こうじょうせんきのうていかしょう
甲状腺機能低下症
身体の新陳代謝(エネルギー代謝)を活発にする甲状腺ホルモンが、何らかの理由で不足している状態
12人の医師がチェック 76回の改訂 最終更新: 2019.08.07

甲状腺機能低下症とは?症状、原因、検査、治療など

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの不足により気分の落ち込み、疲れやすさ、むくみといったさまざまな症状を起こす病気です。これらの症状は甲状腺ホルモン補充療法により改善させることができます。大人の場合は内分泌内科、代謝内科、子どもの場合は小児科で治療を受けることができます。

1. 甲状腺機能低下症ってどんな病気?

甲状腺ホルモンは身体の中でエネルギーをうまく使うために必要なホルモンです。甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンが不足したり、うまく働かなかったりして、身体の冷え、疲れやすさ、気分の落ち込みなど身体にさまざまな不調があらわれる病気です。甲状腺ホルモンはのどぼとけ(甲状軟骨)のすぐ下にある甲状腺で作られます。甲状腺の異常を知らせるサインとして甲状腺の腫れが起こることもあります。

甲状腺機能低下症、橋本病

2. 甲状腺機能低下症の症状

甲状腺ホルモンが不足するとさまざまな体調不良を引き起こします。甲状腺機能低下症の代表的な症状として知られているのは以下のとおりです。

  • 甲状腺の腫れ
  • 気分の落ち込み
  • むくみ(浮腫
  • 身体の冷え・疲れやすさ
  • 脱毛
  • 便秘

それぞれの症状について詳しくはこちらのページで説明しています。

3. 甲状腺機能低下症の原因

甲状腺機能低下症はさまざまなことが原因で起こります。というのも甲状腺ホルモンの量や働きは、甲状腺だけでなく、脳(下垂体)、甲状腺ホルモン受容体などいくつもの場所が関わっているためです。言い換えると、これらのどこかに異常があると甲状腺機能低下症を起こしてしまう可能性があります。甲状腺機能低下症の原因を異常のある場所で分類すると以下の3つのように分けることができます。

それぞれの原因について詳しくはこちらのページで説明しています。

4. 甲状腺機能低下症の検査

甲状腺機能低下症の検査では血液検査が特に重要です。血液検査からわかる甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの値を中心に、症状やその他の検査から得られた情報を組み合わせて診断と重症度が判断されます。具体的には次のような検査が行われます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査
    • フリーT3(fT3)、フリーT4(fT4)
    • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
    • 抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
    • コレステロール
    • クレアチンキナーゼ(CK)
  • 甲状腺エコー検査

それぞれの検査について詳しくはこちらのページで説明しています。

5. 甲状腺機能低下症の治療

甲状腺機能低下症の治療は薬物療法です。治療薬には甲状腺ホルモンを補充する甲状腺ホルモン薬と症状緩和のための漢方薬があります。具体的には以下の治療薬があります。

  • 甲状腺ホルモン薬
    • チラーヂン®S
    • レボチロキシンNa
    • チロナミン®
  • 漢方薬
    • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
    • 十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)
    • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
    • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
    • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュウユショウキョウトウ)

甲状腺ホルモンの補充療法は、もともと体内にある甲状腺ホルモンの不足分を補う方法なので、副作用などの心配が少ない治療法です。一人ひとりの症状の強さや血液検査の値を参考にしながら薬を調整していきます。

それぞれの薬の特徴や副作用について詳しくはこちらのページで説明しています。

6. よくある甲状腺機能低下症の疑問点

甲状腺機能低下症は付き合いが長くなる病気であり、日常生活の中でさまざまな疑問点が生じるかもしれません。よくある疑問についてはこちらのページで説明していますが、甲状腺機能低下症は女性に多いことから、ここでは妊娠・出産に関して知って欲しいことについて説明します。

甲状腺機能低下症があっても妊娠・出産は可能です。ただし、甲状腺機能低下症が治療されていないと不妊や流産早産などのリスクにもなるため、しっかり治療をしたうえで妊娠・出産をすることが重要です。お母さんの甲状腺ホルモンが足りない状態というのは赤ちゃんの発育にも悪影響があるので、妊娠中も甲状腺ホルモンの補充療法を行います。妊娠中は甲状腺ホルモン値や甲状腺刺激ホルモン値を見ながら、薬の用量を調整します。不安なことがあれば、担当のお医者さんと相談してください。