[医師監修・作成]大腸がんの末期はどんな状態? 症状、治療、食事内容などについて | MEDLEY(メドレー)
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大腸の粘膜にできるがん。国内のがん患者数がもっと多く、死亡者数も女性において原因の1位
20人の医師がチェック 291回の改訂 最終更新: 2022.10.19

大腸がんの末期はどんな状態? 症状、治療、食事内容などについて

大腸がんの末期とはどんな状態でしょうか?実はがんの末期には明確な定義はありません。末期がんとは医学的な言葉ではないので、医学書を見ても載っていないのです。

1. 大腸がんの末期とは?

ステージ4のがんだからといって決してがんの末期とは限りません。ステージ4のがんを抱えていても自分らしく生活している人であれば、決して末期がん患者とはいえません。末期がんとはどういった状態のものを指すのでしょうか?

がんの末期を明確に定義するものはありませんが、治療が難しく以前の日常生活を送ることができないほど身体状態の悪化した場合を末期がんと考えるのが通常です。これには身体の状態とがんの進行度の両方が関係していると考えてください。つまり、がんが進行していても身体が元気であれば決して末期がんではないということです。また、現状は身体衰弱しているが治療によって回復が見込める場合も、末期に当てはまらないと考えられます。

2. 末期の大腸がんは完治できる?

上で述べた通り末期のがんは、がんによって治療が難しく以前の日常生活を送ることができないほど身体状態の悪化したことを指しますので、末期の大腸がんは完治できないと言わざるをえません。「もう完治は難しい」という状態が最後に訪れることは事実です。

しかし、よくあるのが、あまりに状態が悪いから末期がんだと思っていたけれど実は末期ではなかったので手術で完治できたというパターンです。ステージⅣでも、元気がなくなっていても、治療すれば元気になれる場合はあるのです。

がんの状態は日ごとに変化していきます。体調の変化を見ていきましょう。がんの治療は多種ありますが、その場面場面に適したものを選ぶことが大切です。治療に関しては、下の大腸がん末期の治療で詳しく説明します。

3. 大腸がん末期の症状は?

がんが末期になると積極的な治療は難しく、以前のような日常生活が送れなくなってしまいます。初期の大腸がんであれば、症状はぜんぜんないか、下痢や便秘程度の症状しか出ないことがほとんどです。しかし、末期になると症状が変わってきます。

以下が大腸がんの末期に出やすい症状になります。

  • 何をしてもひどいだるさ(倦怠感)が感じられる
  • 気持ち悪かったりすぐに吐いてしまったりするため食べることができない
  • 何を食べても体重がどんどん減っていく
  • ずっと下痢や血便が出る
  • 身体がひどくむくんでくる
  • 意識がもうろうとする

これらの症状が出たからといって必ずしも末期とは限りませんが、これらの症状が出たときは治療の効果が落ちていないか注意が必要になります。

症状で大腸がんが末期か分かるのか?

大腸がんが末期になると上で述べたような症状が出てきやすくなります。また、これらの症状は一時的に出るのでなく持続することが末期の大腸がんの特徴です。特に明らかな原因もなく、こういった症状が続く場合は大腸がんが進行している可能性があります。

こういった症状が出てきた場合は身体のバランスが乱れ始めていますので、身体のバランスを調えて症状を和らげる治療を受けることが効果的になってきます。

大腸がん末期の症状が出たらどういった準備をするべきなのか?

がんが末期の状態になると、残念ながら積極的な治療は難しくなります。さらに、末期になれば徐々に症状が強くなっていきます。そこで、がんを排除するための治療ができなくても、症状を和らげる治療(緩和治療)の出番が多くなります。

がんの症状が強くなると、患者さんもその家族もこれからどうなっていくのかと不安が強くなってくることでしょう。実はこの不安は非常に重要な問題となります。人間は不安が強いと苦痛を感じやすくなりますので、末期の状態では直接苦痛を取るだけでなく不安も取るように配慮する必要があります。

それでは実際にどんなことに気をつければ良いのでしょうか?

不安の感じ方は人それぞれであるように、不安を取る方法も人それぞれですので一概には言えませんが、いつもと同じように生活することが最も望ましいです。いつもと同じ、不安の少ない生活を送るために、患者本人と周囲の人と医療者が協力しあって、過ごしやすい時間を作ることが大切です。

それでも不安が大きい場合も多いです。どうしても不安が強いときには、不安を取るような薬を使うことも大切になります。

薬が必要なほど不安が強い状況になると簡単にはバランスを保てません。その場面で重要となってくるのが医師や看護師で形成された緩和医療チームです。治療が難しくなってきたときこそ緩和医療チームをうまく利用して、症状のある中でも自分らしく過ごす時間を確保してください。

4. 大腸がん末期の治療は?

大腸がんの末期は積極的な治療を行ってもがんを根治することはできません。しかし、大腸がんが末期になると色々な苦痛が出てきますので、苦痛を緩和する治療が必要になってきます。

一般的な緩和医療は、呼吸困難感や痛みを和らげる治療を行います。これに関しては下の「緩和ケアとは?」の章をご覧ください。

また、大腸がんでは腫瘍が大きくなって腸閉塞を起こして食事がとれなくなることがあります。この場合は、栄養状態が悪化し、がん末期の状態がさらに悪化する懸念が出てきます。そのため、根治できない状態でも腸閉塞を治す目的で手術を行って、食事を取れるようにすることがあります。これを姑息的手術と言い、手術によって食事が取れるようになる可能性が高い場合に行います。

5. 緩和ケアとは?

緩和(かんわ)ケアは、がんの初期であろうが末期であろうが症状が強い場合に必要になります。しかし、「緩和ケアを行いましょう」という言葉を聞くと、もうがんは治らないのだと落胆してしまう人も多いです。緩和ケアは死にゆく者を楽にする治療なのでしょうか?

以前はある一定の時期がきたらがん病変の治療から緩和ケアへ移行するという考え方でしたが、現在では最初から緩和ケアをがんの積極的治療と並行していくことが良いとされています。特に痛みなどの苦痛が現れている場合は、がんのステージにかかわらず緩和ケアを行います。

緩和ケアの考え方

緩和ケアの考え方と治療内容を説明します。

緩和ケアは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、人生観的な問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族の生活の質(Quality of Life)を改善する取り組みである」とWHO(世界保健機関)は定義しています。つまり、身体的な苦痛以外も全人的に緩和することが目標になります。

そのためには、人間関係や治療を受けるうえでの問題などの調整を行うことが必須になります。患者さんやその周囲の人へのサポートを行うことで、継続的な緩和ケアを実現することが目標になります。

苦痛を取るために薬を使いすぎない

緩和ケアでは、苦痛があれば薬などを使って和らげることが多いです。しかし、薬を使いすぎると苦痛が出にくくなる代わりに副作用に悩まされるようになります。そのため、苦痛を抑えられる最小量の鎮痛薬を使うようにするのがコツです。それでも苦痛が強くなる場合がありますが、その際には頓服薬(苦痛のあるときに飲む追加の薬)を使います。

また不安が強いときには不安を和らげる薬(抗不安薬)を用いることも有効です。人間は不安が強いと苦痛を感じやすくなりますので、必要に応じて抗不安薬を飲むことは自分らしく生きるために重要です。

緩和ケアの考え方や具体的な方法についてもっと詳しく知りたい方には、緩和医療に関して知っておくと役に立つ情報をまとめたページがありますのでぜひ参考にしてください。

6. 大腸がんによる腸閉塞とは?

大腸がんの進行度の指標としてステージがあります。大腸がんのステージが進むと腸閉塞になりやすくなるのでしょうか。

大腸がんが原因となって腸閉塞を起こす場合は、腫瘍が大きくなって腸管を満たしてしまった場合が多いです。腫瘍が大きくなるということはステージも進んでいるのではないかと不安に思えるかもしれません。しかし、大腸がんの大きさ自体はステージを決める要素ではありません。比較的早いステージで腸閉塞が起こる場合もあり、腸閉塞があっても治療後長期生存が見込める場合もあります。

大腸がんで腸閉塞になったら末期なのか?

大腸がんが原因で腸閉塞が起こっても末期がんとは限りません。腸閉塞はステージを分類する基準にも採用されていません。つまり、がんの進行度と腸閉塞はあまり対応しません。

加えて押さえておかなければならないポイントは、ステージ4のがんだとしても決してがんの末期とは限らないということです。がんが進行していても身体の状況が元気であれば決して末期がんではありません。

大腸がんが原因で腸閉塞になった場合は、大腸がんが非常に大きくなっていたり腹膜播種が起こっていたりします。しかし、必ずしも末期がんというわけではありません。腸閉塞になっても治療後に回復可能なことも多いですので、その場合は末期とは言い難いです。

7. 大腸がん末期に食事はどうする?

大腸がんが末期になると食欲も落ちて吐き気も強いため食事がとれなくなることが多いです。その一方で、口から食事を摂ることは身体のバランスを保つうえで非常に重要になります。口から食事を摂ることで、腸の動きは良くなりますし、消化酵素の分泌が促進されます。口から食事をとれなくなると、腸管の動きは落ちてしまい、消化酵素の分泌も悪くなります。すると、どうしても身体の状態はさらに悪化してしまいますし、腸閉塞やbacterial translocation(腸から細菌が血液内などに侵入して感染が起こること)などの大きな問題が起こってしまうことがあります。そのため、大腸がんの末期になっても口から食事を摂ることは重要になります。

もちろん食事をとれなくなっても、点滴を用いることで栄養や水分を体内に摂取することはできます。しかし、どうしても腸管や消化酵素の働きは落ちてしまいますので、口から栄養を摂ることには勝りません。

それではどういったものを食べれば良いのかを考えてみましょう。

大腸がん末期の人が摂取するべきもの

大腸がんが末期に至ったら一概にこの食べ物をとりましょうとは言えません。しかし、消化機能が落ちてしまっているので以下のものは避けたほうが良いでしょう。

  • 脂肪分の多いもの
  • 繊維質の強いもの
  • 香辛料の強いもの
  • 一度に大量の食事

これらを避ける必要はありますが、あとは特に食べるべきものも食べてはいけないものもありません。自分の好きなものを食べることが最も良いと思われます。中でも香りの良いものは食欲を向上させたり、食べたあとに爽快感が残ったりするのでおすすめです。