しんせいじにゅうじしょうかかんあれるぎー
新生児乳児消化管アレルギー
新生児期、乳児期にミルク、母乳を開始した後、繰り返す嘔吐や血便を引き起こす病気
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最終更新: 2021.03.25
新生児乳児消化管アレルギーの基礎知識
POINT 新生児乳児消化管アレルギーとは
新生児期から乳児期に、牛乳由来のミルクや母乳などを摂取したあとに嘔吐、下血などの消化器症状がみられる病気です。原因としては食物アレルギーの関与が示唆されていますが、はっきりしたメカニズムは分かっていません。診断のため、血液検査、便検査、画像検査、負荷試験、内視鏡検査などを行います。10%は重症化するため、疑った時点で治療を検討します。治療としては治療乳の摂取、重症で口から食べるのが難しい場合には、入院で点滴を行います。気になる方は小児科を受診してください。
新生児乳児消化管アレルギーについて
- 新生児期から乳児期にかけて、牛乳由来のミルクや母乳などを摂取したあとに消化器症状がみられる疾患
- 食物アレルギーの一種であると考えられている
発疹 や喘鳴 がみられるタイプとは発症 機序が異なると考えられている (IgE抗体 は陰性であることが多く、細胞性免疫 が関与しているのではないかとされる)- 半数は生後1-7日に発症するが、生後数か月で発症することもある
- 原因となる食事のほとんどが牛乳由来のミルク、次いで母乳である
- 米、大豆、小麦に対しても同様の症状が出現することもあるが、複数の食物に反応することはまれ
- 原因やメカニズムは正確には分かっていない
- 母親の胎内で
感作 されると考えられている - ただし妊娠中に母親が牛乳製品を制限しても、発症を防げるわけではない
- 母親の胎内で
- 発症率は0.2%で、そのうち10%が重症になるという報告がある
- ほとんどは2歳までに治る
新生児乳児消化管アレルギーの症状
- 哺乳開始後に下記の症状が出現する
血便 - 嘔吐
- 哺乳不良
- 体重増加不良
- 機嫌不良
腹部膨満 - 発熱
- 軽度の血便のみがみられる例から
ショック に至る例まで、症状の程度には幅がある - 新生児乳児消化管アレルギーに
特異的 な症状はなく、症状のみからの診断は困難
新生児乳児消化管アレルギーの検査・診断
- 診断を確定するためには負荷試験や
消化管 組織検査が必要だが、いずれも負担が大きい検査である- そのほかの比較的簡便な検査でほかの病気を否定すると同時に、新生児乳児消化管アレルギーを疑った時点で治療を開始する
- 血液検査
- 便粘液
細胞診 - 好酸球が石垣状に見られるのが特徴的
- 寄生虫卵検査
- 画像検査:
超音波検査 (エコー 検査)、X線検査 (レントゲン 検査)、CT 検査- 幽門狭窄症、中軸腸捻転、腸重積などを否定する
- 負荷試験
- 原因と思われる食物を少量(0.5-4mg/kg)から摂取し始め、症状がでるか確認する
- 症状消失後、2週間から5か月経過した時点で行う
- 通常は医療機関で行う
内視鏡 検査
新生児乳児消化管アレルギーの治療法
- 疑った時点で治療を開始する
- 治療の原則は
アレルゲン となっている食物を摂取しないことであるが、アレルゲン除去を必要最小限として成長・発達を促すことも同様に大切 - 重症度によって必要な治療乳を選択する
- 母乳:母乳でも症状が出た場合、母親が乳製品を制限して3日後に母乳を再開する
- 加水分解乳:多くの場合に有効。味は通常のミルクよりも落ちる。ビオチンが含まれていない
-
アミノ酸 乳:ほとんど全ての児で有効。不足している栄養素が多い(ビオチン・セレン・カルニチン・脂質・コリン・ヨウ素) - 重症の場合
- 絶食のうえ、点滴で水分・栄養を補給する
- 状態が落ち着いた後に
アレルギー 用ミルクを少量ずつ開始する
- 症状が中等度以下の場合
- 3種類の治療乳(母乳、加水分解乳、アミノ酸乳)のいずれかに変更する
- 加水分解乳・アミノ酸乳は蛋白質を分解したものであり、アミノ酸乳>加水分解乳>母乳の順でアレルギー反応を起こしにくい
- 一方で加水分解乳・アミノ酸乳は栄養素が不足しており、可能な限り短期間の使用にとどめることが望ましい
- 長期間使用する場合には、不足している栄養素の補充を行う
新生児乳児消化管アレルギーのタグ
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