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低ナトリウム血症

低ナトリウム血症の基礎知識

低ナトリウム血症とは?

  • 血液中のナトリウム濃度が低下した状態
    • 通常は135mEq/lから145mEq/l程度
  • 倦怠感意識障害に引き続いて、痙攣などを引き起こす
  • 様々な疾患、病態が低ナトリウム血症を引き起こす
  • 治療のためにも原因を調べることが大切である
  • 主として以下の原因が考えられる
  • 水分の過剰が原因の場合
  • 水分の血液への移動が原因の場合
    • 高血糖
    • 浸透圧利尿薬(マンニトール、グリセロールなど)
    • カリウム欠乏による細胞内浸透圧の低下
  • ナトリウムの腎臓からの喪失が原因の場合
  • 腎臓以外の原因によるナトリウムの喪失
    • 飢餓、偏食による食物からのナトリウム摂取不足
    • 嘔吐、下痢、熱傷やけど)によるナトリウム喪失
  • ナトリウムは食塩の成分であり、通常の食事をしていれば不足する心配はない
  • 実際はナトリウムの血中濃度が正常でも、高脂質症、高タンパク血症、高血糖があることで検査上低ナトリウム血症となること(偽性低ナトリウム血症)がある
    • 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症による免疫グロブリン過剰(パラプロテイン血症)などが原因になる

症状

  • 低ナトリウム血症の進行の速さと血中のナトリウムの値によって重症度が決まる
  • 一般的に急性の経過であれば重い症状が出やすく、慢性の経過であれば症状が出にくい
  • 初期から見られやすい症状
    • 倦怠感
    • 頭痛
    • 吐き気、嘔吐 など
  • 原因となった病気による症状
    • 浮腫むくみ
    • 脱水によるふらつき、頻脈、皮膚や口の中の乾燥、喉の渇き
  • 重症化すると出現する症状
    • 脱力
    • 傾眠
    • 意識障害
    • けいれん

検査・診断

  • 血液検査
    • ナトリウムの血中濃度を調べることで診断できる
    • 原因の鑑別のため、血糖値、コレステロール、蛋白、甲状腺機能、副腎機能などを調べる
  • 尿検査
    • ナトリウム、カリウムなどの排泄量を見る
  • 胸部レントゲン心エコー
    • 心不全が疑われるとき、血液検査とあわせて評価する
  • 低ナトリウム血症の原因となる疾患、病態を鑑別するため、下記のような検査を行っていく
    • 病歴から利尿薬ほかの薬剤の使用、高血糖などをチェックする
    • 妊娠の可能性を検討する
    • 尿浸透圧低下(<100mOsm/kg)があれば水中毒を疑う
    • 血漿浸透圧が等張性なら偽性低ナトリウム血症を疑う
    • 尿中Na濃度からナトリウム排泄分画(FENa)を計算する
    • 脱水がありFENa>0.1%なら腎臓からの喪失(慢性腎臓病、利尿薬など)を疑う
    • FENa<0.1%なら腎臓以外からの喪失(下痢・嘔吐など)を疑う
    • 浮腫があれば水分の過剰(心不全腎不全肝硬変など)を疑う
    • 血液量が正常で甲状腺機能や副腎機能にも異常がなければSIADH、MRHEを疑う

治療

  • 意識障害発症しているなど重症の場合、不足しているナトリウムを点滴で補い、ナトリウム濃度を補正する
    • 補充の速度が早すぎると脳にダメージを与える(橋中心脱髄症候群)ので、ゆっくり補充する
    • 1時間あたり1mEq/l程度、1日あたり8-12mEq/lの補正とする
  • 中等度の場合、治療として食塩そのものを摂取することもある
  • 軽度で無症状であれば経過観察することが多い
  • 以下のように、原因に応じた治療を行っていく
    • 心不全腎不全が原因の場合、過剰な体内水分貯留が原因なので、水分摂取制限を行ったり、利尿薬を使って水分を排出する(この場合、ナトリウムの補充は症状を悪化させてしまう)
    • 水中毒(心因性多飲)の場合、水分摂取量を制限する
    • 甲状腺機能低下症副腎不全の場合はホルモン補充を行なう
    • 薬剤性(利尿薬や抗うつ薬など)の場合は、原因薬剤を中止する

低ナトリウム血症の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

低ナトリウム血症では、だるさや吐き気といった症状が出現します。しかし、症状だけから自己診断するのは難しい病気です。低ナトリウム血症の診断そのものは、内科全般で行えます。血液検査が行える医療機関であればどこでも対応が可能です。

低ナトリウム血症は、血液検査の結果で診断します。ナトリウムの濃度は通常135-145mEq/l程度ですが、135mEq/lや130mEq/lを下回って、だるさや吐き気などの症状がある場合に低ナトリウム血症と診断します。高齢者では、これらより低い値であっても特に症状がないことも多く、そのような場合は低ナトリウム血症とは呼びません。


この病気でお困りの方

低ナトリウム血症の治療では、塩分の摂取によって体内にナトリウムを補うことになります。症状が軽く自宅で過ごせる程度の低ナトリウム血症であれば、食事中の塩分を増やすだけでも十分治療になります。強い症状があって入院が必要な時には、点滴でナトリウムの摂取を行います。

それと同時に、低ナトリウム血症の原因となった何らかの病気(心不全腎不全SIADH甲状腺機能低下症など)が隠れていることも多いですので、そちらの病気の治療も同時に行う必要があります。

低ナトリウム血症は誤解されやすい病気なのですが、症状がある低ナトリウム血症か、症状がない低ナトリウム血症かによって大きな違いがあります。通常の血液検査では、ナトリウムの正常値は135-145mEq/lとされています。したがって、134mEq/l以下の場合にはその方は低ナトリウム血症だということになります。

しかしながら、症状がない低ナトリウム血症の方の場合には、その方にとってはその値がちょうど良いという場合も少なからずあります。全体の平均をとると135から145の間に収まる人が大半だというだけであって、ナトリウムの値が130でも、ずっと元気に暮らしているのであれば、それはその方にとっては正常範囲だということです。したがって、その場合には治療も必要はありません。

入院が可能な総合病院であれば、ほとんどの病院で対応が可能です。また、基本的には大学病院などの高度医療機関である必要はなく、どこで治療を受けてもあまり治療方針に差がつきにくい病気の一つです。





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