にょうしっきん(そうろん)
尿失禁(総論)
自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態
1人の医師がチェック 9回の改訂 最終更新: 2026.06.05

尿失禁(総論)の基礎知識

POINT 尿失禁(総論)とは

自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態です。原因や症状により、咳やくしゃみ、運動などで漏れる腹圧性尿失禁、急に強い尿意が起こりトイレに間に合わない切迫性尿失禁、尿が出しきれずあふれるように漏れる溢流性尿失禁、認知機能低下や歩行障害などでトイレに間に合わない機能性尿失禁などに分けられます。診断では、尿漏れの状況、尿意の有無、排尿のしにくさ、生活への影響などを確認し、尿検査、残尿測定、超音波検査などを行います。治療はタイプや原因に応じて、生活指導、骨盤底筋訓練、薬物療法、導尿、手術、環境調整などを検討します。尿失禁の可能性があり治療したいと思っている人は泌尿器科を受診してください。

尿失禁(総論)について

  • 疾患概念
    • 尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態
    • 単一の病気というより、さまざまな原因で起こる症状・状態の総称
    • 生活の質に影響しやすい一方、原因やタイプに応じて治療・対策が可能
  • 主な分類
    • 腹圧性尿失禁:咳、くしゃみ、運動、重い物を持つ動作などで腹圧がかかったときに漏れるタイプ
    • 切迫性尿失禁:急に強い尿意が起こり、トイレに間に合わず漏れるタイプ
    • 溢流性尿失禁:尿が出しきれず膀胱にたまり、あふれるように少しずつ漏れるタイプ
    • 機能性尿失禁:認知機能低下、歩行障害、環境要因などにより、トイレに間に合わず漏れるタイプ
    • 複数のタイプが重なる混合性尿失禁もあり
  • 疫学
    • 尿失禁は高齢者に多い症状だが、若年者や中年女性にもみられる状態
    • 女性では腹圧性尿失禁や混合性尿失禁が多い
    • 男性では前立腺肥大症前立腺手術後、神経疾患に関連した尿失禁が問題になりやすい
    • 恥ずかしさから相談が遅れやすく、実際より少なく見積もられやすい症状

尿失禁(総論)の症状

  • 尿漏れ
    • 自分の意思とは関係なく尿が漏れる状態
    • 下着が濡れる、尿取りパッドが必要になる、外出を控えるなど生活への影響
    • 咳・くしゃみ・運動時の尿漏れ
  • 腹圧性尿失禁でみられやすい症状
    • 笑う、走る、ジャンプする、重い物を持つなどの動作で出現
    • 急な尿意と尿漏れ
  • 切迫性尿失禁でみられやすい症状
    • 突然トイレに行きたくなり、間に合わず漏れる状態
    • 頻尿夜間頻尿を伴うこともあり
    • 少量ずつの尿漏れ
  • 溢流性尿失禁でみられやすい症状
    • 尿が出しきれず、膀胱にたまった尿があふれるように漏れる状態
    • 尿の勢いが弱い、残尿感、排尿に時間がかかるなどを伴うことあり
    • トイレに間に合わない
  • 機能性尿失禁でみられやすい症状
    • 歩行障害、認知機能低下、衣服の着脱困難、トイレ環境の問題などが背景
    • 尿意を感じても、移動や準備が間に合わない状態

尿失禁(総論)の検査・診断

  • 問診
    • 尿漏れのタイミング、量、頻度、尿意の有無、排尿のしにくさ、夜間頻尿の確認
    • 出産歴、手術歴、神経疾患、糖尿病前立腺疾患、使用中の薬剤の確認
    • 生活への影響、パッド使用状況、介護状況の確認
  • 身体診察
    • 下腹部の膀胱の張り、皮膚トラブル、神経学的所見などの確認
    • 女性では骨盤臓器脱や骨盤底筋の状態を確認することあり
    • 男性では前立腺の評価を行うことあり
  • 排尿日誌
    • 排尿時刻、尿量、尿漏れのタイミング、水分摂取量などの記録
    • 頻尿夜間頻尿、切迫性尿失禁の評価に有用
    • 生活習慣や水分摂取との関係を確認する手がかり
  • 尿検査
  • 残尿測定
  • 尿流測定
  • 超音波検査
    • 膀胱、腎臓、前立腺などの評価
    • 残尿量、前立腺肥大、水腎症、膀胱内病変などの確認

尿失禁(総論)の治療法

  • タイプに応じた治療を行う
    • 尿失禁は原因やタイプによって治療方針が異なる状態
    • 腹圧性、切迫性、溢流性、機能性、混合性を見分けたうえでの治療選択
    • 複数のタイプが重なる場合は、困っている症状やリスクに応じた優先順位づけ
  • 生活習慣の見直し
    • 水分摂取量、カフェイン、アルコール、便秘肥満などの確認
    • 夜間頻尿がある場合は、夕方以降の水分摂取や利尿薬のタイミングの確認
    • 体重管理や便秘対策も尿失禁改善につながることあり
  • 骨盤底筋訓練
    • 腹圧性尿失禁や混合性尿失禁で重要な治療
    • 骨盤底筋を鍛え、尿道を支える力を高める方法
    • 継続して行うことが重要
  • 膀胱訓練
    • 切迫性尿失禁過活動膀胱で行われる治療
    • 排尿間隔を少しずつ延ばし、尿意をコントロールする練習
    • 生活指導や薬物療法と組み合わせることあり
  • 薬物療法
    • 切迫性尿失禁では、過活動膀胱に対する薬を使用することあり
    • 前立腺肥大症がある場合は、尿の通りを改善する薬を使用することあり
    • 薬剤が尿失禁や排尿困難に関与している場合は、薬の見直しを検討
  • 導尿
    • 残尿が多い場合や尿が出しきれない場合に検討
    • 一時的なカテーテル留置や自己導尿など
    • 溢流性尿失禁神経因性膀胱で重要な選択肢
  • 手術
  • 症状の程度、年齢、合併症、生活への影響を踏まえた判断
    • 環境調整・介護対応
    • 機能性尿失禁では、トイレまでの動線、衣服、ポータブルトイレ、排尿スケジュールの調整が重要
    • 認知機能低下や歩行障害がある場合は、本人の排尿機能だけでなく生活環境全体を調整
  • 皮膚トラブル予防、パッド選択、介護負担軽減も治療の一部

尿失禁(総論)のタグ

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