かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 277回の改訂 最終更新: 2026.03.05

花粉症とはどのような病気か:季節・症状・治療とアレルギーとの関係

春になるとスギ花粉症で気が重くなる人もいるかもしれません。日本では全国で約40%の人が花粉症を持っているとされています。花粉症のシーズンを上手に乗り切るために、花粉症のポイントについて説明していきます。

1. 花粉症はどんな病気か

花粉症は、花粉を原因とするアレルギーが関係した病気です。体が花粉を「異物」と認識して免疫反応が起こり、その結果としてさまざまな症状が出現します。アレルギー反応が起こりやすい部位は主に鼻と目です。

花粉症というとスギ花粉が有名ですが、原因はスギに限りません。ヒノキ、カモガヤなどのイネ科、ブタクサなど、さまざまな植物の花粉が原因になります。日本ではスギ花粉症が最も多く、スギ花粉が風に乗って広範囲に飛散するため、患者数が多くなります。

主な症状は次のとおりです。

【花粉症の主な症状】

  • 鼻の症状
    • サラサラした鼻水
    • 鼻づまり
    • 発作的に起こる止まりにくいくしゃみ
  • 目の症状
    • 違和感
    • 充血
    • かゆみ

その他に、のどのいがらっぽさ、咳、皮膚のかゆみなどの症状が出る人もいます。

花粉の飛ぶ季節に上のような症状がある人は花粉症の可能性があります。困っている人は症状に合わせて耳鼻咽喉科、眼科、内科などを受診してください。
どの種類の花粉にアレルギーがあるかは、血液検査で特異的IgE抗体(例:ImmunoCAPなど)を測定すると参考になります。

治療の基本は花粉の回避です。マスクやメガネを装着したり、衣類を室内干しにしたりなど自分でできる対処法を取り入れて、花粉を避けることが重要です。

それでもつらい症状に対しては症状を抑える薬を使います。花粉症の薬は医療機関で処方してもらえますし、最近では処方薬と同成分が入った市販薬もあります。その他の花粉症の治療としては、レーザー治療や、減感作療法(アレルゲン免疫療法)などがあります。

2. 花粉症の原因となる花粉と飛散時期

花粉症の原因になる植物は多く存在しますが、季節によって異なり、飛散時期は地域差やその年の気象条件でも変動します。日々の対策には、天気予報などの花粉情報を参考にするとよいです。

春:スギ・ヒノキ

日本で最も多いのはスギ花粉症です。例年、東京都など関東では2月下旬〜4月頃に飛散が多くなります(年によって前後します)。
スギの飛散が落ち着く頃からは、ヒノキ花粉の飛散が増えてきます。ヒノキもスギと同様に花粉を多く飛ばす性質があり、ヒノキにアレルギーを持つ人も少なくありません。

なお、地域によってはスギ花粉の影響が本州ほど強くない場合があります。たとえば北海道はスギ林が少なく、飛散量は相対的に少ない傾向があります(ただし地域差があります)。

初夏〜秋:イネ科(カモガヤなど)

夏の花粉症の原因として多いのがイネ科の植物です。代表的なものに、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどがあります。イネ科花粉の飛散は比較的長く、概ね春〜秋(目安:4〜10月頃)にみられます。

イネ科植物は河川敷や空き地、牧草地などに多く、スギ・ヒノキと比べると遠くまで大量に飛散しにくいとされます。そのため、症状が出やすい人は、飛散源になりやすい場所(草地・河川敷など)に近づかないことが回避策として有効です。

秋:ブタクサ・ヨモギなど

秋の花粉症で問題になりやすいのはブタクサです。ほかにも、同じキク科のヨモギ、クワ科のカナムグラ、イラクサ科のイラクサなどが秋に花粉を飛ばし、花粉症の原因になります。

詳しくは「花粉症の原因」で説明しているので、こちらも目を通してください。

3. 花粉症の症状:くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、咳など

花粉症の主な症状は鼻と目に出ますが、人によってはのど・皮膚・全身にもさまざまな症状がみられます。代表的な症状は次のとおりです。

    • サラサラした鼻水
    • 突発的に繰り返すくしゃみ
    • 鼻閉感
    • かゆみ
    • かゆみ
    • 異物感
    • 目やに
  • のど
    • かゆみ
    • 痛み
    • 違和感
  • 皮膚

花粉が鼻や目などの粘膜に付着してアレルギー反応が起こると、上記のような症状が出ます。鼻づまりで口呼吸になると、のどが乾燥して刺激を受けやすくなり、のどの違和感や咳が出ることがあります。また、花粉が皮膚に付着することで、肌荒れや湿疹などの皮膚症状が出る人もいます(花粉皮膚炎)。

その他にも、花粉症によって次のような症状が出ることがあります。

  • 眠気
  • 頭痛
  • 日中の眠気
  • だるさ

花粉症でも咳が長引いたり強く出たりすることがあります。原因としては、のど(上気道)のアレルギー反応や、鼻水がのどへ流れ落ちる鼻漏などが関係します。症状が強い場合は、風邪気管支喘息などと見分けがつきにくいこともあるため、咳が続く・息苦しい・ぜーぜーする・発熱がある、といった場合は医療機関で相談してください。

症状については、「花粉症の症状」のページに詳しく書いてありますので、参考にしてください。

4. 花粉症の治療:花粉を避ける、内服薬、点鼻薬、目薬、舌下免疫療法など

花粉症の治療は、大きく分けて花粉の回避と症状を和らげる薬物療法 が中心です。症状が毎年つらい人や、薬だけでは十分に抑えきれない人では、体質改善を目指す治療として アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など) も選択肢になります。

花粉の回避

花粉を避ける対策は、薬の効果を高める土台になります。

  • 外出時:マスク・メガネ(花粉対策用)を使用する
  • 帰宅時:玄関先で衣類や髪についた花粉を払ってから入室する
  • 室内:換気の工夫、掃除、洗濯物の取り込み方(花粉が多い日は屋内干し等)を意識する
  • 外出計画:花粉飛散が多い日は、屋外活動を調整する(花粉情報の活用)

花粉を避けるには、マスクやメガネなどの予防グッズが有効です。また、居宅内に花粉を持ち込まないように、玄関先で衣服をはらってから家に入るといいです。

症状を和らげる薬(内服・点鼻・点眼)

薬物療法は、症状のタイプ(鼻水・くしゃみ優位か、鼻づまり優位か、目の症状が強いか)に合わせて組み合わせます。代表的な薬は次のものです。

  • ヒスタミン薬(内服):くしゃみ・鼻水・かゆみの改善が中心
  • 抗ロイコトリエン薬(内服):鼻づまりに有効なことがある
  • 鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻):鼻炎症状全体、とくに鼻づまりを含めて効果が期待できる
  • 点眼薬:抗アレルギー点眼薬など(症状に応じて)

医療機関で処方される薬ではなく市販薬(OTC医薬品)で対応する方法もあります。最近では処方薬と同成分の内服薬や目薬も市販されており、それらを上手く利用することで花粉症の症状が出た時にすぐに対応できると考えられます。医療機関に受診する時間がない場合は、花粉症の症状が出たら、まずは薬局の市販薬を飲み始めて、時間がある時に医療機関で処方してもらうという方法も可能です。
ただし、眠気が出やすい成分が含まれるものもあるため、運転や危険作業がある人は成分表示を確認し、必要に応じて薬剤師に相談してください。また、症状が強い・長引く・喘鳴(ぜーぜー)や息苦しさがある、といった場合は、自己判断を続けず医療機関の受診をおすすめします。

症状が強い場合は、医療機関を受診すれば症状に合わせた薬を処方してもらえます。コラム「花粉症の時期到来:受診しますか?市販薬を使いますか?」も参考にしてみてください。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、アレルギーの原因(アレルゲン)を少量から継続的に体内に取り込み、アレルギー反応を起こしにくい状態を目指す治療です。薬で「症状を抑える」治療とは異なり、長期的に症状や薬の量を減らせる可能性がある治療として位置づけられます。

  • 原因アレルゲン(例:スギ)が症状の原因であることを確認したうえで検討
  • 初回投与は医療機関で安全確認を行い、その後は自宅で毎日継続するのが基本
  • 安全性は比較的高い一方で、まれに全身症状が起こり得るため、開始初期は特に注意が必要
  • 効果の出方には個人差があり、すべての人に「完治」を保証する治療ではない

日本ではスギ花粉症に対する舌下免疫療法が2010年代に普及し、現在はスギ(製剤例:シダトレン/シダキュア)やダニなどが対象になります。
詳しくは、コラム「花粉症は治せるの? 症状がおさまった今こそ始めたい舌下免疫療法の効果と費用とは」を参考にしてみてください。