急性腎障害(急性腎不全)の基礎知識
POINT 急性腎障害(急性腎不全)とは
急激に腎臓の機能が低下することです。原因はさまざまですが、「腎臓に流れる血液が減少する場合(腎前性)」、「腎臓そのものの機能が低下する場合(腎性)」、「尿の流れ道が詰まる場合(腎後性)」の3パターンに分けられます。腎臓は血液から水分や老廃物を濾過して尿を作り出しています。急性腎障害が起こると、尿量の減少や、身体のむくみ、息苦しさなどの症状が現れます。腎性、腎前性、腎後性の3つのパターンそれぞれで治療法が異なるので、血液検査や画像検査(腹部超音波検査や腹部CT検査・MRI検査など)を用いて原因が詳しく調べられます。尿量が急激に低下した場合には急性腎障害が原因の1つとして考えられます。腎臓内科や内科、救急科を受診して詳しく調べてもらってください。
急性腎障害(急性腎不全)について
急性腎障害(急性腎不全)の症状
急性腎障害(急性腎不全)の検査・診断
- 血液検査:
腎機能 やそれによって起こる電解質 (ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)の異常がないかを調べる - 尿検査:尿路感染や尿蛋白の有無から、腎機能が低下した原因を調べる
- 画像検査:水腎症の有無や腎臓の大きさや形を調べる
腹部超音波検査 腹部CT 、MRI 検査
- 腎動脈の閉塞が疑われる場合は血管
造影 検査を行う場合もある
急性腎障害(急性腎不全)の治療法
- 腎前性腎不全の場合
- 体中を十分血液が回るように、点滴をしたり輸血を行う
- 状況によっては利尿薬を用いる
- 腎性腎不全の場合
- 原因となっている病気の治療を速やかに開始する
- 腎臓の負担を軽減させ、
合併症 を予防するために「食事療法」と「薬物療法」を行う- 食事療法:低タンパク質・減塩・低カリウムの食事を心がける
- 薬物療法:降圧薬や利尿薬を用いる
- 腎後性腎不全の場合
- 腎臓から尿が出て行く通り道(尿路)を塞いでいるものが取れ、速やかに尿が流れるようになれば回復する
- 尿路を塞いでいる原因によって解除法が変わるため、まずは原因を突き止めることが治療につながる
腎機能 障害が重度の場合、透析 を行う- 全員が長期的に透析が必要になるわけではなく、一時的に透析を行うだけで済む場合も少なくない
- 透析については「慢性腎臓病」を参考
- 急性腎不全に加えて他の臓器もダメージを受けてしまった場合は、重症になりやすく治りにくい
急性腎障害(急性腎不全)に関連する治療薬
陽イオン交換樹脂製剤(血清カリウム抑制剤)
- 腸管内で薬剤のもつ陽イオンをカリウムイオンと交換し、カリウムイオンを体外へ排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬
- 慢性腎臓病では腎臓の機能低下により血液中のカリウム値が高くなりやすくなる
- 血液中のカリウム値が高いままだと高カリウム血症がおこりやすくなる
- 本剤は腸管内でカリウムイオンを本剤のもつ陽イオンと交換し、体外へ排泄させる樹脂製剤
急性腎障害(急性腎不全)の経過と病院探しのポイント
急性腎障害(急性腎不全)が心配な方
急性腎障害(急性腎不全)では、尿の量が減ってだるさや頭がぼーっとするといったような意識障害などの症状がみられます。
急性腎障害だけが突然起こることはありません。その原因となる病気や病状がありますので、それによって受診すべき医療機関が異なります。一概に医療機関の目安を示すことはできませんが、以下に例をお示しします。詳しくは、それぞれの病気のページをご参考にしてください。
- 例:熱中症による急性腎障害であれば近くの救急もしくは内科、クリニックでも病院でも可
- 例:尿閉による急性腎障害であれば泌尿器科のクリニックまたは病院
- 例:重症感染症による急性腎障害であれば近くの総合病院の救急科
急性腎障害の診断は血液検査と尿量の確認で行います。
急性腎障害(急性腎不全)でお困りの方
急性腎障害の治療は原因により異なります。多くの場合、継続的な点滴と血液検査が必要となりますので入院が必要です。内科のある総合病院を受診してください。
急性腎障害の治療だけでなく、それを起こした原因疾患の治療も必要です。どちらかと言えば原因疾患の担当科に入院となることの方が、腎臓内科に入院となることよりも多いです。肺炎ならば呼吸器内科、といったような具合です。急性腎障害の有無で受診する病院や診療科を選ぶ必要性はあまりありません。