2015.08.27 | ニュース

尿管結石を排出する薬は本当に効くのか?タムスロシンとニフェジピンを検討

イギリス1,167人のランダム化試験

from Health technology assessment (Winchester, England)

尿管結石を排出する薬は本当に効くのか?タムスロシンとニフェジピンを検討の写真

小さい尿管結石は自然に排出されることが多く、薬で排出を促す方法も研究されています。2種類の薬について、排出を促す効果を調べる研究が行われました。

◆CTで確認された結石

この研究では、CTで大きさ10mm以下の尿管結石が見つかった人が対象となりました。対象者は

  • タムスロシンを飲むグループ
  • ニフェジピンを飲むグループ
  • 偽薬を飲むグループ

にランダムに分けられ、最大4週間の治療によって結石が排出されるかを評価されました。

 

◆偽薬と差がない

次の結果が得られました。

自発的に排石した患者の割合は、薬物排石療法と偽薬で(オッズ比1.04、95%信頼区間0.77-1.43、絶対差0.8%、95%信頼区間-4.1%から5.7%)、あるいはタムスロシンとニフェジピンで(オッズ比1.06、95%信頼区間0.74-1.53、絶対差1%、95%信頼区間-4.6%から6.6%)差がなかった。

結石が排出された人の割合は、薬を使うグループと偽薬のグループで差が見られませんでした

この結果をふまえて、研究班は「[...]これらの薬剤を使うことで費用に見合う効果があるとは非常に考えにくい」と述べています。

 

以前にタムスロシンと近い種類の薬で結石を排出させる効果の研究を紹介しましたが、この研究の対象者については効果が見られないという結果でした。対象者の選び方などに偏り(バイアス)があると結果に影響する可能性があり、さまざまな解釈が考えられます。

尿路結石の治療として、ほかに体外衝撃波結石破砕術(衝撃波を与えて結石を砕く方法)などがあるなかで、結石を排出させる薬の位置付けはまだ確かとは言えないのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Use of drug therapy in the management of symptomatic ureteric stones in hospitalised adults: a multicentre, placebo-controlled, randomised controlled trial and cost-effectiveness analysis of a calcium channel blocker (nifedipine) and an alpha-blocker (tamsulosin) (the SUSPEND trial).

Health Technol Assess. 2015 Aug

[PMID: 26244520] http://www.journalslibrary.nihr.ac.uk/__data/assets/pdf_file/0011/149987/FullReport-hta19630.pdf

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る