はっけつびょう
白血病(総論)
骨髄で異常な血液細胞が増殖する病気。「血液細胞のがん」にあたる
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最終更新: 2024.09.09
白血病(総論)の基礎知識
POINT 白血病(総論)とは
白血病は、骨髄にある造血幹細胞から血液細胞(白血球、赤血球、血小板)へと成熟する過程にある細胞が癌化する病気です。白血病はまず、癌化した細胞がもし成熟したら何になっていたか?によって分類されます。成熟したらリンパ球(白血球の一種)になるだろう細胞が癌化したものをリンパ性白血病と呼びます。また、成熟したらリンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になるだろう細胞が癌化した場合を骨髄性白血病と呼びます。さらに、急激に発症した白血病を急性白血病、ゆっくり進むものを慢性白血病と呼びます。これらを組み合わせて、白血病は急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分けられます。症状は白血病の種類によって大きく異なるので、それぞれの疾患ページをご参照ください。一般的には急性白血病は数日から数週単位で症状が進行し、慢性白血病では数ヶ月から数年単位で症状が進行します。診断は採血検査、骨髄検査、画像検査、染色体検査、遺伝子検査などを用いて行います。治療は抗がん剤が中心となります。骨髄移植が行われる場合もあります。白血病が心配な方や治療したい方は血液内科や小児科を受診してください。
白血病(総論)について
- 血液細胞には大きく分けて以下の3種類がある
白血球 :主に病原体や異物と戦う役割リンパ球 は白血球の一種であり、主にウイルス などを攻撃する機能を持つ
赤血球 :主に酸素を輸送する役割血小板 :主に出血を止める役割
- 血液細胞は
骨髄 にある造血幹細胞 が成長して作られる - 白血病は大きく分けて以下の4種類に分けられる
- AMLやALLなどの急性白血病と、CMLやCLLなどの慢性白血病では病気の進み方が大きく異なる
- 大人の白血病のうち、AMLは半数程度、ALLとCMLはそれぞれ2割程度、CLLは数%程度の頻度
- 日本では毎年14,300人ほどが新規に白血病と診断されている
- 男女どちらにも起きる病気だが、男性の方がやや多い傾向がある
- 2018年の
がん 統計では、男性8359人・女性5928人の年間罹患と報告されている
- 2018年の
- ALLは子ども(2-5歳)にも起きることがあり、小児
悪性腫瘍 の中で最多(年間500人が発症 )である
- 男女どちらにも起きる病気だが、男性の方がやや多い傾向がある
- 白血病は遺伝子や
染色体 が傷つくことで発症すると考えられている- 遺伝子や染色体の異常が原因ではあるが、ほとんど全ての白血病は子どもなどの血縁者に遺伝しない
白血病(総論)の症状
- 正常な血液細胞が減少することによる症状(
骨髄 を異常な白血病細胞が占拠して、正常な血液細胞は減少する)白血球 の減少- 病原体への抵抗力が低くなり、感染を起こしやすくなる
赤血球 の減少- 貧血により、めまい、立ちくらみ、
動悸 、息切れ、疲れやすい、など
- 貧血により、めまい、立ちくらみ、
血小板 の減少- 血が止まりにくくなる
- 歯茎からの出血が止まらなかったり、すねなどに赤い点々(
紫斑 )が多発する
- 全身的な症状
- 食欲が出ない
- 発熱
- 体重が不自然に減っていく
- 最初は「かぜをひいたような症状」(だるさ、発熱、頭痛など)のこともあるが、かぜと違って数週間経っても治らず、原因検索目的に採血すると白血病が見つかることがある
- 進行すると、肝臓や
脾臓 が腫れて大きくなったり、骨や関節の痛みが起こる
白血病(総論)の検査・診断
- 血液検査
- 血液細胞の数や、異常な血液細胞の有無を確認する
- 全身の臓器の機能を調べる
- 治療をしていくうえで問題になる
ウイルス 感染の有無を調べる
骨髄 検査- 腰骨や胸の骨から骨髄を採取する
- 骨髄を顕微鏡で確認したり、
染色体 検査や遺伝子検査を行う
- 画像検査
レントゲン (X線 )検査やCT 検査で、合併症 の有無を調べる
- 骨髄検査(遺伝子検査、染色体検査)
- 白血病のタイプによっては、特に出血しやすかったり、特定の薬が効きやすいタイプであったりということがある
予後 の判断や適切な治療法の選択において骨髄を調べることはとても重要である
白血病(総論)の治療法
白血病(総論)に関連する治療薬
副腎皮質ホルモン(ステロイド内服薬・注射剤)
- 抗炎症作用、免疫抑制作用などにより、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、血液疾患などに効果をあらわす薬
- 副腎皮質ホルモンの一つのコルチゾールは抗炎症作用、免疫抑制作用、細胞増殖抑制作用、血管収縮作用などをもつ
- 本剤はコルチゾールを元に造られたステロイド薬
- 本剤は薬剤のもつ作用持続時間によって、(作用の短い順に)短時間作用型、中間型、長時間作用型に分けられる
- 本剤は多くの有益の作用をもつ反面、副作用などに注意が必要となる
- 副作用の軽減目的のため、抗菌薬や胃薬などを併用する場合もある
代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)
- DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
- 細胞増殖に必要なDNAの成分にプリン塩基と呼ばれる物質がある
- 本剤はプリン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でプリン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす
- 本剤は薬剤毎それぞれの作用により抗腫瘍効果をあらわす
レチノイド製剤(APL治療薬)
- 前骨髄球の分化を妨げる遺伝子の抑制機構を崩すことで異常に増殖した前骨髄球を減少させる薬
- がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで正常な細胞を障害し組織を壊す
- 急性骨髄性白血病の一つである急性前骨髄球性白血病(APL)は前骨髄球のがん化でおこり染色体異常でキメラ遺伝子が生じ、これが白血球の分化・成熟を阻害し前骨髄球が異常に増加する
- 本剤はAPLにおけるキメラ遺伝子による白血球の分化抑制機構を崩す作用をあらわす