ふうばいか)です。花粉をたくさん作り、風に乗せて花粉を飛ばします。日本ではスギの植林面積が多いことに加えて、スギは多くの花粉を広い地域に飛ばすため、国内では最も多い花粉症になっています。

鼻のアレルギー症状に加えて、目や皮膚のかゆみ、喉(のど)の違和感などの症状があります。

2. スギ以外の花粉の種類とは?

春が過ぎたのにまだ花粉症の症状が続く人や秋にも症状が出る人もいるかもしれません。花粉症はスギだけではないので、他の種類の花粉が原因になっている可能性を考えなければなりません。

花粉は大きく分けて、木から飛散するものと草から飛散するものの2つに分けられます。木から飛散する花粉を木本花粉(もくほんかふん)とよび、草から飛散する花粉を草本花粉(そうほんかふん)とよびます。

季節による代表的な花粉は下記です。

  • 春:スギ、ヒノキ
  • 夏:イネ、シラカンバ
  • 秋:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
  • 冬:スギ

花粉症というと春に多いイメージがありますが、飛んでいる花粉の種類が違うだけで、花粉は1年中飛んでいます。日本では地域によって、同じ花粉でも飛散時期にズレがあります。地域での気温差があるからです。

代表的な花粉と、それぞれの飛散時期をみていきましょう。

ヒノキ

図:ヒノキの花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

スギとほぼ同じ時期に飛散しますが、スギよりも少し遅れて飛散します。主に4月上旬から下旬をピークとして飛散します。飛散距離が長く、広範囲に飛ぶため、花粉症を引き起こします。

  • 北海道:5-6月
  • 東北:3-5月(4月に特に飛散量増加)
  • 関東:2-6月(3-4月は飛散量増加)
  • 東海:3月中旬-4月(4月は飛散量増加)
  • 関西:2-4月(4月は飛散量増加)
  • 九州:3-5月(3-4月上旬は飛散量増加)

ヒノキの植林面積はスギの約半分です。スギは昭和40年代まで植林が盛んで、昭和50年以降はヒノキの植林が盛んになりました。樹齢25-35年に花粉の生産量がピークとなるため、今後、ヒノキ花粉症の増加が危惧されています。

ヒノキ花粉の飛散量は、スギ花粉の飛散量とほぼ同程度とされています。スギ花粉が多く飛散した年は、ヒノキ花粉も多く飛散する傾向にあります。

ハンノキ

図:ハンノキの花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

ハンノキの飛散は1-5月でスギ・ヒノキ花粉の飛散時期と同じです。北海道と、本州では北陸地方に多いとされています。

北海道でのハンノキ花粉の飛散開始時期は、本州のスギ花粉飛散時期と同じです。スギ花粉症かと思ってしまいそうですが、北海道にはスギはほとんど生えていないため、この時期の花粉症はハンノキが疑われます。

  • 北海道:3-5月
  • 東北:2-6月
  • 関東:1-5月(3月下旬-4月中旬は飛散量増加)
  • 東海:1月-4月
  • 関西:1月-4月(3月中旬に飛散量増加)
  • 九州:1月-4月上旬

白樺(シラカバ、シラカンバ)

図:白樺(シラカンバ)の花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

白樺(シラカバ、シラカンバ)は北海道の代表的な春の花粉症です。北海道ではスギ・ヒノキの花粉症はほとんどありませんが、白樺花粉症があります。

  • 北海道:4-6月(4月下旬-6月上旬は飛散量増加)
  • 東北:4-6月(5月下旬に飛散量増加)

白樺やハンノキの花粉症の特徴は、口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)合併することがあります。特定の食べ物を食べた15分以内に、口、唇、のどなどのかゆみや、ヒリヒリ感、腫れ、のどの詰まり感を起こします。症状を起こす食べ物はりんご、もも、さくらんぼなどのバラ科の植物が多いと報告されています。これらの果物のタンパク質と、白樺などの花粉のタンパク質が似ているために起こります。生で食べた時のみ症状が出て、ジュースや調理した果物では起こりにくいと言われていますが、個人差があります。

ヨモギ

画像:ヨモギの群落の写真。

に多い花粉です。風に乗りにくく、飛散距離が短いので、ヨモギが生えている場所に近づかないことで予防ができます。

図:ヨモギ属の花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

  • 北海道:8-9月
  • 東北:8-9月(9月初旬に飛散量増加)
  • 関東:7-12月(8月中旬-9月は飛散量増加)
  • 東海:8月中旬-10月中旬
  • 関西:8月下旬-11月中旬(9月中旬に飛散量増加)
  • 九州:8月-11月中旬(9月下旬は飛散量増加)

ユリ

ユリは雄しべの花粉が目立つので、花粉症があると思うかもしれません。ユリの香りで鼻に違和感を覚える方もいるかもしれません。しかし、ユリの花粉は飛散しにくいため、花粉症を起こす可能性はあまり高くありません。しかし、花粉自体が目や鼻につくと違和感やかゆみの原因にはなりうるため、花粉が手についた状態で目や鼻を触らないようにはしてください。

イネ科

図:イネ科の花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

夏から秋にかけて多い花粉です。草本花粉の代表です。スギ・ヒノキ花粉の飛散終了後も花粉症の症状が続く場合はイネ科の花粉症を疑います。

イネ科の植物は、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどが代表です。

イネ科花粉の飛散時期は最も長く、春から秋(4-10月)です。二峰性の(ピークが2回ある)飛散パターンで、春から梅雨にかけてのピークと、晩夏から秋にかけてのピークがみられます。

  • 北海道:5-9月
  • 東北:4-10月(5月中旬頃は特に飛散量増加)
  • 関東:2-12月(5-6月は飛散量増加)
  • 東海:3月下旬-10月
  • 関西:2-11月
  • 九州:2-11月

スギと似たような鼻や目の症状に加えて、皮膚のかゆみなどが出やすいのも特徴です。

スギ・ヒノキなどの木本花粉より、若い年齢での発症が多いです。

日本では花粉症といえばスギですが、欧州では花粉症といえばイネ科です。

お花見に行くと花粉症の症状が出る方もいるかもしれません。そのような時は「桜の花粉症なのかも」と思いってしまいがちです。確率論から言うと、その場合は桜ではなく同時期に飛散しているヒノキ花粉症の可能性が高いです。桜は虫が花粉を運んで受粉する虫媒花(ちゅうばいか)であり、遠くまで花粉が飛びません。風に花粉をのせて受粉する風媒花であるスギやヒノキは、多くの花粉が遠くまで飛ぶことから花粉症の原因となりやすいのですが、虫媒花である桜での花粉症は少ないです。

ただし、お花見に行って、桜の花粉が付着した花びらや木に触れた手で、鼻や目などを触るとかゆくなる可能性はあります。

3. ブタクサの花粉の時期はいつからいつまで?

図:ブタクサの写真。

図:ブタクサ属の花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

ブタクサはキク科の植物で、の花粉症の代表です。

  • 北海道:なし
  • 東北:8-10月(9月上旬-下旬に飛散量増加)
  • 関東:8-12月(8月中旬-10月上旬は飛散量増加)
  • 東海:9月
  • 関西:8月下旬-10月上旬(9月中旬に飛散量増加)
  • 九州:8月-11月中旬(9月下旬は飛散量増加)

ブタクサは昔は空き地や河原、水気の多い所に群生し、代表的な花粉症でした。現在は宅地造成や除草がすすみ、飛散量は減少して、スギ・ヒノキ、イネ科花粉症につぐ花粉症になりました。

4. カモガヤの花粉の時期はいつからいつまで?

画像:花をつけているカモガヤの群落の写真。

カモガヤはイネ科の植物で、の花粉の代表です。飛散時期が長く、二峰性の飛散パターンになります。春から梅雨のにかけてのピークと、晩夏から秋にかけてのピークがみられます。スギ・ヒノキ花粉の飛散終了後も花粉症の症状が続く場合はカモガヤや他のイネ科の花粉症を疑います。

図:イネ科の花粉の飛散時期。

(『鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版』をもとに編集部作成)

  • 北海道:5-9月
  • 東北:4-10月(5月中旬頃は特に飛散量増加)
  • 関東:2-12月(5-6月は飛散量増加)
  • 東海:3月下旬-10月
  • 関西:2-11月
  • 九州:2-11月

カモガヤは河川敷、空き地、道ばたなどに自生しています。草本花粉であるため飛散距離が短く、数10-100メートル程度です。カモガヤが生えている場所には近づかないようにすると、症状を防ぐことができます。スギと似たような鼻や目の症状に加えて、皮膚のかゆみなどが出やすいのが特徴です。

5. 季節ごとの花粉

上で述べたように、季節によって飛びやすい花粉の種類が異なります。四季ごとに飛びやすい花粉について述べていきます。

春に飛びやすい花粉は何?

春の花粉症は多くの人が経験あると思いますが、その原因はスギやヒノキが多いです。春が近づくと花粉の量が増えるため、2月あたりから症状が出る人が多くなってきます。

夏に飛びやすい花粉は何?

夏の花粉の代表はイネ科の植物です。イネ科の植物は、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどが代表です。

イネ科花粉の飛散時期は最も長く、春から秋(4-10月)です。二峰性の飛散パターンで、春から梅雨のにかけてのピークと、晩夏から秋にかけてのピークがみられます。

夏の花粉症を起こすイネ科植物の多くは牧草として栽培され、路端や河川敷に生息します。草本花粉であり、数10メートルまでしか飛ばす、遠くへは飛散しません。植物の生えている場所に近づかないようにすると良いでしょう。

秋に飛びやすい花粉は何?

秋の花粉の代表はキク科のブタクサです、8-10月に飛散します。

同じくキク科のヨモギや、クワ科のカナムグラ、イラクサ科のイラクサなども秋に飛散します。

スギ花粉も少量ではありますが、秋にも飛散します。秋にスギ花粉が多く飛散した翌年の春は、スギ花粉の飛散量が多いことが知られています。

冬に飛びやすい花粉は何?

冬の花粉症は少ないですが、微量ながら花粉は飛散しています。

冬には北海道と沖縄を除く地域で、スギ花粉が少しずつ飛び始めています。その他の冬の花粉としては、関東から九州にかけてはイネ科や、関東ではブタクサの花粉が飛散しています。

地域ごとの季節の花粉

地域ごとにそれぞれの季節で飛散する花粉を図にまとめます。

図:北海道と東北で季節ごとに飛散する花粉。

図:北海道と東北地方で季節ごとに飛散する花粉

図:関東と東海で季節ごとに飛散する花粉。

図:関東地方と東海地域で季節ごとに飛散する花粉

図:関西と九州で季節ごとに飛散する花粉。

図:関西地域と九州で季節ごとに飛散する花粉

このように、同じ種類の花粉も地域によって飛びやすい時期が異なってきます。

6. 花粉と天気の関係は?

花粉が多く飛散する天気は下記です。

  1. よく晴れた日
  2. 雨の降った翌日
  3. 風が強い日

もっとも花粉の飛散量が多くなるのは、前日が雨だった風の強い晴れた日です。

よく晴れた日は、開花がすすみ花粉が飛散しやすくなります。晴れた日には、湿度が低くもなるため、飛散量は多くなります。

雨の降った翌日は、飛散するはずだった花粉が翌日に持ち越され、倍の量が飛散するため、飛散量が増加します。

雨の日には花粉の飛散量は減りますが、降り始めは、空気中の花粉が雨とともに落下して、一時的に飛散量が増えることがあります。

風の強い日は、より遠くに花粉が飛散することになります。都市部では地面におちた花粉が、風に乗って再び巻き上がって、飛散量が増加します。

花粉症の時期になると、今日の花粉の飛散予測をテレビやwebで見ることができるので、参考にして下さい。

7. 夜にも花粉は飛ぶ?

夜には花粉の飛散は減ります。しかし、都市部では日中に地面におちた花粉が、夜になって風に乗って再び巻き上がり、飛散することがあります。夜でも花粉症の症状がある季節は、マスクや眼鏡を着用するなど対策をして外出する方が症状を緩和できます。