ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)
腫瘍細胞の腫瘍化亢進に関わるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の異常な活性化を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)の解説
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)の効果と作用機序
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)の薬理作用
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)への感染により引き起こされる血液がんで、HTLV-1に感染した人の一部で発症する。
がんの中でも特に白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍(血液がん)の腫瘍細胞ではヒストン脱アセチル化酵素(HDAC:Histone Deacetylase)という酵素の異常な活性化がみられ、この酵素の異常な活性化により腫瘍化が亢進するとされ、ATLの病態にも深く関わるとされる。
本剤はHDAC(主にHDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC10)の酵素活性を阻害する作用により、ヒストンなどのアセチル化を増加させ、クロマチン構造(DNAとヒストンなどのタンパク質を含む構造)の弛緩などを介して、がん抑制遺伝子を含む遺伝子発現を調節し、細胞周期の停止やアポトーシス(自滅)が誘導されることで抗腫瘍効果をあらわすとされる。
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)の主な副作用や注意点
骨髄 抑制血小板 減少、好中球 減少、白血球 減少、貧血などがあらわれる場合がある- 手足に点状出血、あおあざができやすい、出血しやすい、突然の高熱、さむけ、喉の痛みなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- 消化器症状
- 下痢、吐き気、腹痛、口内炎などがあらわれる場合がある
- 循環器症状
動悸 、QT間隔延長、血圧変動などがあらわれる場合がある
- 間質性肺炎
- 空咳が出る、階段を登ったり少しはやく歩いたりすると息が苦しくなる、発熱するなどの症状がみられ、特にこれらの症状が薬剤の投与後に急に出現したり続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
感染症 - 肺炎(ニューモシスチス肺炎など)、尿路感染症などがあらわれる場合がある
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(ツシジノスタット)の一般的な商品とその特徴
ハイヤスタ
- ツシジノスタット製剤
- 通常、個々の状態に適した投与量を1日1回、週2回、3又は4日間隔で、食後に服用する