ひふがん
皮膚がん
皮膚に生じるがんの総称
6人の医師がチェック 162回の改訂 最終更新: 2023.09.11

皮膚がんに関するQ&A:こんな心配、聞いてもいいの?

このページでは「皮膚がんが心配な人」や「皮膚がんの診断を受けた人」に知っておいて欲しいことをまとめています。検査や治療の前後に読んで、お医者さんの説明の理解に役立ててください。

1. 皮膚がんが心配な人に知っておいて欲しいこと

皮膚は直接目にすることができる身近な存在です。前まで何もなかった場所にほくろイボを見つけたら「がんかも知れない」と心配になるかもしれません。ここでは皮膚がんが心配な人知っておくとよいことをまとめます。

皮膚がんに前兆はあるのか

皮膚がんに前兆はほとんどありません。早期発見のためには外見の変化にすみやかに気づく必要があります。皮膚の病気は痛みや、かゆみがなければ様子を見がちですが、外見が時間とともに変化する(大きくなる、色が変わる、盛り上がるなど)場合はがんの可能性を考える必要があるので、皮膚科で相談してみてください。

皮膚がんは爪にできることがあるのか

悪性黒色腫メラノーマ)というタイプの皮膚がんは皮膚だけでなく爪にもできます。「縦方向の黒褐色のすじ」が爪にできるのが特徴で、時間の経過とともにだんだんすじが太くなっていきます。当てはまる症状がある人は皮膚科で相談してください。

皮膚がんとほくろの見分け方はあるのか

しみやほくろは皮膚がんとは別物ですが、肉眼ではっきり区別するのは簡単ではありません。しかし、しみやほくろに次のような特徴がある場合は、「悪性黒色腫メラノーマ)」の可能性があります。

悪性黒色腫が疑われるしみやほくろの特徴】

  • 形がいびつである
  • 縁がギザギザしている
  • 色に濃淡がある(均一ではない)
  • 直径が6mm以上ある
  • 大きくなる、色調に変化がある

上のリストの2つ以上に該当するしみ・ほくろがある人は皮膚科で相談してください。

皮膚がんに検診はあるのか

がん検診の目的はがんを早期発見・治療し、がんによって亡くなる人を少なくすることです。「肺がん」や「乳がん」、「大腸がん」、「胃がん」などには検診がありますが、皮膚がんの検診は一般的ではありません。皮膚がんの多くは皮膚の見た目の変化から見つかります。早期発見するには、皮膚の異常に気づいたらすみやかに医療機関で相談することが重要です。

皮膚がんが気になるときにはどんな医療機関に行くべきか

皮膚がんが心配な人は皮膚科を受診してください。皮膚科は内科や泌尿器科を専門とするお医者さんが標榜していることがあるので、できるなら皮膚科を専門に掲げている医療機関のほうが望ましいです。わかりにくければ、電話やインターネットを活用して、医療機関の情報を集めるとよいです。

皮膚がんは予防できるのか

皮膚がんのほとんどを占める「有棘細胞がん」「基底細胞がん」「悪性黒色種」の発生には紫外線が関係していると考えられています。日焼け止めを使ったり、日光を長時間浴びないような工夫して紫外線対策をすることが皮膚がんの予防に有利に働きます。

2. 皮膚がんと診断を受けた人に知っておいて欲しいこと

皮膚がんと診断を受けた後は、その後の経過や周りの人への影響などが心配になると思います。ここでは、皮膚がんと診断を受けた人からよく受ける質問をまとめます。

皮膚がんはうつるのか

病気の中には風邪や性病のように人から人へうつるものがありますが、皮膚がんがうつることはありません。患者さんと接触しても問題は起こりませんので、普段どおり接してください。

皮膚がんは転移するのか

皮膚がんは転移することがあります。皮膚がんにはいくつか種類があり、「基底細胞がん」「有棘細胞がん」「悪性黒色腫」の3つがほとんどを占めます。この中で、転移しやすいのは「悪性黒色腫」です。反対に「基底細胞がん」は転移することがほとんどありません。

皮膚がんは再発することがあるのか

再発とは一度なくなったように見えたがんが再び身体の中に姿を現すことです。皮膚がんは再発することがあります。再発した場合は、手術や抗がん剤治療放射線治療の中から一人ひとりにあった治療法が選ばれます。再発した場合、速やかに治療をはじめたほうが病気の進行を抑えやすいです。このため、再発の可能性がほぼなくなって通院しなくてもよい、とお医者さんから言われるまでは、定期的な受診を欠かさないようにしてください。

参考:

皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版
・「あたらしい皮膚科学 第2版」(清水 宏 / 著)、中山書店、2011年
・「がん診療レジデントマニュアル 第7版」(国立がん研究センター内科レジデント / 編)、医学書院、2016年