アレルギー性鼻炎に悩まされている人が日常生活から気をつけたいこと
アレルギー性鼻炎の治療の第一歩は、
目次
1. アレルギー性鼻炎は治るのか?
現在、アレルギー性鼻炎に広く行われている治療は、抗
一方、アレルギー性鼻炎に対して体質に働きかけ、症状を起こしにくくすることを目指す治療として、
免疫療法では、投与したアレルゲンによってアレルギー症状が出る可能性があるため、専門の医療機関で安全に配慮しながら行います。
詳しくは「免疫療法:舌下免疫療法、皮下免疫療法」も参考にしてください。
2. アレルギー性鼻炎は薬以外でも治療できるのか?
アレルギー性鼻炎の主な治療は薬物療法ですが、薬以外でもできる対策があります。中心になるのは、原因となるアレルゲン(アレルギーの原因物質)を減らすことです。加えて、鼻に入ったアレルゲンを洗い流す方法として鼻うがい(鼻洗浄)も選択肢になります。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)から距離をとる
アレルギー性鼻炎では、原因アレルゲンを減らすほど症状が軽くなりやすくなります。
- 季節性(花粉症など):花粉にさらされる量を減らす
- 通年性(ダニ・ハウスダストなど):室内環境を整え、アレルゲンを減らす
通年性で検査対象になりやすいアレルゲンには、ダニ(ハウスダスト)、カビ、ペット、昆虫などがあります。特にハウスダストではダニ由来の成分が関与していることが多いため、室内対策はダニ対策が軸になります。
室内のアレルゲン対策では、掃除と整理整頓が基本です。本棚を扉付きにする、箱はフタ付きにするなど、ホコリがたまりにくい工夫も役立ちます。ダニやカビは湿度の高い環境で増えやすいため、室内の湿度管理も重要です(目安は高湿度を避けること)。
ダニ・ハウスダストのアレルゲンを減らす方法
ダニは、寝具にたまりやすい人のフケ・アカ、ホコリ、食べかすなどを栄養に増えます。吸い込みが起こりやすいのは睡眠中なので、寝具対策が最優先です。具体的な対策としては、次のものがあります。
- 床の掃除機がけ:少なくとも週2回以上を目安に、ゆっくりかけます
- 寝具の管理:シーツ・カバーはこまめに洗濯します
- ダニを通しにくいカバー:マット・布団・枕に高密度カバーを使う方法もあります
-
環境:布張りソファ、カーペット、畳、ぬいぐるみはダニが増えやすいので、可能なら量を減らします
少しずつでよいので、上記の取り組みを習慣として取り入れみてください。
ペットのアレルゲンを減らす方法
ペットが原因の場合、対策の基本は「生活空間を分ける」ことです。
- 寝室に入れない
- ペットの居場所を限定する
- 飼育環境を清潔に保つ(掃除・換気)
- カーペットを減らし、拭き掃除→掃除機の順で行う
すでに飼っている場合は、上記の工夫が現実的です。動物アレルギーの可能性がある人が新たにペットを飼い始めるの場合は、慎重に考えることをお勧めします。
スギ花粉との接触を減らす方法
花粉症では「花粉にさらされる量」を減らすことが基本です。次のことが有効だと考えられています。
- 花粉情報に注意する
- 花粉が多い日は外出を控える/外出時はマスク・眼鏡
- 帰宅時に衣服や髪を払う → 洗顔・うがい・鼻をかむ
- 窓の開放は短時間・小さめにする
- 花粉が多い日の外干し(洗濯物・布団)を避ける
- 室内の掃除(特に窓際)を丁寧に行う
スギ花粉の回避については「花粉はメガネで防げる?花粉症のグッズは効果があるの?」も参考にしてください。
鼻うがいとは?
鼻うがいは、鼻の中に入ったアレルゲンや分泌物を物理的に洗い流すセルフケアです。帰宅後や症状が強いときに行うと、楽になる人もいます。洗浄機は市販されているので、薬局やドラッグストアなどで購入できます。注意点として、鼻洗浄には、蒸留水・滅菌水、または煮沸して冷ました水を使うのが安全です。未処理の水道水を使わないことをお勧めします。
鼻づまりがひどい時の対処は?
薬を使っても鼻づまりがつらいときは、生活面の工夫で楽になることがあります。
- ぬるめの入浴(体を温める)
- 蒸しタオルで鼻の周囲を温める(局所温熱)
- 塩水での鼻うがい
- 足を温める(足湯など)
- 飲酒を避ける(鼻づまりが悪化しやすい)
こうした工夫は一人ひとりで効果の差が大きいので、無理のない範囲で色々と試してみるのが良いかもしれません。
3. 医療機関にかかった方がいい人について
アレルギー性鼻炎がある人では、ほかのアレルギー疾患や耳の病気を
アレルギー疾患が持病にある人
アレルギー性鼻炎は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどと同じくアレルギーが関与する病気です。これらはいくつかが同時にみられることがあり、子どもでは、乳児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが先行し、その後にアレルギー性鼻炎や喘息が出てくることがあります。この経過は「アレルギーマーチ」と呼ばれます。症状の組み合わせによってセルフケアや治療が変わるため、子どもの場合は小児科で全体像を整理し、必要に応じて耳鼻咽喉科や皮膚科、アレルギー専門医に連携します。
咳が続く人:気管支喘息、アトピー喘息
アレルギー性鼻炎でも咳が出ることがありますが、咳が長引く、息苦しさを伴う、咳き込みが強い場合は気管支喘息を考えます。喘息は、アレルギーなどをきっかけに気道(空気の通り道)が狭くなる病気で、感染やホコリなどの刺激で悪化することがあります。
鼻炎でも、鼻水がのどに流れること(後
皮膚がカサカサになったり赤くなったりする人:アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎がある人では、のちにアレルギー性鼻炎を合併することがあります。皮膚症状があり、鼻づまり・鼻水・くしゃみが続く場合は、鼻炎の合併が疑われます。
また、花粉の時期に皮膚症状が悪化することがあります。普段は皮膚炎がなくても、花粉の時期に限って顔や首など露出部に湿疹が出る場合、花粉の付着による皮膚炎(花粉皮膚炎/接触性皮膚炎)が
食事後に調子が悪くなることがある人:食物アレルギー
食物アレルギーにはいくつかの型がありますが、アレルギー性鼻炎(特に花粉症)と関連が深いのは口腔アレルギー症候群です。花粉のアレルゲンと果物・野菜のアレルゲンの一部が似ているため、花粉に感作されている人が生の果物や野菜を食べたときに、口やのどの粘膜に症状が出ます。典型的には、摂取後1時間以内に、唇・口の中・のどのかゆみ、ピリピリ感、違和感が起こります。
多くは口やのどの症状にとどまりますが、呼吸のしづらさ、全身のじんましん、腹痛・下痢、強いのどの腫れなどが出る場合は重症のアレルギー反応を疑います。このような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
耳の調子も悪い人:滲出性中耳炎
アレルギー性鼻炎では、耳と鼻をつなぐ
次のようなサインがある場合は耳鼻咽喉科での評価が役立ちます。
- 呼びかけへの反応が悪い
- 聞き返しが増える
- テレビの音量が大きい
- 耳が詰まった感じが続く
鼓膜の観察や
4. アレルギー性鼻炎は遺伝するのか?
アレルギー性鼻炎を「必ず
5. 食べ物で気をつけるべきことはある?
毎日の食事で「アレルギー性鼻炎を予防できる」と確立したものは、現時点ではありません。甜茶やヨーグルト(乳酸菌)などは、代替療法として取り入れている人が多い一方で、その効果ははっきりしていません。
参考文献:代替医療の実態と有効性の科学的評価
アレルギー性鼻炎にヨーグルト・乳酸菌は効く?
ヨーグルトや乳酸菌(プロバイオティクス)がアレルギー性鼻炎に効くという話はありますが、現時点では有効性は確定していません。プロバイオティクスは「適量を摂取したときに健康上の利益をもたらす生きた微生物」とされ、腸内環境を介してアレルギー反応に影響する可能性が議論されています。
スギ花粉症の症状緩和を目的に乳酸菌を摂取した研究では、効果を示す報告と示さない報告があり、結論はまだ一定していません。妊婦や乳幼児を対象とした研究では、アトピー性皮膚炎のリスク低下が報告された一方、アレルギー性鼻炎の予防効果は明確ではありません。
参考文献
・Allergy. 2015 Nov;70(11):1356-71.
アレルギー性鼻炎にお茶は効く?
甜茶(てんちゃ)は花粉症に効くと言われることがあります。甜茶は中国茶のうち甘みのあるお茶の総称で、甜茶ポリフェノールにヒスタミン作用を弱める可能性が指摘されています。ただし、偽薬(プラセボ)と甜茶カプセルを比較した研究では差がはっきりせず、有効性は限定的と考えられます。
参考文献
・Auris Nasus Larynx. 2011 Oct;38(5):600-7.
アレルギー性鼻炎でお酒は飲んでも良い?
アレルギー性鼻炎だからといってお酒を飲んでいけないということはありません。しかし、アルコールは血管拡張作用があるため、アルコール摂取により鼻づまりの症状は悪化します。飲酒による楽しみと症状の悪化とを天秤にかけて判断してください。
6. タバコは吸ってもよいか?
アレルギー性鼻炎の人が直ちに禁煙しなければならないというわけではありませんが、喫煙は鼻粘膜に刺激を与え、症状を悪化させたり、症状が長引いたりする原因になります。受動喫煙も同様に、発症や症状悪化に関係することが報告されています。また、アレルギー性鼻炎がある人で喫煙を続けている場合、気管支喘息の発症や悪化に影響する可能性も指摘されています。
喫煙は他の病気のリスクとしても知られています。健康面を大切にしたい人は禁煙を検討してみてください。
参考文献
・Ann Agric Environ Med. 2014;21(1):59-63. Int Forum Allergy Rhinol. 2015 Jun. J Allergy Clin Immunol. 2008 Jun.
7. 運動はしてもよいか?
アレルギー性鼻炎があっても運動は可能ですし、運動によって鼻粘膜が収縮し、一時的に鼻通りが良くなることもあります。
一方、花粉症の時期は屋外運動で花粉への曝露が増え、症状が悪化しやすくなります。症状が強い日は屋外での運動量や時間帯を調整します。花粉の飛散時期は種類によって異なるため、「花粉は秋にも飛ぶ?ブタクサ、カモガヤ他の種類ごとのシーズン」も参考にしてください。
水泳をする時の対策は?
水泳そのものが明らかにアレルギー性鼻炎に悪影響を及ぼすとは言い切れませんが、プールの塩素や水質、鼻に入る水の量によっては、症状が一時的に悪化することがあります。
水が鼻に多く入ると、鼻粘膜が刺激を受けて鼻水が増えることがあります。対策としては、泳ぐ前後に鼻をかむことが基本です。症状が強い時期は無理をせず、状況に応じて運動を調整します。
8. 環境によってアレルギー性鼻炎は起こるのか?
アレルゲンが多い環境で生活していると、アレルゲンに感作され、アレルギー性鼻炎を発症することがあります。すでにアレルギー性鼻炎がある場合も、生活環境によって症状が左右されるので、環境を整えるのが重要です。ここでは、ペット、カーテン、空気清浄機について整理します。
ペットはアレルギー性鼻炎の症状を悪化させる?
ペットの毛やフケ、体に住み着いたダニはアレルギー性鼻炎の原因になります。アレルゲンに犬や猫の皮膚や、ダニ、ハウスダストがある場合は、ペットの飼育を避けたほうが症状は緩和します。既に飼っている場合は、飼うのをやめるか、屋外での飼育が望ましいのですが、難しい場合もありますね。
そこでできることとしては、ペットを飼育する部屋を限定し、できればフローリングにしましょう。ペットのアレルギーがある人の寝室にはペットが入らないようにしましょう。ペットの毛がついた寝具で寝ると、寝ている間に吸い込んでしまうことがあるので、寝具はいつも清潔に保ちましょう。
ペットの毛やフケはアレルゲンになり得ます。また、ペットの生活環境にはホコリやダニが関わることもあります。検査でペット関連のアレルゲンが関与している場合、飼育環境の調整が症状の軽減につながります。
- ペットの生活空間を限定する
- 寝室になるべく入れない
- 床は可能ならフローリングにする
- 寝具を清潔に保つ(毛が付着しやすいため)
可能な範囲で環境を整えるようにしてください。
カーテンはアレルギー性鼻炎の症状を悪化させる?
カーテンにはホコリが付きやすく、開閉で舞い上がると症状の悪化につながることがあります。床に引きずる長さはホコリがたまりやすいため、床につかない長さにすると管理がしやすくなります。素材によってはダニやホコリが付きやすい場合があるため、洗濯しやすいものを選び、こまめに手入れします。ブラインドに変更できる場合は管理が楽になるかもしれません。
空気清浄機はアレルギー性鼻炎の対策になる?
空気清浄機は、室内に浮遊する花粉やホコリを減らす目的で用いられます。掃除だけでは空気中に舞った粒子を完全に取りきれないため、補助として併用する価値があります。
設置場所は部屋の形や動線で最適解が変わりますが、空気の流れを妨げない位置に置き、周囲にホコリがたまりやすい点を意識して拭き掃除を組み合わせます。