ずがいないはいさいぼうしゅよう
頭蓋内胚細胞腫瘍
頭蓋内で原生殖細胞が腫瘍化した病気
3人の医師がチェック 101回の改訂 最終更新: 2018.09.13

頭蓋内胚細胞腫瘍の基礎知識

POINT 頭蓋内胚細胞腫瘍とは

精子や卵子になるはずだった原始生殖細胞が頭の中で腫瘍化する病気で、脳腫瘍の一種です。 脳の中でも松果体部、鞍上部、基底核などに発生しやすいことが知られています。腫瘍ができる場所によって症状が異なり、頭痛や嘔吐、ホルモンの異常、視野・視力の障害などさまざまな形で現れます。血液検査(腫瘍マーカーの測定など)や画像検査(頭部CT検査や頭部MRI検査)、生検(腫瘍の一部をとって顕微鏡で見る検査)などによって診断が行なわれ、手術や放射線治療、抗がん剤治療が有効で、組み合わせて行なわれます。頭蓋内胚細胞腫瘍は主に脳神経外科で診療が行なわれます。

頭蓋内胚細胞腫瘍について

  • 精巣、卵巣で精子、卵子になるはずの原生殖細胞が腫瘍化することが原因で発生する
  • 脳腫瘍の一種
  • 脳の中では松果体部、鞍上部、基底核、大脳半球、小脳などの部位に発生する
  • 胚細胞腫瘍は他に精巣、卵巣、胸部、腹部などに発生する
  • 生殖細胞が腫瘍化した胚細胞腫瘍が、なぜ脳で発生するのか、原因は分かっていない
  • 10-12歳の男児に多い。日本人を含むアジア人に多い
  • 総論、それぞれの詳細については下記参照
  • 治療としては手術、放射線療法化学療法がある
    • 患者によってそれぞれが組み合わされて治療が行われる

頭蓋内胚細胞腫瘍の症状

  • 発生する場所によって異なる
  • 松果体部
    • 水頭症の症状として、頭痛や嘔吐、倦怠感、眠気、歩行のふらつき、性格の変化、学業成績の悪化が出る
  • 鞍上部
    • 下垂体機能の異常:糖尿病や思春期の遅れ・早発、成長ホルモン分泌不全、甲状腺機能低下症副腎皮質機能低下症
    • 視力や視野の障害

頭蓋内胚細胞腫瘍の検査・診断

  • 血液検査
    • 腫瘍マーカーとしてAFPやHCGが上昇する
    • 組織型(タイプ)によって腫瘍マーカーの上がり方も異なる
  • CT検査、MRI検査
    • 脳内の腫瘍の部位、数、転移を調べる上で有用
    • 造影MRI検査がもっとも情報量が多い
  • PET検査
    • 他に転移や原発巣ないかどうかを調べる
  • 血液検査、髄液検査:腫瘍マーカーとして、β-HCG、AFPの上昇が見られる
    • AFPが高いほど病状は悪いことが知られている
    • 治療の効果を判定したり、再発を早く察知する上でも腫瘍マーカーの値は重要である
    • 腰椎穿刺で採取した髄液の検査でもβ-HCG、AFPの上昇が見られる
  • 病理検査
    • 手術(あるいは生検)によって採取された組織の病理を調べる
    • 病理検査によって診断が確定される
    • 治療方針を決定する上で、病理検査は必須である
  • 病理の組織型によって下記に分類される
  • 大きく「ジャーミノーマ」、「非ジャーミノーマ」に2つのタイプに分けられ、両者で腫瘍の性質、治療方針が異なる
    • ジャーミノーマ:放射線療法が良く効く。転移がなければ90%以上が治る
    • 非ジャーミノーマ:一般的にジャーミノーマに比べると悪性。放射線が効きにくい
      。長期生存率は60-70%程度である

頭蓋内胚細胞腫瘍の治療法

  • 治療としては手術、放射線療法化学療法がある
    • 基本的に最初にまず手術が行われ、病理検査で組織型の診断が確定してから、それぞれに合わせた治療を行う
    • 組織型や転移の有無によって、推奨される治療法が異なる
  • 手術(生検
    • 場所によって開頭の位置(皮膚を切るラインや骨を外す部位)や腫瘍への到達方法(脳のどの部分を切り分けていくか)が異なる
    • 鞍上部や松果体部は脳の奥に位置しているため手術で全て摘出するのは難しいことが多く、また胚細胞腫瘍は放射線や化学療法が良く効くことが多いため、生検で一部の組織を採取するだけのことも多い
    • 成熟奇形腫のみ、手術で全摘出できれば完治するため、その後の放射線や化学療法が必要ない
    • 場所によっては内視鏡が使われる
  • 化学療法
    • 胚細胞腫瘍はまれで、組織型も複数あるため有効な化学療法は確立されていない
    • プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)をベースとした化学療法が行われ、エトポシドやイフォスファミド、シクロフォスファミドが組み合わされる
    • 化学療法を行っても再発した場合、自己造血幹細胞移植を併用した大量化学療法が行われることもある
  • 放射線療法
    • 脳内、脊髄に転移しやすいため、組織型や転移の有無、年齢に応じて以下の種類から放射線照射方法が選択、組み合わされる
    • 腫瘍の部位のみに当てる「局所照射」、脳室という部位に当てる「全脳室照射」、脳・脊髄に当てる「全脳脊髄照射」がある
    • 放射線を多く当てると、副作用としてがんや認知機能の低下、子供であれば知的発達が障害されるため、なるべく放射線の量を減らすようになってきている

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