2016.04.01 | ニュース

尿管結石の痛みを抑える薬、どれが効く?

3種類の薬の比較

from Lancet (London, England)

尿管結石の痛みを抑える薬、どれが効く?の写真

尿管結石の症状に激しい痛みがあります。詰まった結石は自然に排出されることも多いですが、それまでの間にしばしば痛みを抑える治療が必要になります。薬の種類ごとに効果を比べる研究が行われました。

◆ジクロフェナク、モルヒネ、アセトアミノフェンを比較

中等度以上の腎疝痛(尿管結石などによる痛み)の症状があった1,644人が対象となりました。対象者はランダムに3グループに分けられ、グループごとに次の3種類の薬のうち1種類を使って治療されました。

  • ジクロフェナク(NSAIDsに分類される鎮痛薬)の筋肉注射
  • モルヒネの静脈注射
  • アセトアミノフェンの静脈注射

治療ごとに、治療開始時と比べて30分後に、痛みの評価が半分以下になったかどうかで効果を判定しました。

 

◆ジクロフェナク筋注が有効

次の結果が得られました。

モルヒネに比べて、ジクロフェナクは一次アウトカムを達成するためにより有効だった(オッズ比1.35、95%信頼区間1.05-1.73、P=0.0187)。対して、モルヒネとアセトアミノフェン静脈注射の有効性の比較では差は検出されなかった(1.26、0.99-1.62、P=0.0629)。

モルヒネとアセトアミノフェンの効果には差が見られませんでしたが、モルヒネに比べて、ジクロフェナクのほうが多くの人に効果が見られました

副作用については次の結果でした。

急性の有害事象はモルヒネ群では19人(3%)の参加者に起こった。モルヒネ群に比べて、有害事象の数はジクロフェナク群(7人の参加者、1%、オッズ比0.31、95%信頼区間0.12-0.78、P=0.0088)およびアセトアミノフェン群(7人、1%、0.36、0.15-0.87、P=0.0175)のほうが有意に少なく記録された。2週間のフォローアップ中にさらに加わった有害事象はどの群にもなかった。

モルヒネのグループでは3%に、副作用の可能性がある症状などが短期的に見られました。ジクロフェナク、アセトアミノフェンではどちらも1%で、モルヒネよりも少なくなりました。

これらの結果から、研究班は「NSAIDsの筋肉内注射が、救急部で腎疝痛に対して最も効果的に持続する鎮痛作用をもたらし、副作用は比較的少ないようだ」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Delivering safe and effective analgesia for management of renal colic in the emergency department: a double-blind, multigroup, randomised controlled trial.

Lancet. 2016 Mar 15. [Epub ahead of print]

[PMID: 26993881]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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