抗リン脂質抗体症候群について知っておいてほしいこと:妊娠、手術、食事、難病申請に関すること
抗リン脂質
1. 抗リン脂質抗体症候群について知っておいてほしいこと
抗リン脂質抗体症候群の人が生活の中の注意した方が良いことなどについて、以下の項目に分けて説明していきます。
- 妊娠する時の注意点
- 手術を受ける時の注意点
- 食事内容の注意点
- その他の注意点
- 難病申請の医療費助成
2. 妊娠する時の注意点
抗リン脂質抗体症候群は流産をしやすくなる病気です。この病気を指摘された人の中には出産できるか不安に感じている人もいるかもしれません。
現在、医療の発展に伴い抗リン脂質抗体症候群の人であっても妊娠・出産することが可能な時代になりました。バイアスピリンとヘパリンの併用療法により妊娠した8割の人が出産できるという報告もあります。
ただし、妊娠中は治療薬の選択に注意が必要です。抗リン脂質抗体症候群の治療でよく用いられるワーファリンは赤ちゃんの奇形を誘発する作用があるため、妊娠中は使えません。妊娠を希望する人は、治療内容の変更が必要な場合もありますので、お医者さんと相談するようにしてください。
3. 手術を受ける時の注意点

抗リン脂質抗体症候群の人の中には、他の病気の治療のため手術が必要となる人もいるかもしれません。手術を受ける場合には、次のような注意点があります。
手術により血のかたまりができるリスクがある
手術による身体への負担や長期の安静で、血のかたまりができやすくなります。それゆえ、抗リン脂質抗体症候群の病状が良い時に手術を受けることが望ましいですし、手術前には身体のどこかに
手術前に治療薬の中止が必要な場合がある
手術を受ける時には抗リン脂質抗体症候群の治療薬を中止したり、他の薬に切り替えたりすることがあります。これは抗リン脂質抗体症候群の治療薬に血液をサラサラにする作用があり、手術中に出血量が多くなるのを避けるためです。薬の中止や切り替えについては担当のお医者さんから指示されます。適切に薬の中止や切り替えがされていないと、手術が延期になる場合もあるので注意してください。
4. 食事内容の注意点
抗リン脂質抗体症候群と言われたら、食事に関して注意して欲しいことがあります。
暴飲暴食をしない
抗リン脂質抗体症候群は血のかたまりができやすくなり、脳梗塞や
ワーファリンで治療している場合にはビタミンKが豊富なものは避ける
抗リン脂質抗体症候群でよく使われる治療薬にワーファリンがあります。ワーファリンは
5. その他の注意点
抗リン脂質抗体症候群では血のかたまりができにくくするために血液をサラサラな状態にしておくこと必要があります。一方で、血が固まりにくくことによる副作用が問題になることがあります。具体的には「転倒・
転倒・打撲しないように気をつける
抗リン脂質抗体症候群の治療中は血が止まりにくい状態になっているため、通常ではあまり問題にならないような転倒や打撲であっても大きな出血につながることがあります。そのため、転びにくい靴を履く、雨の日の外出時には一層気をつけるなど、日頃から転倒や打撲しないための注意が必要です。特に頭をぶつけると、命に関わる脳出血を起こすことがあります。もし頭をぶつけてしまった後に、頭痛、吐き気、反応が悪いといった変化がある場合にはすぐに医療機関を受診してください。また、頭をぶつけてから1ヶ月近く経ってからこれらの症状があらわれること(慢性硬膜下血腫)があります。頭をぶつけてからしばらくの間は、様子に変化がないか注意してください。
日常的な出血に注意する
通常であれば心配のない、日常的な出血への配慮も重要なポイントです。血液をサラサラにする薬を飲んでいる間は、鼻血や生理の出血がひどくなったりすることがあります。止血処置が必要な場合もありますので、ダラダラと出血が続き、止まりにくい場合には医療機関を受診してください。
また、薬が原因で
6. 難病申請について
抗リン脂質抗体症候群は難病に指定されています。国が指定する重症度基準の3度以上の人が医療費助成の対象となります。
そもそも難病とは?
厚生労働省は原因が十分にわかっておらず治療法が確立されていない疾患を指定難病(難病)と分類しています。難病患者の負担を軽減するため、一定の重症度を超える場合に医療費の助成があります。現在300を超える病気が難病に指定されており、抗リン脂質抗体症候群も難病のひとつです。重症度基準の3度以上の人が医療費の助成を受けることができます。重症度の目安は以下のようになります。
【重症度基準】
- 1度
- 治療をしておらず、日常生活に支障がない
- 2度
- 治療をしているが、日常生活に支障がない
- 3度
- 4度
- 5度
※ 劇症型抗リン脂質抗体症候群とは?
劇症型抗リン脂質抗体症候群は抗リン脂質抗体症候群の中でも特に重症なものを言います。脳、心臓、肺、腎臓、腸など全身の内臓に血のかたまりが大量にでき、命に関わる非常に危険な状態です。
難病の医療費助成の申請手順
難病の医療費助成の申請は大まかに以下の手順です。自治体ごとに準備する書類が異なりますので、詳しくは住んでいる都道府県の保健所にお問い合わせください。
【難病の医療費助成申請の大まかな手順】
- 医療費助成に必要な以下の書類を準備します。(カッコ内は入手可能な場所)
- 臨床調査個人票(厚生労働省のホームページ、福祉保健局のホームページ、市区町村の窓口)
- 特定医療費支給認定申請書(福祉保健局のホームページ、市区町村の窓口)
- 個人番号に関わる調書(市区町村の窓口)
- 住民票(市区町村の住民票窓口)
- 市区町村税課税証明書(市区町村の住民税窓口)
- 健康保険証の写し
- 臨床調査個人票の記入を医師(※)に依頼します。臨床調査票は難病であることの証明(診断書)でもあるので、医師による記入が必要になります。
- 上記の書類を揃えて、住んでいる市区町村窓口で申請します。指定難病として認定されると、医療券が発行されます。要件が満たされないと判断された場合には不認定通知が発行されます。認定の決定は、指定難病審査会で行われ、結果が出るまでには3ヶ月程度の時間がかかります。
※臨床個人調査票は難病の臨床調査個人票の記入を都道府県知事から認定された医師しか作成できません。この都道府県知事から認定された医師を「指定医」と呼びます。主治医が指定医であるかは主治医に直接問い合わせてください。各自治体の福祉保健局のホームページなどにある一覧などでも確認できます。
参考:
・埼玉県HP「難病対策」
・東京都福祉保健局HP「難病医療費助成の支給認定申請手続等」
・難病情報センター「原発性抗リン脂質抗体症候群」