せいそうしゅよう
精巣腫瘍
精巣に生じる腫瘍の総称でほとんどが悪性腫瘍である
6人の医師がチェック 72回の改訂 最終更新: 2018.01.01

精巣腫瘍の基礎知識

POINT 精巣腫瘍とは

精巣腫瘍は精巣にできる腫瘍の総称で、ほとんどが悪性腫瘍です。20−30歳代に発病のピークがあり、約10万に1-2人程度が発病するとされる比較的まれな腫瘍です。 症状は痛みがない精巣の腫大が最も多く、かなり進行して発見されることもあります。精巣腫瘍の診断は超音波検査やCT検査、MRI検査、血液検査(腫瘍マーカー)などで行い、手術で精巣を摘出しその後、抗がん剤や放射線による治療を追加で行うことがあります。 精巣腫瘍は進行が早いことが知られているので早期に発見して治療を開始することが大切です。少し陰嚢の中身が大きいなと思ったら泌尿器科を受診して調べてもらってください。

精巣腫瘍について

  • 精巣に生じる腫瘍の総称
    • 大部分が悪性腫瘍である
  • 10万人に1-2人程度
  • 20〜30歳代に多い
  • 病気の中の種類とその割合
    • 悪性腫瘍
      ・セミノーマ(精上皮腫)
      ・非セミノーマ
       ・胎児性がん
       ・卵黄嚢腫
       ・絨毛癌
       ・奇形腫など
      悪性リンパ腫
       ・高齢者で多い
    • 良性腫瘍
      ・表皮嚢胞(epidermal cyst)

精巣腫瘍の症状

  • 痛みがなく陰嚢が腫れる(無痛性陰嚢腫大)
  • 進行すると、リンパ節や肺、肝、脳に転移し、それぞれの臓器に関連した症状がおこる
  • ごく稀に長引く咳などの症状から見つかることもある

精巣腫瘍の検査・診断

  • 診断に有効な検査
    • 血液検査
      腫瘍マーカー:AFP、HCG、LDH
       ・予後予測の分類に使用され、治療効果の判定にも用いられる
    • 超音波検査
      ・精巣および腹部を調べる
    • CT検査(胸部~腹部)
    • MRI検査
    • PET/CT検査
  • 確定診断に必要な検査
    • 治療と診断を兼ねて精巣摘除術を行う
      ・摘出した精巣を顕微鏡で観察し組織型を診断する
      ・精巣を針で刺す生検は原則行わない
  • ステージは以下のものを使うことが多い
    • I期:転移を認めず
    • II期:後腹膜以下のリンパ節のみ転移認める
      ・IIA期:後腹膜転移巣が最大5㎝未満のもの
      ・IIB期:後腹膜転移巣が最大5㎝以上のもの
    • III期:遠隔転移
      ・III0:腫瘍マーカーが陽性であるが、転移部位を確認しえない
      ・IIIA:縦郭または鎖骨にリンパ節転移を認めるが、その他の遠隔転移を認めない
      ・IIIB:肺に遠隔転移を認める
       ・B1:いずれかの肺野で転移が4個以下でかつ最大径が2㎝未満のもの
       ・B2:いずれかの肺野で転移巣が5個以上または最大径が2㎝以上のもの
      ・IIIC:肺以外の臓器にも遠隔転移を認める
  • IGCC分類
    • 経過を予測する指標として以下の分類を目安にする
    • セミノーマ
      ・IGCC分類にはセミノーマに予後不良群はない
      ・予後良好群
      ・原発部位:問わない
       ・肺以外の臓器転移:なし
       ・腫瘍マーカーの値
        ・AFP:基準値以内
        ・hCG:問わない
        ・LDH:問わない
      ・予後中間群
       ・原発部位:問わない
       ・肺以外の臓器転移:問わない
       ・腫瘍マーカーの値
        ・AFP:基準値以内
        ・hCGF:問わない
        ・LDH:問わない
    • 非セミノーマ
      ・予後良好群
       ・原発部位:精巣または後腹膜
       ・肺以外の臓器転移:なし
       ・腫瘍マーカーの値
        ・AFP:1000ng/ml未満
        ・hCG:5,000IU/l未満
        ・LDH:正常上限値の1.5倍未満
      ・予後中間群
       ・原発部位
       ・肺以外の臓器転移
       ・腫瘍マーカーの値
        ・AFP:1000ng/ml以上で10,000ng/ml以下
        ・hCG:5,000IU/l以上で50,000ng/ml以下
        ・LDH:正常上限値の1.5倍以上で正常上限値の10倍未満
      ・予後不良群(条件のいずれかを満たしている場合には予後不良群になる)
       ・原発部位
       ・肺以外の臓器転移
       ・腫瘍マーカーの値
        ・AFP:10,000ng/mlを超える
        ・hCG:50,000ng/mlを超える
        ・LDH:正常上限値の10倍を超える

精巣腫瘍の治療法

  • 腫瘍の組織型と病状の進行、IGCC分類に応じて、適した治療が行われる
  • 以下は精巣摘出後の治療であり、精巣腫瘍の治療はそれぞれの状態により異なり複雑なので概略である
  • セミノーマ
    • ステージI
      経過観察
      ・再発予防のために放射線治療もしくは抗がん剤治療を検討
    • ステージIIA
      ・大きさ・腫瘍マーカーを参考に以下の治療を検討
       ・放射線治療
       ・抗がん剤治療
        ・導入化学療法
         ・BEP療法
         ・EP療法
        ・救済化学療法(導入化学療法で治療が不十分なときに行う)
         ・VIP療法
         ・TIP療法
       ・手術
    • ステージIIB以上に進行している場合
       ・抗がん剤治療
        ・導入化学療法
         ・BEP療法
         ・EP療法
        ・救済化学療法(導入化学療法で治療が不十分なときに行う)
         ・VIP療法
         ・TIP療法
       ・手術(抗がん剤治療後)
  • 非セミノーマ
    • ステージI
      ・血管へがんがはいり込んでいるか否かでその後の治療法が変わる
       ・経過観察
       ・抗がん剤治療
       ・後腹膜リンパ節郭清
    • ステージIIA
      ・がんの大きさ・腫瘍マーカーを参考に以下の治療を検討する
       ・放射線治療
       ・抗がん剤治療
        ・導入化学療法
         ・BEP療法
         ・EP療法
        ・救済化学療法(導入化学療法で治療が不十分なときに行う)
         ・VIP療法
         ・TIP療法
       ・手術
    • ステージIIB以上に進行している場合
       ・抗がん剤治療
        ・導入化学療法
         ・BEP療法
         ・EP療法
        ・救済化学療法(導入化学療法で治療が不十分なときに行う)
         ・VIP療法
         ・TIP療法
       ・手術(抗がん剤治療後)

精巣腫瘍の経過と病院探しのポイント

精巣腫瘍が心配な方

精巣腫瘍は、陰嚢の膨らみを自覚して気づくことが多い病気です。陰嚢が膨らむ病気には他にも精巣上体炎精巣炎陰嚢水腫などがありますが、見分けるためには診察や検査が必要です。精巣腫瘍は進行が早いのですみやかに治療を開始することが大切なので陰嚢に膨らみがある場合には泌尿器科を受診して調べてもらうことをお勧めします。

精巣腫瘍に関連する診療科の病院・クリニックを探す

精巣腫瘍のタグ

精巣腫瘍に関わるからだの部位

医師登録をしてMEDLEYの編集に協力する