分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)
がん細胞の増殖に必要な血管内皮増殖因子(VEGF)という物質の働きを阻害することで腫瘍細胞の血管新生などを抑制し抗腫瘍効果をあらわす薬

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)の解説

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)の効果と作用機序

  • がん細胞の増殖に必要なVEGFという物質の働きを阻害し血管新生を抑えることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞の増殖には、がんに栄養を送る血管の新生が必要となり血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が血管内皮の増殖や血管新生に関与する
    • 本剤はVEGFに結合しVEGFの働きを阻害することで腫瘍組織の血管新生を抑制する作用をあらわす
  • 本剤は他の抗がん薬の効果を高める作用もあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)の薬理作用

がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。

がん細胞の増殖に伴い、がんに栄養を送る血管の新生が必要となる。血管内皮の増殖や血管新生に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)というサイトカインがある。

本剤はヒトVEGFと特異的に結合することでVEGFと血管内皮細胞上にあるVEGF受容体との結合を阻害し、腫瘍組織の血管新生を抑制することで抗腫瘍効果をあらわす。また、VEGFにより亢進した血管透過性を低下させ腫瘍組織で亢進した間質圧を低下させることで薬物の移行性が高まり治療効果の向上が期待できることから、本剤には他の抗がん薬の効果を高めるなどの有用性が考えられる。

本剤は特定物質に結合する抗体として免疫細胞から造られたモノクローナル抗体であり、がん細胞の増殖に関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる。

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 食欲減退、吐き気・嘔吐、口内炎、下痢、腹痛などがあらわれる場合がある
  • 心・血管系症状
    • 高血圧、頻脈動悸などがあらわれる場合がある
  • 出血
    • 消化管出血吐血下血)、肺出血(血痰喀血)、粘膜出血(鼻出血、歯肉出血など)などがあらわれる場合がある
  • 創傷治癒遅延
    • 創傷治癒に影響を及ぼすことがあり、術後出血などがあらわれる場合がある
  • インフュージョンリアクション(薬剤投与による免疫反応などによりおこる有害事象)
    • 呼吸困難、意識障害まぶた・唇・舌の腫れ、発熱、寒気、吐き気、咳、めまい、動悸気管支痙攣、紅潮、低血圧発疹や痒みなどの皮膚症状などがあらわれる場合がある
  • 骨髄抑制
    • 好中球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、汎血球減少などがあらわれる場合がある
  • 血栓症血栓塞栓症 など)
    • 手足のまひやしびれ、しゃべりにくい、胸の痛み、呼吸困難、片方の足の急激な痛みや腫れなどがみられた場合は放置せず、速やかに医師や薬剤師に連絡する

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)の一般的な商品とその特徴

アバスチン