ていなとりうむけっしょう
低ナトリウム血症
血液中のナトリウム濃度が低下した状態。だるさや意識障害、けいれんを起こす
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最終更新: 2021.11.30
低ナトリウム血症の基礎知識
POINT 低ナトリウム血症とは
ナトリウム(Na)は人間にとって重要なミネラルであり、血液中のNa濃度は概ね140mEq/L前後に維持されています。これが何らかの理由で135mEq/L未満になっている状態を低Na血症と呼びます。低Na血症になってしまう原因としては、嘔吐や下痢、薬剤の影響、内分泌的な異常、妊娠、心不全、肝不全、腎不全などが挙げられます。症状としては、意識がもうろうとする、受け答えがおかしい、頭が痛い、吐いてしまう、けいれんする、などが挙げられます。診断は採血検査により容易に行えますが、低Na血症になった原因を調べるためには尿検査や画像検査などが適宜追加で行われます。低Na血症の原因は多岐にわたるため、治療は原因に応じて様々なものがあります。食塩にはNaが含まれていますが、必ずしも食塩を摂取すれば治療になるわけではなく、むしろ心不全などの場合には有害となることもあります。低Na血症が心配な方や治療したい方は一般内科、内分泌内科、腎臓内科などを受診してください。
低ナトリウム血症について
- 血液中のナトリウム(Na)濃度が低下した状態
- 血液中Na濃度の正常値は135mEq/Lから145mEq/L程度
- 様々な疾患、
病態 が低ナトリウム血症を引き起こす- 治療のためにも原因を調べることが大切である
- 主として以下の原因が考えられる
- 水分の過剰が原因の場合
- 腎臓からのナトリウムの喪失が原因の場合
- 腎臓以外のナトリウムの喪失が原因の場合
- 水分の血液への移動が原因の場合
高血糖 - 浸透圧利尿薬(マンニトール、グリセロールなど)
- カリウム欠乏による細胞内浸透圧の低下
- ナトリウムは食塩の成分であり、通常の食事をしていれば不足する心配はない
- 実際はナトリウムの血中濃度が正常でも、高脂血症、高タンパク血症、高血糖があることで検査上低ナトリウム血症となること(偽性低ナトリウム血症)がある
- 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症による
免疫グロブリン 過剰(パラプロテイン血症)なども原因になる
- 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症による
低ナトリウム血症の症状
- 低ナトリウム血症の進行の速さと血中のナトリウムの値によって重症度が決まる
- 一般的に急性の経過であれば重い
症状 が出やすく、慢性の経過であれば症状が出にくい- 例えば数日単位で130mEq/Lまで低下すれば症状が出るが、数年で120mEq/Lまで低下しても症状が出ないことなどもある
- 初期から見られやすい症状
倦怠感 - 頭痛
- 吐き気、嘔吐 など
- 重症化すると出現する症状
- 脱力
傾眠 意識障害 - けいれん
- その他、低ナトリウム血症を起こす病気の症状として以下が現れることがある
浮腫 (むくみ )- 脱水によるふらつき、
頻脈 、皮膚や口の中の乾燥、喉の渇き
低ナトリウム血症の検査・診断
- 血液検査
- ナトリウムの血中濃度を調べることで診断できる
- 原因の
鑑別 のため、血糖 値、コレステロール 、蛋白、甲状腺 機能、副腎機能 などを調べる
- 尿検査
- ナトリウム、カリウムなどの排泄量を見る
胸部レントゲン 、心エコー - 心不全が疑われるとき、血液検査とあわせて評価する
- 低ナトリウム血症の原因となる疾患、
病態 を鑑別するため、下記のような検査を行っていく
低ナトリウム血症の治療法
意識障害 を発症 しているなど重症の場合、不足しているナトリウムを点滴で補い、ナトリウム濃度を補正する- 補充の速度が早すぎると脳にダメージを与える(浸透圧性
脱髄 症候群)ので、ゆっくり補充する - 1時間あたり1mEq/L程度まで、1日あたり10-12mEq/Lまでの補正とする
- 補充の速度が早すぎると脳にダメージを与える(浸透圧性
- 治療として食塩そのものを摂取することもある
- 病気の種類によっては有害になるので、自己判断では行わない
- 軽度で無
症状 であれば経過観察 することが多い - 以下のように、原因に応じた治療を行っていく
低ナトリウム血症の経過と病院探しのポイント
低ナトリウム血症が心配な方
低ナトリウム血症では、だるさや吐き気といった症状が出現します。しかし、症状だけから自己診断するのは難しい病気です。低ナトリウム血症の診断そのものは、内科全般で行えます。血液検査が行える医療機関であればどこでも診断が可能です。
低ナトリウム血症は、血液検査の結果で診断します。ナトリウムの濃度は通常135-145mEq/L程度ですが、135mEq/Lや130mEq/Lを下回っている場合に低ナトリウム血症と診断します。症状が乏しい場合もあり、診断したからといって必ずしも直ちに治療が必要なわけではありません。