だいちょうがん
大腸がん
大腸の粘膜にできるがん。国内のがん患者数がもっと多く、死亡者数も女性において原因の1位
20人の医師がチェック 305回の改訂 最終更新: 2024.01.10

大腸がんで転移・再発が起きたらどんな治療法がある?手術はできるのか?抗がん剤は使えるのか?

大腸がんが肝臓に転移したとき、手術で余命を長くする効果が期待できます。ほかの治療法には抗がん剤による全身化学療法や肝動注化学療法、ラジオ波焼灼療法があります。大腸がんの転移・再発に対する治療法の例を説明します。

1. がんが転移・再発した場合の治療法とは?

大腸がんの治療後にもし再発・転移してしまった場合はどのような治療を受けることになるのでしょうか。

大腸でがんが再発した場合も、大腸がんを発症した時と同様に治療方法が選択されます。つまり、再発した場所やその状況を鑑みて手術が可能な場合は手術を行います。手術が難しい場合は、放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)を行うことになります。

大腸がんの手術、化学療法などの治療法については以下のページをご覧ください。

大腸がんの治療

大腸がんの手術法

大腸がんの抗がん剤治療

がんの種類によって転移しやすい部位は異なりますが、大腸がんが転移しやすい部位はどこでしょうか。

大腸がんが転移しやすい臓器は、肝臓と肺です。もちろん、他の臓器に転移しないというわけではありませんが、転移の多くは肝臓と肺になります。

2. 肝臓に転移したときの治療法とは?

肝臓に転移した場合、約40%に手術が行われています。大腸がん以外のがんでは、離れた場所の臓器に転移があると手術はできないと判断されることが多いのですが、大腸がんは元のがんと肝臓に転移したがんの両方を取り除くことで余命を長くすることができます。

手術ができない状況であった場合は、化学療法が有力な選択肢になります。手術のできない主な理由は以下です。

  • 体力が落ちていて手術に耐えられない
  • 転移したがんが大きい
  • がんの転移が多数である
  • 手術をすると臓器の機能が損なわれて生活の重大な妨げになる

化学療法としては、以下のような種類があります。

  • 全身化学療法:飲み薬や点滴として抗がん剤を使う
  • 肝動注化学療法:肝臓の動脈に抗がん剤を注入する

化学療法を行った結果、がんが小さくなって手術が行えるようになることもあります。

がんの大きさが小さい場合や肝臓への転移個数が少ない場合は、ラジオ波焼灼療法(がんの中に電極の針を刺してラジオ波を流し、針の周辺のがん細胞を破壊する方法)を行うこともあります。

3. 肺に転移したときの治療法とは?

大腸がんの約2.4%では肺転移があると言われています。肝臓への転移と同様に、手術が行えるか検討し、もし難しいようであれば全身化学療法が選択されることがほとんどです。場合によっては、放射線療法を行うこともあります。

4. その他の臓器に転移したときの治療法とは?

腹膜播種

腹膜播種(ふくまくはしゅ)とは、大腸など腹部の臓器の外側を覆っている腹膜にがんが転移し広がっていくことです。腹膜播種はがんがあちこちに散らばっている状態のため、手術で完全に取り除くことは難しく、化学療法による治療が主となります。

腹膜播種のイメージ

骨転移

骨にがんが転移すると骨が破壊され、痛みや骨折などの原因にもなります。治療法としては、化学療法を行いながら痛みを和らげるための薬の服用や放射線療法を行うこともあります。

脳転移

脳への転移では、化学療法は効果がないため放射線治療が主となります。放射線治療の中には、がんがある一点を狙って集中して放射線を浴びせる、ガンマナイフと呼ばれる方法があります。この効果は比較的高く症状の改善が認められるケースも多いと言われています。

これ以外にも離れた場所のリンパ節に転移(遠隔リンパ節転移)が起こることもあります。

大腸がんはその進行度によって転移する確率は変わります。進行した状態で見つかったがんほど、再発や転移も多く、治療後に定期的な検査を続けることが重要になります。