はいえん
肺炎
細菌やウイルスの感染、薬剤、アレルギーなどが原因となって、肺の炎症により息切れなどを起こす病気
17人の医師がチェック 208回の改訂 最終更新: 2025.06.03

肺炎がなかなか治らない。肺がん、肺気腫、間質性肺炎が隠れている?

 

通常の肺炎であれば治療してから7日くらいで治りますし、長いものでも2週間ほど経てば治ることがほとんどです。

しかし、肺炎にかかってからなかなか治らないこともあります。肺炎がなかなか治らない人は、以下の場合を考えなければなりません。

 

  • インフルエンザウイルス感染の後に肺炎が起こっている
  • 肺の中にが溜まっている
  • 肺に元々持病のある人が肺炎になった

 

このページでは肺に元々病気のあった人が肺炎になったパターンについて説明していきます。

 

1. 肺がんのある人が肺炎になった

 

肺がんのある人が肺炎になるとなかなか治らないことがあります。

どうしてなかなか治らないのでしょうか?

その原因に関して考えてきましょう。

 

肺がんの存在によってうまく痰や菌が体外に出てくれない

肺がんは、空気の通り道(気管と気管支)を変形させたり、塞いだりします。すると、肺炎が起こったときにうまく痰や細菌が肺の外に出てくれなくなります。

肺炎があるときに痰や細菌が肺の外に出て行くということは、肺炎の治療効果を上げるために非常に重要になります。しかし、肺がんの影響で痰や細菌が体外に出ていきにくくなっている場合は、肺炎の治療効果が落ちてしまいます。

そのため特に腫瘍の大きさが大きくなった肺がんでは、肺炎の治りが悪くなってしまうことがあります。

 

肺がんの治療によって免疫力が落ちている

肺がんのある人は、肺がんの治療を行っていることが多いです。その中でも化学療法抗がん剤)を行っている人は、大なり小なり免疫力が落ちています。

免疫力は落ちている人が感染症になると、重症になったりなかなか治らなかったりします。

 

肺がんのある人は、肺炎になったら必ず肺がんのあることをお医者さんに伝えて下さい。

また、なかなか肺炎が治らないので検査をしてみたら、偶然に肺がんが見つかったということもあるので、肺炎をこじらせた場合も医療機関で検査するようにして下さい。

 

2. 肺気腫(COPD)のある人が肺炎になった

 

肺気腫は、空気の通り道(気管と気管支)が狭くなったり、肺の弾力性が失われることで空気をうまく吸ったり吐いたりできなくなる病気です。病気の初期では特に症状を感じませんが、段々と動くと苦しくなっていき、病状が進行すると動いていない時でも息苦しさを感じるようになります。

肺の弾力性がなくなると、息を吸ったり吐いたりするときの勢いも失われていきます。

こうした持病がある人が肺炎になってしまったらどうなるでしょうか?

 

肺気腫によってうまく肺の外に痰や細菌を出すことができない

肺炎になってしまった場合、痰や細菌を肺の外に排出することは非常に重要です。しかし、肺気腫によって、空気の通り道が狭くなり肺の吐き出す力も低下しまっている状況では、肺炎の治療効果は上がりません。

そのため、きちんと空気の通り道を拡げる吸い薬や貼り薬を使って、肺のコンディションを良くするようにする治療を行います。

 

ただでさえ肺気腫で苦しいのに、肺炎が重なって非常に息が苦しくなる

肺気腫は進行すると非常に苦しい病気です。その状態に肺炎になると、息苦しさが強くて動けなくなります。場合によっては酸素を多めに投与する必要が出てくるため、入院することになります。

肺気腫がまだ初期であるために日頃は息苦しさがない人も、肺炎になると今まで感じていなかった息苦しさを感じるようになります。

 

肺炎を繰り返すと肺気腫も悪化する

実は肺気腫のある人が肺炎になると、重症になったり治りにくくなったりするばかりでなく、肺気腫の病状も悪化すると言われています。そのため、肺気腫になっている人は肺炎にならないための予防が必要になります。

予防として重要なのは以下のとおりです。

 

  • 手洗い・うがいを徹底する
  • 肺炎球菌ワクチンを打つ(5年毎)
  • インフルエンザワクチンを打つ(毎年)
  • 日々肺気腫COPD)の治療を怠らない
  • 禁煙する

 

肺気腫は状態が落ち着いていると、症状がなくなるため治った気になってしまう病気です。ともすると治療するべきことを忘れてしまいがちです。しかし、肺炎になったときは、状態が一気に悪化します。そのため、日々の吸い薬(吸入薬)は欠かさないように努めて下さい。

近年、肺炎を繰り返す場合は、肺気腫の治療薬として吸入ステロイド薬も使うことで肺炎になる回数を減らせるかもしれないというデータも有ります。1年の間に数回以上肺炎を繰り返す人は吸入薬をかかりつけのお医者さんに相談しても良いかもしれません。

 

3. 間質性肺炎のある人が肺炎になった

 

間質性肺炎とは、肺を支える柱となっている組織(間質)が何らかの影響で炎症の影響を受けることで固くなる病気です。この病気になると、肺は硬くなってうまく拡がったり縮んだりできなくなります。つまり、肺活量が落ちることで肺に余力がなくなります。

肺の状態に余力がない肺気腫では肺炎になると、重症になったりなかなか治らなくなったりします。

 

間質性肺炎によってうまく痰や細菌を肺の外に出せない

肺気腫とは病気が違いますが、間質性肺炎でも空気を吸ったり吐いたりがうまくできなくなるため、肺炎になったときに痰や細菌をうまく肺の外に出せません。

そのため、肺炎がなかなか治らないことがあります。

 

間質性肺炎によって息苦しい状態が肺炎によってさらに悪化する

間質性肺炎は病気になった最初はあまり息苦しさを感じないですが、病状が進行すると段々と息苦しさを自覚します。

日頃から息苦しさを感じている人が肺炎になると非常に強い息苦しさが襲ってきます。多めの酸素が必要になるくらい苦しくなることも多く、入院して治療することになります。また、日頃は苦しくない人も、肺が健康であるわけではないので、肺炎をきっかけに息苦しさを自覚しやすいです。

 

間質性肺炎のある人は、肺炎にならないように予防することが重要です。

肺気腫と同じように以下のことを気をつけて下さい。

 

  • 手洗い・うがいを徹底する
  • 肺炎球菌ワクチンを打つ(5年毎)
  • インフルエンザワクチンを打つ(毎年)
  • 禁煙する

 

肺気腫と違って間質性肺炎はあまり有効な治療法がないので、間質性肺炎の状態をコントロールするよりも、とにかく肺炎にならないように気をつけることが重要になります。