2018.09.27 | コラム

尿が赤いときには身体で何が起こっているのか:血尿の原因やミオグロビン尿などについて

血尿以外の症状がなくても受診をお勧めします
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(c)ben-bryant-iStock.com

いつもは黄色い尿が赤い。こんな時はきっと驚かれると思います。尿が赤いときには身体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。本コラムでは、尿が赤くなる原因について症状の有り無しなどに注目して説明します。

1. よく見たら尿が赤い!

排尿後の便器が赤く染まっていたらびっくりすると思います。尿の赤みの原因はほとんどの場合、血液が混ざっていることによるものです。医学用語では見た目で血尿だと分かるものを「肉眼的血尿」と呼びます。肉眼的血尿が見られるときには身体の中でどんなことが起こっているのでしょうか。
(なお、血液が尿に混じっているものの微量で赤く見えないタイプの血尿は「顕微鏡的血尿」と呼ばれます。顕微鏡的血尿については「健康診断で血尿がでていると言われたらどうすればいいのか」を参考にしてください。)

 

2. 肉眼的血尿では症状の有無に注目して原因が調べられる

お医者さんは肉眼的血尿の人を診察するとき「排尿時の痛みや違和感」と「背中・腰の痛み」といった血尿以外の症状の有無に注目して原因を考えます。症状のある場合とない場合に分けて、原因について説明します。

 

血尿以外の症状がある場合(症候性肉眼的血尿)

血尿以外の症状があることを医学用語では「症候性肉眼的血尿」と言います。血尿に伴う症状はいろいろありますが、特に注目されるのは下記の2つです。

 

■排尿時の痛みや違和感

血尿に排尿時の痛みや違和感を伴う場合には感染症がまず考えられます。男性と女性で原因となりやすい感染症が異なり、男性では前立腺炎尿道炎が疑われ、女性では膀胱炎が疑われます。感染症以外では、膀胱や尿道に結石がある可能性も考えられます。

 

■背中や腰の痛み

血尿とともに背中や腰の痛みがある場合、腎臓や尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)の結石が血尿の原因としてまず考えられます。腎臓や尿管の中に結石ができると臓器とこすれて出血し、尿に血が混じったり背中や腰が痛くなったりします。

 

その他にも、例えば前立腺炎では発熱、膀胱炎では頻尿(トイレが近い)など、血尿の原因となる病気によってさまざまな症状が現れることがあります。血尿とは関係ないと自己判断せずに、身体の不調や変化は貴重な情報なので遠慮なくお医者さんに伝えてください。

 

血尿以外の症状がない場合(無症候性肉眼的血尿)

血尿以外の症状がある「症候性肉眼的血尿」に対して、血尿以外に症状がないものは「無症候性肉眼的血尿」といいます。無症候性肉眼的血尿は、がんや腎臓の病気が隠れていることがあるので注意が必要です。

無症候性肉眼的血尿の主な原因は次のものです。

 

がんには出血しやすいという特徴があります。そのため、尿路(尿の通り道)にがんができると血尿がでることがあります。尿路のがんとは腎がん腎盂がん尿管がん膀胱がんなどです。

また、糸球体腎炎(腎臓の糸球体炎症が起こる病気)でも血尿が見られます。放置しておくと腎臓の機能が低下することもあるので、すみやかに診断し治療する必要があります。

痛みや不快感などの症状がないことを理由に様子を見るのではなく、きちんと検査を受けて原因を調べておくことが大切です。

 

3. 血尿のように見えて本当は違う場合がある

ここまで説明してきたように、尿が赤く見える原因のほとんどは尿路からの出血によるものです。しかし、以下のように他にも尿が赤くなる原因があります。

 

  • ミオグロビン尿
  • ヘモグロビン尿
  • 脱水時の尿
  • 生理の血が混ざった尿

 

それぞれについて説明します。

 

ミオグロビン尿

ミオグロビンは筋肉に含まれている赤い色をした物質です。何らかの原因で筋肉がたくさん壊れると、尿中にミオグロビンが大量に排泄されて尿が赤く色づきます。激しい運動でも筋肉が傷ついてミオグロビン尿が出ることがあります。

 

ヘモグロビン尿

ヘモグロビンは血液中の赤血球に含まれる赤い色をした物質で酸素を運搬する役割があります。赤血球が古くなって壊れるとヘモグロビンは肝臓に運ばれて処理され、別の物質に分解されてから尿とともに身体の外に出ていきます。

ところが、溶血性貧血などの病気によって赤血球が壊れる量が多くなると、肝臓でのヘモグロビンの処理が追いつかなくなります。ヘモグロビンが未処理のまま尿にでていってしまうと尿が赤く色づきます。

 

脱水時の尿

脱水は身体の中の水分が不足した状態です。脱水になると、身体は尿の量を少なくして水分を逃さないようにします。尿の水分が減って濃くなると、尿の色も濃く褐色に見えるので、血尿と見間違えられることがあります。

 

生理の血が混ざった尿

女性の場合、生理(月経)のときの出血が尿に混じって赤く見えることがあります。尿に血が混ざっていることには違いはありませんが、性器からの出血なので尿路(尿の通り道)からの出血を原因とする血尿とは分けて考えられます。

 

4. 「尿が赤い」は病気のサイン、すみやかに受診することが大切

ここまで尿が赤い場合に考えられることについて説明しました。この記事のポイントをまとめます。

 

  • 赤い尿の原因の多くは血液が混じった血尿(肉眼的血尿)である
  • 排尿痛や背中・腰の痛みなどの症状を伴う血尿(症候性肉眼的血尿)の原因として感染症(膀胱炎前立腺炎尿道炎など)や結石などが考えられる
  • 特に症状がない血尿(無症候性肉眼的血尿)の原因としてはがんや糸球体腎炎などが考えられる
  • 血尿以外の赤い尿の原因としてミオグロビン尿やヘモグロビン尿などがある

 

尿が赤い場合には怖い病気が原因となっていることがあるので、なるべく早く調べることが重要です。もちろん治療を必要としない場合もありますが、医療機関で詳しく調べなければその判断はできません

「尿が赤い」ときには医療機関を受診するようにしてください。

執筆者

斎木 寛

参考文献

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014

・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。