せいそうはいさいぼうしゅよう
精巣胚細胞腫瘍
男性の精巣において生殖細胞から発生する腫瘍。タイプによって良性から悪性まである
6人の医師がチェック 177回の改訂 最終更新: 2018.01.01

精巣胚細胞腫瘍の基礎知識

POINT 精巣胚細胞腫瘍とは

精巣胚細胞腫瘍(せいそうはいさいぼうしゅよう)は精巣にできる腫瘍で、精巣腫瘍と意味はほとんど同じです。精巣胚細胞腫瘍は20−30歳代に発症のピークがあり、約10万に1-2人程度に発生するまれな病気です。痛みがなく精巣が腫れることが最も多い症状で、かなり進行してみつかることもあります。 診断は超音波検査、CT検査、MRI検査、血液検査(腫瘍マーカー)などで行います。治療は、手術で精巣を摘出し、進行している場合には抗がん剤治療や放射線療法を行います。精巣が痛みもないのに腫れていると思ったら精巣胚細胞腫瘍の可能性があります。泌尿器を受診して調べてもらうことが大事です。

精巣胚細胞腫瘍について

  • 精巣で精巣になるはずの生殖細胞(始原生殖細胞)が腫瘍化することが原因
    • 男性の病気
  • 精巣腫瘍の一種。精巣腫瘍の約95%は精巣胚細胞腫瘍である
  • 6−10歳の男児、20−30代の男性に多い
  • 胚細胞
  • 精巣胚細胞腫瘍のリスク因子
  • 治療は手術、放射線療法化学療法がある
    • 腫瘍の組織型、ステージによってそれぞれが組み合わされて治療が行われる
  • 放射線療法、化学療法の進歩に伴って、治療成績が良くなってきている

精巣胚細胞腫瘍の症状

  • 片方の陰嚢にしこりが出来たり、腫れる
    • しこりは痛みを伴わないことが多い
  • 下腹部や肛門周囲、陰嚢の鈍い痛み、重苦しさ
  • 精巣胚細胞腫瘍自体は転移によって症状が出ることもある
    • 転移による症状は、転移の場所によって異なる
      ・首のリンパ節転移:首のしこり、腫れ
      ・肺の転移:咳や息切れ
  • 女性化乳房
    • 男児、男性の乳房が膨らむ
    • 精巣胚細胞腫瘍5%くらいが女性化乳房になる
    • 腫瘍から産生されるホルモンが原因と言われている
  • 甲状腺機能亢進症
    • 腫瘍から産生されるhCGというホルモンが特に過剰な時に発症する

精巣胚細胞腫瘍の検査・診断

  • 触診
    • 柔らかい精巣の中に固いしこりがある
    • 痛みはないことがほとんど
  • 血液検査
    • 腫瘍マーカー:AFPやHCG、LDH
    • 組織型(タイプ)によって腫瘍マーカーの上がり方も異なる
      ・セミノーマではAFPは上昇しない
    • 診断のみならず治療効果を推定するのに用いる
  • 超音波検査
    • 精巣の中に腫瘤が見られる
  • CT検査、MRI検査
    • 胸部、腹部、骨盤部:転移がないかどうかを調べる
  • PET検査
    • 転移がないかどうかを調べる
    • 治療の効果を判定したり、再発を早く察知する上でも腫瘍マーカーの値は重要である
  • 病理検査
    • 手術によって採取された組織を顕微鏡で調べる
      ・精巣胚細胞腫瘍では手術により病変を摘出し、生検は行わない
    • 手術によって採取した組織の病理検査によって診断が確定される
      ・治療方針を決定する上で、病理検査は必須である
  • 病理の組織型によって下記に分類される
    • セミノーマ(ジャミノーマ)
    • 非セミノーマ
      ・胎児性
      ・奇形腫
      絨毛癌
      ・卵黄嚢腫
      ・混合型胚細胞腫瘍
  • 大きく「セミノーマ」、「非セミノーマ」に2つのタイプに分ける。これは、両者で腫瘍の性質、治療方針が異なるため
    • セミノーマ:放射線療法化学療法が良く効くため、80%ほどの人は完治する
    • 非セミノーマ:セミノーマに比べると悪性。抗がん剤治療の効果は高いが、放射線治療の効果は低い
  • TNM分類によるステージ分類、リスク分類(IGCCC)によって治療法が決まる

精巣胚細胞腫瘍の治療法

  • 治療としては手術、放射線療法化学療法がある
    • 基本的に最初にまず手術が行われ、病理検査で組織型の診断が確定してから、それぞれに合わせた治療を行う
  • 治療方針は組織型(「セミノーマ」か「非セミノーマ」か)、病気分類(腫瘍の広がりや転移)によって異なる
    • ステージⅠのセミノーマや非セミノーマであれば、手術で片方の精巣を摘出するのみで良いこともある
    • それ以上進行していた場合、手術の後、放射線療法や化学療法が行われる
  • 化学療法
    • シスプラチンをベースとした化学療法が行われる
    • BEP療法(エトポシド、イフォスファミド、シスプラチン)が最も標準的である
    • EP療法(エトポシド、シスプラチン)、VIP療法(ビンクリスチン、イフォスファミド、シスプラチン)なども行われる
  • 5年生存率は95%程度である
  • 最初の治療後の再発は、治療から1−2年以内が多い。
  • 治療前に行うこと
    • 精子凍結保存
      ・精巣胚細胞腫瘍の患者は治療により精巣・精子の機能が低下することが多い
      ・そのため治療開始前の精子凍結保存が望まれる

精巣胚細胞腫瘍が含まれる病気

精巣胚細胞腫瘍のタグ

精巣胚細胞腫瘍に関わるからだの部位

医師登録をしてMEDLEYの編集に協力する