あくせいきょうまくちゅうひしゅ
悪性胸膜中皮腫
肺の外側、肋骨の内側にある胸膜から発生する、がんの一種
8人の医師がチェック 86回の改訂 最終更新: 2017.12.06

悪性胸膜中皮腫の基礎知識

POINT 悪性胸膜中皮腫とは

悪性胸膜中皮腫は胸膜から発生するがんです。胸膜とは肺の外側、肋骨や肋間筋の内側にある膜のことです。アスベストが悪性胸膜中皮腫の主な原因であることが分かっています。主な症状は胸痛・咳・発熱・倦怠感・呼吸困難感になります。 生活の背景や画像検査で悪性胸膜中皮腫が疑われた場合は、腫瘍の細胞を採取して顕微鏡で調べることで診断します。腫瘍の進行度によって治療法は変わりますが、手術が可能であれば手術を行います。また、手術が受けられない場合は化学療法(抗がん剤)を用いて治療します。悪性胸膜中皮腫が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科や呼吸器外科、腫瘍内科などを受診して下さい。

悪性胸膜中皮腫について

  • 肺の外側、肋骨の内側にある胸膜から発生する、がんの一種
    • 石綿(アスベスト)が主な原因
  • 石綿にさらされてから悪性中皮腫の発症までには長い期間(平均40年程度)かかる
    • 基本的にアスベストが原因として考えられるため、補償の対象となることが多い
    • 石綿救済法に則って、環境再生保全機構による補償が受けられることが多いが、労災保険による補償の方が手厚いので、労働局や労働基準監督署への申し出を考慮する。
    • ただし、労災は認定されないこともある。

悪性胸膜中皮腫の症状

  • 主な症状
    • 胸痛
    • 咳(せき)
    • 呼吸困難感
    • 倦怠感
    • 発熱
  • 原因不明の発熱や、体重減少で病院を受診して発覚することもある
  • 大量の胸水による呼吸困難や胸部の圧迫感が起こることもある

悪性胸膜中皮腫の検査・診断

  • 主な検査
    • 胸部レントゲンX線写真)検査
    • 胸部CT検査:胸膜の肥厚や腫瘍の有無、胸水の有無を調べる
  • 胸腔穿刺:胸水がある場合は胸に針を刺して胸水中に腫瘍細胞がいないかを調べる
  • 胸腔鏡検査:胸腔鏡下で胸膜を採取して生検(顕微鏡を用いて様々な方法で詳しく調べること)を行い、確定診断を行う
    • 局所麻酔下あるいは全身麻酔下で行われる
  • 胸腔穿刺や局麻下胸腔鏡検査は針が通った穴などを通じて病変が広がって出てきてしまう可能性があるため注意が必要
  • 腫瘍の広がりや転移を調べるためにPET検査も有効

悪性胸膜中皮腫の治療法

  • 手術療法と放射線療法化学療法とを組み合わせて治療する
    • 比較的早期の場合には手術で取り除くことも可能である
  • 早期で発見することが難しいために、手術が行えない場合も多い
    • 手術が行える場合は、大掛かりな手術を行う
      ・胸膜肺全摘除術とよばれる肺と周囲の胸膜もろとも取ってしまう方法
      ・手術が成功したとしても手術後に肺の機能が低下する後遺症が残ってしまうことが多い
  • 胸水が溜まらないように胸膜癒着療法を行うことが多い
  • 早期で発見することが難しく、進行してしまうと治癒することが非常に難しい
  • 化学療法としては白金製剤(シスプラチン、カルボプラチンなど)、ペメトレキセドが保険適応となっているが、使用できる抗がん剤の種類が少ないのが現状である。
  • 治験段階だが、免疫療法(ニボルマブなど)による治療も研究されている。

悪性胸膜中皮腫に関連する治療薬

代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)

  • DNA合成に必要な葉酸代謝酵素を阻害し細胞増殖を抑えることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要で、それには葉酸が代謝されてできる物質が必要となる
    • 本剤は葉酸を代謝する酵素を阻害することでDNA複製を阻害し抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤の中には複数の葉酸代謝酵素を阻害する作用をもつ薬剤もある
代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)についてもっと詳しく

悪性胸膜中皮腫のタグ

悪性胸膜中皮腫に関わるからだの部位

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