2016.02.18 | ニュース

アスベストでできる「中皮腫」の抗がん剤治療、ベバシズマブ併用で効果増

448人の抗がん剤研究

from Lancet (London, England)

アスベストでできる「中皮腫」の抗がん剤治療、ベバシズマブ併用で効果増の写真

抗がん剤を用いた化学療法には、がんの種類や進行具合によって様々な治療法があります。今回の悪性胸膜中皮腫は、アスベストで誘発される治りにくい癌で手術ができない場合が多いです。ベバシズマブを加えた化学療法が評価されました。

◆18歳から75歳の患者448人を対象に

今回の研究では、以前に化学療法を受けていない切除不能悪性胸膜中皮腫で18歳から75歳の患者448人が対象になりました。

シスプラチン、ペメトレキセドを使う標準治療にベバシズマブを併用したときの生存に及ぼす影響を評価しました。

患者をランダムに割り当て、一方はペメトレキセドとシスプラチンにベバシズマブを加える群、もう一方はシスプラチンとペメトレキセドだけを使う群に分けました。21日単位の治療を最大6回繰り返し、評価しました。

 

◆ベバシズマブ併用により生存期間が延長

シスプラチン、ペメトレキセドにベバシズマブを併用した群で半数の人が18.8ヶ月以上生存し、シスプラチンとペメトレキセドだけの群よりも生存期間が延長しました。

副作用の可能性があることについても検討されました。シスプラチン、ペメトレキセドにベバシズマブを併用した群で222人中51人に高血圧が確認されました。シスプラチンとペメトレキセドだけの群では高血圧は確認されませんでした。

また、シスプラチン、ペメトレキセドにベバシズマブを併用した群で222人中13人、シスプラチンとペメトレキセドだけの群で224人中2人で血栓症が確認されました。

「ペメトレキセドとシスプラチンにベバシズマブを併用することで悪性胸膜中皮腫の全生存期間を有意に延長させ、代償としての毒性は予期された管理可能な範囲だった。したがって、病気に適した治療法としてベバシズマブ併用は検討されるべきである」と研究者により評価されました。

 

抗がん剤も日々、新規薬剤が出てきています。今までの標準治療に併用することで治療効果が増したり、生存期間が延長される研究がされています。今後も新たな抗がん剤使用のデータが出ることを期待しています。

執筆者

宮本知明

参考文献

Bevacizumab for newly diagnosed pleural mesothelioma in the Mesothelioma Avastin Cisplatin Pemetrexed Study (MAPS): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.

Lancet. 2015 Dec 21.

[PMID: 26719230]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る