せいじんてぃーさいぼうせいはっけつびょう/りんぱしゅ
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
乳幼児期に1型ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1) に感染した人が、成人になってから発症する白血病
10人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2018.02.07

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の基礎知識

POINT 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)とは

成人T細胞白血病(ATL)は1型ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1) に感染した人が成人になってから発症する白血病です。HTLV-1は、出産・母乳・輸血・性交渉などで感染することがありますが、主には母乳を介して母親から乳幼児へと感染します。HTLV-1に感染している人の約5%がATLを発症すると言われています。ATLを発症した場合の主な症状は、皮疹・発熱・リンパ節の腫れ・倦怠感・腹痛・下痢などになります。また、免疫力が低下することによって、ニューモシスチス肺炎・カンジダ症・クリプトコックス症・アスペルギルス症・糞線虫症など、免疫力が正常な人ではあまりかからない感染症にかかることがあります。採血検査でHTLV-1感染があることを確認したうえで、血液・皮膚・リンパ節の一部を採取して顕微鏡で調べることによりATLは診断されます。病状の具合によって治療方法が変わるため、主治医とよく相談することが大切です。成人T細胞性白血病が心配な人や治療したい人は、血液内科を受診して下さい。

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)について

  • 幼少期に1型ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1: human T-cell leukemia virus type-1) に感染した人が成人になってから発症する白血病
    • HTLV-1に感染しているが、白血病を発症していない人のことをHTLV-1のキャリアという
    • 日本には100万人以上のHTLV-1キャリアがおり、その多くは九州や沖縄に在住している
    • 近年は人の移動も盛んになったので、東日本でもみられるようになっている
    • HTLV-1キャリアの約5%ほどが、感染から30-50年ほどの経過で成人T細胞白血病ATL: adult T-cell leukemia)を発症する
  • HTLV-1は免疫に関わる重要な細胞であるT細胞に感染する
    • HTLV-1に感染すると、感染された細胞の遺伝子に変化が起こる
    • 遺伝子が変異したT細胞ががん細胞となり、白血病になる
    • T細胞ががん化すると感染症にかかりやすくなる
  • HTLV-1の感染経路は次の4つ
    • 出産時の感染:母から新生児に感染する
    • 母乳による感染
      ・日本では、母乳によって感染する例がほとんどである
    • 輸血や臓器移植、注射
      ・日本では、輸血用血液のスクリーニング検査が導入されてから、輸血感染はなくなった
    • 性交渉
  • 成人になってからHTLV-1に感染した人はほとんど白血病にならない
  • 症状や検査によって病型が分類される
    • 急性型
    • リンパ腫型
    • 慢性型
    • くすぶり型

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の症状

  • リンパ節の腫れ
  • 腫大(肝臓が腫れる)や脾腫大(脾臓が腫れる)
  • 皮膚の症状
    • 皮膚紅斑(皮膚の赤い発疹
    • 皮下腫瘤(皮膚にこぶができる)
  • 高カルシウム血症
    • 血液中のカルシウムが過多になることで以下のような症状が起こる
      ・全身のだるさ
      便秘
      意識障害
  • 免疫力が低下する
    • 感染症にかかりやすくなる
    • 免疫が正常ならばかからないような感染症(日和見感染)が起こる

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の検査・診断

  • 問診
    • 家族歴(家族にHTLV-1キャリアの有無)、症状(意識障害日和見感染、肝腫大リンパ節腫脹など)を聴取する
  • 血液検査
    • 顕微鏡で異常なリンパ球を確認する
    • HTLV-1の感染があることを確認する
    • 全身の臓器の機能や、ミネラルのバランスなどを確認する
  • 病理検査
    • 顕微鏡で白血病細胞の有無を確認する
  • 腰椎穿刺
    • 脳や脊髄の周囲を流れる髄液を採取して、脳へ白血病細胞が浸潤していないか調べる
  • 骨髄検査
    • 腰骨や胸の骨を刺して骨髄を採取する
    • 白血病細胞が骨髄にもないかどうか調べる

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の治療法

  • 病型によって治療法が異なる
    • くすぶり型、予後不良因子のない慢性型:治療はせずに経過観察するのが一般的
      ・経過観察により、くすぶり型で5-10年ほど、慢性型で3年ほどの生存が期待できる
    • 慢性型:以下の予後不良因子がどれかひとつでもあれば強力な化学療法を行う
      ・血中尿素窒素 (BUN) の上昇
      LDHの上昇
      ・低アルブミン値
    • 急性型・リンパ腫型:強力な化学療法
  • 強力な化学療法を必要とするような場合は、予後が1年弱と報告されている
    • 65歳以下で元気な方の場合には、ドナーがいれば骨髄移植を行う
    • 骨髄移植により長期生存できるケースもある
  • 日本においては母乳からの感染を予防することが重要
  • ATLの患者さんはタイプによらず感染症合併のリスクが高いので、感染対策には特に注意を要する

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)に関連する治療薬

分子標的薬(モガムリズマブ〔ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体〕)

  • 腫瘍細胞の表面に発現しているCCR4に結合し腫瘍細胞を障害する薬
    • 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)ではリンパ球T細胞のがん化がおこる
    • 多くのATLでは白血球遊走の因子となるケモカインの受容体であるCCR4というものが強く発現している
    • 本剤は腫瘍細胞の表面で強く発現しているCCR4に結合することで腫瘍細胞を障害する作用をあらわす
  • 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(モガムリズマブ〔ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく

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