しょくもつあれるぎー
食物アレルギー
特定の食べ物によって引き起こされるアレルギー反応。腸の、免疫を抑える機能の異常や発達不足が原因と言われている
14人の医師がチェック 63回の改訂 最終更新: 2021.03.25

食物アレルギーの基礎知識

POINT 食物アレルギーとは

特定の食べ物に対して起こるアレルギー反応です。症状として、じんましん、全身のかゆみ、皮膚の赤み、顔のむくみ、息苦しさなどがあります。命に関わるアナフィラキシーという状態に発展することもあり、注意が必要な病気です。重症な場合はステロイドやアドレナリンの注射が必要となります。アレルギーを起こした食べ物は以後、摂取しないことが重要です。お子さんの場合は小児科、大人の場合はアレルギー科や皮膚科を受診してください。また息苦しさや顔面のむくみ、じんましんが急激に悪くなる場合はアナフィラキシーに発展する可能性があるので救急科を受診してください。

食物アレルギーについて

  • 特定の食べ物によって引き起こされるアレルギー反応
  • 下記のように分類される
  • 成長とともに消化管免疫機能は発達するため、食物アレルギーは子どもに多い(小麦、甲殻類、木の実など)
    • 乳児で約10%、全年齢で約1%
  • 原因となりやすい食べ物
    • 乳児期の発症:鶏卵、乳製品、小麦
    • 学童・成人期の発症:甲殻類、魚介類、そば、小麦、果物、ピーナッツ
  • 乳児期での発症の場合、成長とともに耐性を獲得することが多い(アレルギー症状を起こさなくなることが多い)
    • 学童や成人期での発症の場合、耐性を獲得する可能性が低い

食物アレルギーの症状

  • 即時型であれば、下記の症状が15-30分以内に出現することが多い
    • じんましん
    • 発赤
    • 血管浮腫むくみ
    • 息苦しさ
    • ひゅーひゅーという呼吸 など
  • その他の症状
    • 眼の充血、涙がでる
    • 鼻水、鼻づまり
    • 喉の違和感
    • 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 など
  • 複数の臓器症状が出た場合や命に関わる症状が出た場合をアナフィラキシーと呼ぶ

食物アレルギーの検査・診断

  • 「いつ何をどの程度食べて何分後にどのような症状が出たか」が最も重要であり、血液検査などはあくまで参考程度
  • アレルギーの検査を必要に応じて行う
    • 血液検査:血中抗原特異的IgE抗体検査(検査が陽性でも、アレルギーの症状はでないことがある)やヒスタミン遊離試験など
    • プリックテスト:皮膚に小さな傷をつけてアレルゲンを塗布して反応をみる
    • 食物除去試験:原因と疑われる食物を一定期間除去する
    • 食物経口負荷試験:原因と疑われる食物を少量ずつ摂取して症状の有無を観察する(アナフィラキシーなどを起こす可能性があるため、専門の医療機関で行う)

食物アレルギーの治療法

  • 原因となる食物(アレルゲン)を避ける
    • 食物除去は種類・量ともに必要最小限にする
    • 仮にIgE抗体検査で陽性と出ていても、食べられるのであれば除去する必要はない
  • 食物依存性運動誘発アレルギーの場合、食物除去は必須ではないが、原因となる食物摂取後4時間は運動を避ける
  • 小児の場合は成長とともに耐性を獲得する可能性が高いため、適宜食物負荷試験を行い、食物除去解除を目指す
  • 離乳食(特に鶏卵、乳製品、小麦など)をすすめる際は十分に加熱したものを少量ずつ与えて、症状がでないことを確認しながら量や頻度を増やしていく
    • 「心配だから」という理由で離乳食を遅らせる必要はない
    • 離乳食を始める前にIgE抗体検査を行う必要もない
    • ただし、初めてのものを与える際は可能な限り平日の日中にする
  • 体調不良時や運動時にはアレルギー反応がでやすいので、注意が必要
  • 食物アレルギーの関連する乳児アトピー性皮膚炎に対しては、クロモグリク酸ナトリウム(商品名:インタール)の飲み薬が有効なことがある
  • アレルギーが起こったときには、速やかに医療機関に連絡し相談する
    • 症状が軽い場合には自然に改善する
    • アナフィラキシーを起こした場合にはアドレナリン筋肉注射やステロイド静脈注射が必要になる
    • アナフィラキシーを起こす頻度が高い場合には、アドレナリン自己注射(商品名:エピペン)が必要になることもある
    • 症状が一度落ち着いた後に、再度症状が出現する危険性もあるため十分に注意が必要

食物アレルギーの経過と病院探しのポイント

食物アレルギーが心配な方

食物アレルギーとは、特定の食べ物によって引き起こされるアレルギー反応のことです。食後15-30分ほどで、蕁麻疹、むくみ、喉の違和感、腹痛、下痢、喘息などの症状が出現します。

ご自身が食物アレルギーでないかと心配になったとき、最初に受診するのはアレルギー科、皮膚科、救急科になります。お子さんの場合には小児科での対応も可能です。症状が重症の場合(アナフィラキシーと呼ばれます)には救急車を呼ぶことが必要です。また、夜間の場合も同様に救急科の受診になります。また、上記の診療科であれば、クリニックや総合病院どちらでも検査や治療が可能です。クリニックは比較的待ち時間が少なく受診できるため、そちらの方がいいかもしれません。

食物アレルギーの診断は、摂取したものの情報と上記症状の診察から診断します。症状が改善しない場合、これらの情報をもとにしてすぐ治療にうつることが多いです。しかしその後の発症を防ぐため、どの物質にアレルギー反応が起こるか確認するための検査をすることがあります。検査方法としては、血液検査、皮膚テスト、食物除去試験、誘発テストなどがあります。皮膚科やアレルギー科であればクリニックであってもこのような検査が実施可能ですが、救急科ではこれらの検査は困難です。

食物アレルギーに関連する診療科の病院・クリニックを探す

食物アレルギーでお困りの方

食物アレルギーの治療は、原因となる食べ物を避けることです。小児の場合は成長するにつれて免疫も成熟していき、今までアレルギーを起こしていた物質にアレルギー反応を起こさなくなることもありえます。また、逆に今まで食べていたものにアレルギー反応を起こすようになってしまうこともあります。

過去に何度かアレルギー反応を起こしたことがある方で、今回もいつもと同じアレルギーだ、と思っていても、喉の違和感がある場合、呼吸が苦しくなる場合、立ちくらみがする場合、下痢が起こる場合はアナフィラキシーという危険な状態の可能性があるため、速やかに病院を受診するようにしましょう。

過去にアレルギー反応を起こしたことがある方は、自分のアレルギーが何なのかを自覚しておくことが重要です。

食物アレルギーに関連する診療科の病院・クリニックを探す